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叶side
『葛葉。入るよ。』
あー、もうだめになっちゃったかな、葛葉。
『葛葉、元気出して。』
《も〜〜無理ー!!!》
普段に増してハスキーな(泣いて枯れ果てた)声で叫んだ。
布団に全身が包まって、ダンゴムシみたいな…。
『だんごむし…。』
《叶ぇぇ、、ダンゴムシとか言うなぁぁ、、、》
まだ、大丈夫そうなのかな。
『明日さ、海行かないかって明那と話してたんだ。』
《うみぃ、?》
『うん。』
《……行くぅ、、》
『今日はゆっくりしてていいから。気が向いたら上きてよ。』
《来て、叶》
『なに?』
布団からぬくぬくと起きてきた葛葉は僕を抱きしめる。
暫く、沈黙が続く。
『葛葉?』
《叶ありがとーー!!!めちゃめちゃ元気!!明那ー!!》
見違えるように葛葉が元気よく階段を駆け降りる。
ほんとにわかんない。あの人。
明那side
いつまで、ここに居ていいんだろ。
いつまで、ふわっちから逃げるんだろ。
いつまで、叶さんたちに迷惑かけるんだろ。
《明那ーー!!あれ、》
床にだらしなく溶けているところを見られた。
《あちなの方が今度落ち込んじゃってんじゃんー!》
ちょっと困った顔して叶さんがゆっくり階段を登ってくる。
「元気になったの?」
《えーうんまぁそりゃ俺だからね。》
「そっか。葛葉だもんね。」
『2人はゆっくりしててよ。僕行くところあるから。』
《えー?!なにー?俺も行きたいー!》
『えっ…?んー、別にいいけど。』
《ほんとっ?やった!明那は?》
まだどうしても動く気になれなかった。
「俺は…いいや。」
『帰るの少し遅くなっちゃうけど、帰ってくるから。』
心臓がきゅっとなった。
叶さんはいつだって優しい。
その分裏で1人苦しい思いをする。
『大丈夫。明那。待ってて。』
頭を優しく撫でられて頷く。
『葛葉、行くんでしょ。』
《ういぃーー!》
『いってくるね、明那。』
「はい。行ってらっしゃい。」
久しぶりのような、感覚。
誰もいなくなって、急に自分の存在が浮き彫りにみえる。
無意識にふわっちのことを考える。
ふわっち、、。俺今1人だよ、。
「ぬれて あしに ついた すな
かわけば おちてく ように
あなたと いた ひびも
いつかは かぜに なる。」
何の感情も持たず、ぽつぽつと呟く。
まだ現実を見たくなくて、目を閉じる。