テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
とりあえず、答えが出ずに悩んだ時はガンサバだ!
サブキャラで思い切り遊ぼう! そしたらモヤモヤも晴れる筈!
なんて、思っていたんですが。
『ごめんシロさん、一応その……テスト期間なので。普段あんまりテストの点良くないから、今回も悪かったら本格的にゲーム禁止を言い渡されまして……』
黒沢君からそんなメッセージが。
あ、はい。
なんかごめんなさい、そう言えばそうでした。
という事は本日のデートのお話を実行するにしても、来週末とかになるのかな?
ある程度心の準備時間が作れたと思うべきか、それともテスト期間なんだからもう少し私も慌てた方が良いのか。
でも普段から勉強は少しずつやっているし、満点が取れなくてもお兄ちゃんは何か言って来る事も無し。
どうにも私は、どんな事に対しても絶対何処か抜けている様で……毎度少しだけ凡ミスをして、100点というモノを殆ど取った事が無い。
実家ではお母さんから、「何故毎回簡単な所で間違えるのか」と静かに問われる事はあったけども。
こっちに来てからは、テストを見せても兄は基本的に褒めてくれる。
だからと言って手を抜いている訳ではないが、大体90点以上は取っているので。
「他の皆も、今週はログインを控えるみたいだし……」
普段やっているチームの皆で作ったチャットルームへとメッセージを送ってみたのだが。
最初に返事をして来たクロさん同様。
『すまんシロさん、俺も勉強……バイト入れ過ぎたせいで、今回ヤバイ。数学が特にヤバい、誰かに教えて欲しいくらいだよ……』
なんか、絶望感漂うグレーさんのメッセージと。
『ふははは! 俺は余裕でログインするぜ! と、言いたいのだが……すまない! 今の俺は、赤い悪魔と戦う定めにあるのでな……これに敗北すると、時を遡りもう一度同じ一年を繰り返す呪いに掛かっているんだ』
とても大変そうな事を言っている出っ歯さん。
彼はいったい何と戦っているんだろう? なんて、思い切り首を傾げてしまったのだが。
『うるせぇ赤点大魔王。お前は一番勉強しろ、マジで』
『出っ歯……これ以上やると冗談抜きで留年じゃなかったっけ? 本当に、今回は本当に集中した方が良いと思うよ?』
『ククッ! 言われなくても分かっているさ! しかしな……この解読不能な書物をいったいどう相手すれば良いのか、作戦を考えている所だ!』
あ、そういう。
誰も彼も何か忙しそうだし、とてもではないけどゲームって雰囲気では無さそうだ。
そりゃそうだよね、学生だし。
普通はこうなんだよね、きっと。
だからと言って、私ばっかり遊んでいるのも何か違う気がするし。
そもそも一人でログインしても、あんまりサブキャラじゃ出来る事無いというか……。
ソロだと、“46leather”はホント戦力にならないので。
こうなってしまうと……どうしよう。
6keyの訓練には、まだ時間があるし。
『え、えぇと。分からない所があるのであれば……ご迷惑でなければ、私が教えましょうか?』
学校の勉強って、意外と根本の部分の勘違いというか。
数学なんかは特に、どこかの情報が欠如した状態で次の問題に進んでしまうから悩む事が多いのだ。
だからこそ、基礎さえ理解してしまえば意外と応用でどうにかなるっていうか……。
なんて、満点取れない人間が言っても説得力が低いのかもしれないけど。
でも皆勉強するのなら、そして分からない所があると言うのなら。
私で良ければ、力になれればなぁ……と思った次第だったのだが。
『お願いします! シロさん小テストとかでも基本的に点数高いもんね。頼って良いですか!?』
『マジで!? ごめんシロさん、クロと一緒に俺もお願い! ビデオ通話とか繋いじゃっても良い!? マジで教えて!』
柘榴とAI

441
#没入感フィクション
柘榴とAI

391
柘榴とAI

298
『ごめんなさい中二病やってる場合じゃないんです本気で助けて下さいシロ様お願いします』
お三方から、一斉にメッセージが飛んで来た。
わ、わぁ……頼って貰えたのは嬉しいけど、意外と皆危ない所だったみたいだ。
此方としては、全然構わないというか。
むしろ皆で勉強とか、ちょっと憧れていたりもしたので、結構嬉しかったりするのだけれど。
『全然、平気です。ただ夜に少し予定があるので、それまでになりますけど。その時間までであれば、大丈夫です』
なんてメッセージを送った次の瞬間には、私のスマホにグループ通話が届く。
おぉ……ちゃんとスマホが鳴っている。
賞金首の皆とは、基本的にパソコンか6keyのアカウントから連絡を取っていたので。
なんか、新鮮。
とか何とか思いつつ通話を繋いでみれば、一斉に声を上げて来るクラスメイト達。
どうやら皆悩んでいるポイントが違うらしく、色んな科目の相談を受ける形になりそうだ。
更に言うなら、出っ歯さんはほぼ全教科な気が……。
軽い気持ちで言ったけど、これはなかなか忙しい事になって来た気がするぞ?
でもまぁ……何と言いますか。
色々と悩む事は多いし、そのお相手とも今まさに話している状態だけど。
何かあっても、皆と一緒に居る時は普通に接してくれる。
だから全然気まずくなったりしない。
これも、黒沢君の凄い所だと思うんだ。
◆
「シロちゃ~ん! おっひさー! ていう程でもないか。リアルでは謝恩会ぶり~」
「す、すみませんナナさん! もしかしてお待たせしちゃいましたか?」
週末。
本日もまた駅まで向かってみると、非常に目立つsevenが元気に手を振っていた。
髪色が半分ピンク色だから、すぐ見つけられる。
というのと……まだ、集合時間の15分以上前なんだけど。
前回の事もあり、以前よりかは遅めに到着する予定で動いたのが問題だったのか。
既に、居た。
物凄く目立つ女の人が、元気に両手をブンブンしてる。
「ううん、俺も今着たところ。キリッ! これ、言ってみたかった!」
「え、えぇと?」
よく分かんないけど、そこまで待たせてない?
なら、良かった……のかな?
などとやっている内に、ニコニコしたsevenは私の片手を自然と掴み。
「ほんじゃ行きましょう~! ノープラン、一日フリータイムのデートへー!」
「お、おー?」
やはりsevenは、いつも通りご機嫌な様子だった。
凄いよね、何だか一緒に居るだけで元気が貰えると言うか。
何回か彼女のライブ配信も視聴したけど、皆が夢中になるのが分かる。
見ているだけで、声を聞いているだけで元気を貰えそうな、彼女独特の雰囲気。
この人がガンサバでは物凄いキラーだなんて信じられないくらいに、それこそ“ネットのアイドル”って感じがするのだ。
私からすれば、とても“眩しい”と感じてしまう程の人。
だというのに、今はこうして手を繋ぎながら歩き始めている。
「ねぇねぇ、シロちゃんはどこに行きたいとかある? お昼にはまだ早いけど~お腹空いたとか、ない?」
「ご飯は、えっと、まだ大丈夫そうです。行きたい所と言われても……ちょっと、よく分からないと言うか……」
「なはは、そんじゃそこらの喫茶店にでも入ろっか! まったりお茶でもしながら、何するか考えよ~」
「ぁ、あのっ! それじゃ今度は、私がご馳走しますので! 前回は、一回もお金払わなかったので!」
「おっと、今日のシロちゃんはリッチっちかぁ? それじゃ、ご馳走になっちゃおうかなぁ~」
そんな事を言いながら、自然と隣を歩けている。
手を繋いでいるからって事もあるんだけど……本当に凄い。
私こんな風に誰かの隣を歩きながら、自然と会話出来るのってほとんど経験無かったかも。
記憶を探っても、思い出されるのはやっぱりナナさんで。
前に会った時も手を繋いだり、此方にくっ付いて来たりしながらずっとお喋りしていた気がする。
此方は背が低いので、当然歩幅も小さい。
だから普段は小走りの様にならないと、誰かと一緒に歩くのにも気を使ってしまう事が多かったんだけど……。
この人の場合は、物凄く自然に合わせてくれているのが分かる。
気が付いた時には、私と同じスピードで歩いてくれている。
前回のオフ会だと、私達に合わせて4cardもゆっくり歩いてくれたくらいだ。
ついでに言うと、フォーはもう何というか……完全に保護者ですって感じでニコニコしていたけど。
「ナナさんは、どこか行きたい所とかは……ありますか?」
「私はシロちゃんとならどこでも~。なぁんて、こういう返答が一番困っちゃうよね、アハハ。こっちはねぇ~もう一回シロちゃんのコーデやりたいなぁって。嫌じゃ無ければ」
「そ、それは全然! むしろありがたいです。以前の服も気に入ってますし、こういうのももう少し知りたいなって……」
「ヤタッ! それじゃお茶してからは、また服見に行こっか。時間はたっぷりあるし、まったりしよ~!」
ノープランのデート、なんて言われて。
やはりどこかで緊張していたのだが。
この人と居ると……そういう不安とか、どんどん無くなっていく気がする。
きっとこれが“大人の余裕”というヤツで。
世間一般で言う、“良い女性の条件”というヤツなのかもしれない。
私はsevenの様にはなれないけど……それでもやはり。
予定なしでお出かけした所で、この人の悪い所なんて一つも見つかる気がしないや。
コメント
1件
第113話、めっちゃ良かったわ!シロさんがテスト期間の仲間たちに「教えようか?」って自然に言えるの、もう完全にチームの母ポジションじゃん。出っ歯さんの「赤い悪魔と戦う定め」とか赤点大魔王とか、中二病全開なのに最後は「シロ様お願いします」って土下座してて笑ったw そしてsevenとのデートも尊いな…。歩幅合わせてくれるとか、大人の余裕ってやつか。シロさんの「こんな風に誰かと隣を歩くのは経験ない」ってセリフがグッときたな。くろぬかさんの日常パート、ほっこりする。