テラーノベル
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なんだかんだ勉強合間に書いて書き終わるんだよな…(大体40分)
🧣「ん…ぐぅ…!!」
⚔️「あまり動かない方が貴方のためですよ」
🧣「倉、橋…」
先日、上から『蘆屋道満を排除しろ』と命がくだった。なぜかは教えられなかったが、命令が出た以上、殺すだけだった。そこで大きな壁は、2つ。1つは、朱雀…烏丸蘭丸の存在。そして2つ目は、今目の前に捕らえている秦中飯綱。2年間生徒と教師という関係を持って、隠し事が通じないのは分かっていた。細心の注意は払ったはずだったが、数時間前、秦中は俺の前に現れた。まぁ、結果秦中は俺に負けてここにいる。そして、俺も。はっきり言って、秦中は強かった。秦中が使うのは鎌だったせいか、刀の対処が手慣れていた。それを差し引いたとしても、秦中は強かった。人間が台頭した現代において、ここまで戦闘慣れしている妖怪は少ないだろう。おかげで俺は、左手が上がらない
🧣「手当て…なんのつもりだ?」
⚔️「痛む左腕に鞭打って手当てしてあげたんですよ?」
🧣「…」
⚔️「なにか?」
🧣「目的はなんだ。なぜ俺を殺さない」
死にたいわけじゃにだろうに…いや、この場合は使命感だろう。実に健気だ。面白い。秦中の寝るベッドに乗り上げ、逃げる秦中を壁際へ追い詰める
⚔️「…ハァ…ねえ、秦中先生」
🧣「…なんだ」
両手でなるべく優しく顔を包み込むように目を合わせた。座っているので、自然に見上げる形になっている秦中。変わらず、意思の強そうな目をもっていた
⚔️「僕はね、別に貴方のこと嫌いってわけじゃないんですよ」
🧣「…」
⚔️「だから…一回だけチャンスをあげます」
🧣「チャンス?」
⚔️「秦中先生。俺に飼われてくれませんか?」
🧣「…は、…?」
やっと、その瞳が揺らいだ
⚔️「貴方にも理解できるように言うとしたら…飼い主が蘆屋道満から俺に変わるだけです」
🧣「何を言ってるのか、分からない…」
⚔️「もし貴方がこの条件を飲むなら、俺は蘆屋道満に…学園長に手を出さない」
🧣「…!」
⚔️「どうしますか?」
🧣「…時間、くれ」
⚔️「嫌です。今、ここで決めてください。…貴方は、俺に負けたんだから」
🧣「…!!」
どうやら気づいたらしい。これは秦中にとっては敗戦処理なのだ。つまり、これは提案ではなく、命令。それでも、こちら側も譲歩…交換条件だ。かなり優しい敗戦処理だと思う
⚔️「さて、これが最後です。…飼われてくれますね?」
🧣「………ぁぁ…」
らしくもない…消え入るような声だったが、確かに秦中は了承した。俯くように視線を外した秦中を、再度こちらに向かせる
🧣「ぐっっ…」
⚔️「さて…ペットを飼ったら最初にやることはなんだと思います?」
🧣「は…?」
⚔️「答えを聞いてるんですけど」
🧣「っ……柵、つけたり、ブラシ揃えたりとかか…?」
⚔️「それはもちろん。後でちゃんと揃えてあげます」
🧣「他…」
⚔️「牙は敵に向けるものであって、飼い主に向けるものではない」
🧣「…!!!」
⚔️「そう。察していただいたと思いますが、…躾です」
🧣「っっ、」
それが…秦中の躾をしきれなかった蘆屋道満がこの場合は悪い。躾けられないなら、最初から飼うべきではない。中途半端に躾けるから、こうなる
⚔️「…そんなに怖がらなくても、早々捨てはしませんよ。それもまた躾ですから」
🧣「…なんで、俺なんだ…?」
⚔️「…理由が必要ですか?」
🧣「いや…すまん。なんでも、ない…」
面白みに欠けるな…十分楽しめはするだろうが、退屈はしそうだ
⚔️「試しに首輪でもつけますか…」
🧣「はっ、?」
⚔️「おや。つけたいですか?」
🧣「フルフル」
⚔️「まぁ後ほどその服は処分しますがね」
🧣「…」
⚔️「ちゃんと服揃えてから剥ぎ取るんでそんな目で見るな」
🧣「…どんな目だよ…」
聞こえてるぞ。この距離で声を潜めても意味ないだろうに…
⚔️「…」
🧣「ぁぐっっっっ?!」
ふと、秦中の口に指を入れ口を開かせる。苦しいのか、時々むせている。生理的な涙を流し始め、困ったような顔で見上げてきたあたりで、指を口から引き抜いた
🧣「ガハッッッ…ハァハァ…???」
⚔️「ん。いい子」
🧣「…?」
⚔️「今の行為になんの意味があったと思いますか」
🧣「…噛まない」
⚔️「そう、正解。よくできました」
そう言って撫でてやると、すごい顔をされた。飼い主に向ける顔か、それ。ただ、これくらいが秦中らしくて愛おしく思える
⚔️「さて…少し頑張ってもらいましょうか」
🧣「は…?…グッ!、」
⚔️「すみません。貴方の血が必要でして」
🧣「なに、するつもちだ…?」
⚔️「貴方を信用しないわけではないですが…万一誰かに盗られないように…盗難防止ですペロッッ」
🧣「?!なにして、」
⚔️「血の繋がりってのは、かなり濃いものなんです。だから、無理矢理貴方との繋がりを作る」
🧣「??」
⚔️「使い魔とか言えば分かります?」
🧣「…!」
⚔️「そういうことです」
貴方、夷三郎さんと漫画の話するんでしょう?だったら2、3回はそういう話あったでしょ。あれがフィクションなわけないのに
⚔️「で、今から貴方に多分かなりの激痛はしりますけど耐えてください」
🧣「…?…?!!!あ゛あ゛あああああ!!…ぐぅ、ぁ…ぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ああああ!! 」
秦中が呻くと言うことはかなりの激痛なんだろう。今まで、使い魔は見たことがあるが使役の儀式は見たことがなかった
🧣「あぐっっ…!!ぅぅぅ…」
⚔️「…秦中?」
急に呻き声が止んだかと思えば、秦中は気絶していた。先ほどの怪我もあっただろう。体力なんて振り絞ったに過ぎなかったらしい。気絶しているが、中断すべきだろうか。それとも、続けるべきなのだろうか。自分はこう言うのには明るくない。もし万一があった場合、秦中は助からないだろう
⚔️「…もしもし、夷三郎さん」
⚔️「起きろ、秦中」
🧣「んぅ…?ハァ…、」
⚔️「…しんどいのか」
🧣「少、し…」
やはり気絶していたものの、影響は出るらしい。夷三郎さんいわく、激痛に耐えかねて使い魔が死なないように睡眠薬や鎮静剤を用いて感覚を麻痺させるようだ。既にやらかしていた。本当にすまなく思う。不甲斐なさすぎる飼い主だ。遅すぎるが、気絶した秦中に鎮静剤を飲ませて儀式をやり切った
⚔️「すみません…俺の落ち度です」
🧣「…?」
⚔️「無事でよかった」
🧣「…!」
⚔️「何か?」
🧣「いや…馬車馬のごとくこき使われるかと思ってたから…」
⚔️「貴方が俺に飼われてる限りはそんなことしませんよ。ちゃんと週休2日取ってあげます」
🧣「ホワイトだな…」
…急に大人しくなったな。本来がこっちなのか?…いや恐らく、絆されている。俗にいう、『ストックホルム症候群』。誘拐や監禁などによって異常なストレスの中で犯人に対して親近感や恋愛に近い感情を抱く状態のことだ。恐らく、儀式の際の激痛がとどめをさした。これはこれで別にいい。秦中の性格を壊すことなく、自分へ依存させられる
⚔️「…やっぱ貴方服買わないとまずいですね」
🧣「?」
俺のペットってわかるように
⚔️「そんな血まみれの服は流石に衛生的に良くないですけど…貴方身長180ありますよね?」
🧣「あるけど…」
⚔️「どうしましょうかね…」
🧣「…なんでもいいけど、」
⚔️「…下って斬りましたっけ?」
🧣「一ヶ所だけ」
…そんな上半身狙ったっけ…?え、無意識で、避けた…?!
⚔️「…ならいいです。昔着てた着物あげるので、上はそれきてください」
🧣「分かった」
⚔️「持ってくるので待っててください」
🧣「ん…」
…ダメだ、この人。人の性癖ぶち壊しにきてる
🧣「倉橋?」
着物は絶対丈が足りないので、下のズボンはそのまま、上のシャツだけ脱いで着物に着替えろといった。言ったが…
⚔️「…」
🧣「え、変?」
⚔️「そういう、わけじゃないんですが…」
胸元が、大胆に開いた着付けになっている。しかも、腹に包帯を巻いているので、…大変エロい
⚔️「着崩すなっっっ///」
🧣「すまん」
自分がおかしくなりそうだったので、前を閉じた
⚔️「ふー…あ、それと。首輪とチョーカーどっちがいいですか?」
🧣「特にこだわりないけど」
⚔️「…チョーカーにします 」
🧣「?うん…」
⚔️「さて…まず何から仕込むか…」
🧣「…マジック見たいのか?」
⚔️「貴方舐めてます?それとも素ですか?」
🧣「?」
あー…この人無意識に煽るタイプだ
⚔️「芸じゃなく、躾の話です」
🧣「…」
⚔️「随分余裕そうですね?」
🧣「俺がそんな早く覚えられないの知ってるだろ」
⚔️「えぇ。ですので、身体の方に覚えてもらおうかと」
🧣「…怪我治るまで待ってくれたりは?」
⚔️「それは待ちます」
俺が儀式間違えて鎮静剤も打たずにやって悪化したのもあるでしょうし
🧣「あ、そう」
⚔️「…ぁ」
🧣「?」
⚔️「もう朝5時だぁ…とか思いましたけど、俺も貴方も学校どころじゃないですもんね」
🧣「あー…」
⚔️「…ま、貴方は晴れて無職になったんですから…ちゃんと俺のワンちゃんしてくださいね?」
🧣「イタチなんだけど?」
挑発的に笑う秦中。ああ、こういう顔もする人だったなと改めて思う。この具合だと、ベッドマナーくらいしか教えることはないだろう(これもなんとなく知ってそうではいるが)
⚔️「…寝ます?」
🧣「そーだな…」
2人してベッドに倒れ込む。いや、傷広がったらどうすんだ
⚔️「おい…」
🧣「俺頑丈だから」
⚔️「…まずその癖から矯正してやる」
🧣「へーへー。頑張ってくださいネ。ご主人サマ?」
⚔️「…煽り癖も矯正してやる」
🧣「できるのかね〜…」
⚔️「覚えてろよ…」
🧣「そのセリフすっげぇ小物感ありますね(笑)」
⚔️「てめぇ…」
🧣「なんでしょう?」
⚔️「…今はとりあえず置いとくか。…おやすみ、飯綱」
🧣「…💤」
なんだコイツ。寝てんじゃねーか…!!
しかし、実感が湧かない。隣で呑気な寝息を立てている人物が、本当に秦中なのか分からなくなってきた。確かめがてら顔を覗き込めば、いつのまにかメガネは外していて、ある種素顔がみれた。目にかかった前髪をどかしてやり、しばらく眺めてみる。しばらく眺めて触れてみれば、そこにはちゃんと血の通った生物の体温があった。自分と同じ世界を歩ませるには綺麗すぎる気もするが、それを汚す快感というのも知りたい。いや…自分と同じところまで堕ちてきて欲しいだけだ。この綺麗な男を、汚して、穢して、乱して。それでもきっと秦中は綺麗なままなんだろう。と言うのも、そもそも最初は殺す気だった。ただ、自分に斬られ、また自分を斬り、血に塗れ、月明かりに照らされ佇む秦中が、この世の何より綺麗だった。ただ、見惚れた
⚔️「あーあ…勿体ねぇ」
こんな綺麗な妖怪を2年近く放置していたなんて
コメント
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なんじゃこりゃ〜最高ですねほんと!!!