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その日を境に、涼ちゃんの様子は少しずつ変わっていった。
時折、ふらりと立ち上がろうとしてバランスを崩したり、
ベッドの上で急に力が抜けて倒れ込むように眠りこんでしまうことが増えた。
言葉の途中でぼんやりとして、目の焦点が合わなくなることもあった。
一度、𓏸𓏸や看護師が見守る中で、
突然涼ちゃんの意識が遠くなり、そのまま倒れ込んでしまった。
数秒もしないうちにまた目を覚ましたが、
その顔色は青ざめて、息も苦しげだった。
「涼ちゃん、だいじょうぶ!?」
𓏸𓏸が心配そうに声をかけても、
涼ちゃんはうなずくだけで、力なく笑うだけだった。
――薬の副作用だった。
飲みすぎた眠剤や抗不安薬の影響で、
体は少しずつ、確実に蝕まれていた。
病室には、説明できない不安と重苦しさが
ゆっくりと広がっていった。
医師や看護師も、その度に涼ちゃんの様子を確認した。
声をかけ、必要な処置をした。けれど――
涼ちゃんの心の奥にある痛みまでは、
誰にも届かないままだった。