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『バレンタインまであと7日』
tg視点
昼休みの教室は、やたら騒がしかった。
「ねえ、今年どうする?」
「もう誰にあげるか決めた?」
——バレンタイン。
その単語が聞こえるたび、
俺、ちぐさの心臓はピクッと跳ねる。
(……まだ7日もあるのに)
そう思うのに、
なぜか落ち着かない。
そんなときだった。
「ぷりっつってさ〜」
「今年も絶対モテるよね」
——え?
手に持ってたペンが、止まる。
(……ぷりちゃん?)
聞こえてきたのは、
教室の前の方で話してる女の子たちの声。
「顔いいし、優しいし」
「バレンタイン当日、屋上とかどう?」
(……屋上?)
胸が、きゅっとなる。
(それ、俺が……)
無意識に、ぷりっつのほうを見る。
ちょうど目が合って、
ぷりちゃんが首を傾げた。
「……どしたん、ちぐ?」
「な、なんでもない!」
思わず目を逸らす。
(なに今の)
(俺、めっちゃ怪しいじゃん)
一方その頃。
(……なんやこの噂)
ぷりっつは、内心めちゃくちゃ焦っていた。
(屋上て。 誰発信やねん)
ちらっと、ちぐを見る。
俯いてる。
明らかに元気がない。
(……まさか)
昨日。
ちぐから言われた、あの一言がよぎる。
『バレンタインの日、あいてる?』
(あれ聞いたあとに、
他からそんな話されても……)
ぷりっつは、ため息をついた。
放課後。
ちぐは、廊下の掲示板の前で立ち止まっていた。
「……“バレンタイン注意事項”」
手作り可。
放課後の立ち入りは許可された場所のみ。
(……屋上、OKなんだ)
そこまで読んで、
後ろから声がした。
「ちぐ」
「ぷ、ぷりちゃん!?」
心臓に悪い。
「今日、やけに静かやな」
「そ、そう?」
「昼も変やったで」
じっと見られて、
視線が泳ぐ。
(言えるわけない)
(女の子たちの話、聞いちゃったなんて)
「……別に」
ぷりっつは、少し困った顔で頭をかいた。
「……変な噂、聞いてもうた?」
「え?」
「屋上がどうとか」
ちぐの肩が、びくっと跳ねる。
(ばれてる!?)
「……」
沈黙。
ぷりっつは、ゆっくり言った。
「先に言っとくけどな」
「?」
「俺、当日はもう予定決まっとるから」
——予定。
心臓が、どくんと鳴る。
「……誰と?」
思わず、聞いてしまった。
ぷりっつは一瞬黙ってから、
ちょっとだけ笑う。
「……秘密」
「え……」
「だから、 変な期待はせんでええ」
それだけ言って、
ぷりっつは廊下を歩いていった。
その夜。
ちぐは、机の上に広げたメモを見つめていた。
「……秘密って、なに」
屋上。
予定。
決まってる相手。
(俺じゃない可能性、普通にあるよね)
でも。
(……俺が聞いたのも、
バレンタインの日、だし)
頭がぐちゃぐちゃになる。
スマホを握りしめて、
小さく息を吸った。
「……ちゃんと、決めなきゃ」
チョコのことも。
気持ちのことも。
ーーバレンタインまで、あと7日ーー
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コメント
3件
tgちゃんがんばれ〜👍🏻 あとバレンタインまで1週間か〜 続き楽しみ!