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それから1ヶ月後───
結婚式の喧騒を離れ、私たちが降り立ったのは
青い海に抱かれたプライベートアイランドのヴィラだった。
「やっと、二人きりだ……」
ホテルの部屋に入るなり、徹さんは荷物も置かずに後ろから私を抱きしめた。
窓の外には沈みゆく夕日が海を黄金色に染めているけれど、彼の視線は一度も外を向くことはなかった。
「徹さん、まずは着替えてから…あ、見て、テラスにシャンパンが──」
「そんなの、後でいい」
徹さんの声は、いつになく低く、熱を帯びている。
彼は私の首筋に顔を埋め、深く、深く呼吸をした。
まるで、一年間待ちわびた「ご褒美」を
一秒も無駄にせずに味わい尽くそうとする獣のような、純粋で激しい執着。
「……今日からは、誰の目も気にしなくていい。会社での立場も、高橋の看板も……全部脱ぎ捨てて、ただの『俺の妻』でいてくれればいいから」
そう囁くと、彼は私のドレスの背中のファスナーを
ゆっくりと、けれど確実な足取りで引き下げた。
肩から滑り落ちるシルク。
剥き出しになった肌を、夜の気配を含んだ海風が撫でる。
けれど、すぐに徹さんの大きな手のひらが、その冷たさを上書きするように熱く這い上がってきた。
「っ、あ……とおる、さん……」
ベッドに押し倒されると、彼は私の両手首を枕元に固定し、逃げ場を塞いだ。
今夜の彼は、これまで以上に強引で、それでいてひどく切なげな表情をしていた。
一年前、嘘の恋人として彼に拾われたあの日から
この瞬間に至るまで、彼がどれほどの抑圧に耐えて私を「守って」きたのか。
そのすべてが、突き上げられるような腰の動きと、激しい口づけから伝わってくる。
「……ずっと、こうして、結衣の全部を俺だけのものにしたかった……っ」
甘い言葉を吐きながらも、その行為は苛烈で、私の意識を何度も白く染め上げる。
キスマークが、鎖骨に、胸元に
太ももに、一つ
また一つと増えていく。
それは、彼が「高橋夫人」という地位を私に与えたのと同時に
逃れられない愛の鎖で私を縛り付けた証のようだった。
「……ねえ、結衣。名前を呼んで。…俺の名前を」
「…んっ♡♡ぁ…あぁっ…♡とおる、さん……。徹、さん……っ、…!」
その言葉が、彼の理性の最後の一線を完全に焼き切った。
朝まで続く、濃密で、逃げ場のない愛の嵐。
窓の外でさざなみの音が響く中、私たちは互いの魂を削り合うようにして
「本当の夫婦」としての深い深い快楽へと沈んでいった。
#ワンナイトラブ
おまる
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