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💙side
🩷「でさあ、ふっかさんたらさあ」
昼休み。
佐久間のマシンガントークを聞きながら、屋上で弁当を無心で食べる俺。
佐久間の惚気話は弁当を開いてからももう30分以上は続いていて、校庭で遊ぶ下級生のサッカーボールも、その間に2度ほどゴールネットを揺らしていた。このクソ暑いのによくもまあ、サッカーなんてやっていられるよな…。
俺は初恋の目黒先生のことを思い出していた。サッカー部の顧問をしていた。
当時、俺たちはお互いに中学2年で、多感な少年期で、どっちが先生とたくさん話したか、どっちが先生にいっぱい見てもらったかを競っていた。青かった…。
ほんの4年前とはいえ、俺たちも随分と成長したもんだ。
今は、どうしても切なくなって困ったら、とりあえず自分で『処理する』ことも覚えたし、いったん抜いてしまえば、あの頃よりは余裕を持っていられる。耳元でさんざん聞かされている行為中の2人の話とかも今なら聞き流せる…。
💙「ってさあ、お前ら、どんだけヤッてんの?」
🩷「えっ」
話半分に聞いていた時は、ああだこうだ言葉も濁さずベラベラ自慢してたくせに、佐久間は俺と目が合うと急に恥ずかしくなったのか、口を噤んだ。
💙「まだ出会ってひと月しか経ってないのに、お前らなんでそんなことになってんだよ」
🩷「だって、エッチ気持ちいいし。ふっかさんのこと好きだし」
💙「……」
🩷「わかった。お前、ひかさんに手出してもらえねぇから、俺に妬いてんな?」
バカなくせに、こういう勘だけが鋭い佐久間に腹が立つ。
そう。
ひかと会う時は決まって真面目なトレーニングがメインで、ジムでトレーニングをした後でサウナに行って、そのまま帰るのが俺たちのお決まりのデートコースになっていた。俺は、家の門限もあって、そうたびたび遅く帰ることはできない。なんとなく不完全燃焼のまま、筋肉痛で痛む身体に鞭打って学校へ来る日々が続いていた。部活かよ…。かったりいの好きじゃないのに。
一緒に長い時間を過ごすようになって、ひかという人間が、いかに真面目で優しい男なのかはよくわかった。
佐久間の彼氏のふっかさんとは違って、俺のことをこれ以上ないくらいに大切にしてくれているのがわかる。
それでも俺は寂しかったし、キスのひとつもしてくれないことに内心焦っていた。
それどころかサウナで隣りに座ると、座る位置すら少しずらされたりするし…。俺は頭にきて水風呂に何度か飛び込んだ。ガキくせぇなと思いながら。
アッチの問題以外はひかに何も不満なんかなくて、食事はいつも奢ってくれるし、俺の話は楽しそうに聞いてくれる。
ただ、触れてくれないことだけが俺には不満だった。
🩷「お前アレじゃね?もう友達の一人になっちゃったんじゃね?」
💙「えっ……」
🩷「だってさあ、手も繋いでこないとか、もうそういう対象じゃないんじゃねぇの。次いけば次。あの人のことはパーソナルトレーナーだとでも思ってさ」
💙「………」
ヤダよ。結構ガチで惚れてんのに…。
俺は最後のしょっぱい卵焼きを頬張ると、優しくない親友を置いて、教室に戻った。
コメント
2件
部活かよ のツッコミが好きです🫶
💛が尽くしすぎてる。それもいいけど💛💙