テラーノベル
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「芥川さん!早く早く!」
遊園地に行く準備を終えたQが、芥川を急かす。
「そんなに急いでも待つ時間は変わらないだろう」
そんなことを云いながら、二人は玄関の戸を開けた。
「銀、今日は家のことを頼んだぞ」
「もちろんです」
今日は芥川兄妹揃って休みの日だった。
そして戸が閉まる。
空はとても綺麗な、澄んだ空色一色だった。
Qは、はぁっと息を吐き、そして云った。
「見てみて、芥川さん!息が白いよ!」
「そうだな、寒くてかなわんがな」
そんな話をしながら、二人は遊園地へ到着した。
開園前の遊園地の列の中に、敦がいた。
敦は、まだ遊園地が開く前に先に列に並んで待っていてくれたのだ。
「敦さん、ありがとう!」
Qが敦に駆け寄り、云った。
「えへへ、どういたしまして」
すると、芥川が敦を睨んだ。
「、、なんだよ」
「フンッ、」
敦には、相変わらず芥川の心情が読めない。
“まもなく、コ◯モワールドオープンです!”
アナウンスが鳴り響き、ゲートが開いた。
敦たちが、遊園地に一歩踏み入った。
その瞬間に、地獄のカウントダウンがスタートした。
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「あれ乗りたい!」
Qが指したのは絶叫コースター。
「よし、行こう」と、芥川。
しかし、敦は一歩も進まない。
「?どうしたの敦さん、トイレ?」
Qが尋ねる。
「まさか、」
芥川はそこで一度セリフを切って、少し笑みを浮かべて云う。
「怖いのか?人虎」
敦はピクッと反応し、歩みを進めて云う。
「そんなわけ無いだろ、、、、、」
そう云う敦だったが、額には汗が浮かんでいる。
「なんでも乗ってやる!」
「そう来なくては」
「んー、なんかよくわかんないけどレッツゴー!」
「はぁ〜!楽しかった!!」
「あぁ、中々悪くなかったな」
そう云って芥川は敦を見る。
敦は頭を抱えてブツブツとなにかを云っている。
「死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った(以下同文)」
「すまん、そこまでだったとは」
芥川はお茶を飲みながら云う。
「、、絶対思ってないだろ、、、、」
敦が芥川を睨む。
その後も、三人はいろいろなアトラクションを堪能した。
空中ブランコではQの帽子が飛ばされ、全力で取りに行き、コーヒーカップでは芥川がフラフラになり、広場のショーでは、三人で楽しく踊った。
「じゃあ次はあれ乗ろう!」
Qが指したのは観覧車だ。
今は運良く空いている。
「じゃあ乗ろ、、」
敦がQを抱きかかえて、弾丸を避けた。
他の客の悲鳴が響いた。それは、突然の出来事だった。
誰かがQを撃とうとした。
しかも、狙ったのはQの足付近。
わざと外して撃ったのだろう。ということは――
「、、芥川」
「あぁ、不幸にも、乱歩さんの推理が的中したようだ。やはり、あの人はすごい」
芥川と敦は立ち上がり、体制を整えた。
すると奥から、二人の人物が出てきた。
一人は小柄で、帽子を被り、白いスーツを着た男。
もう一人はボサボサの頭髪に黒い服、そして、頭、首、手足に白い包帯を巻いた男だ。
敦は固まった。
「あ、、あなたは、、」
「久しぶりだねぇ、”敦くん”。虎の異能は制御できるようになったかい?」
敦に恐怖の電気が走る。
「だ、太宰、、さん、」
芥川は敦を見た。
敦は不安と怒りが混ざったような目で、太宰を見ていた。
太宰はニッコリと笑って、それから云った。
「私の名前、覚えてくれてたのか。嬉しいね」
芥川は、敦に訪ねた。
「知り合いなのか、?」
「知り合い、、というか、昔ちょっと会った、、というか、、」
太宰は芥川の方を向き、それから云った。
「どーも!はじめまして、ポートマフィア幹部、太宰治でーす」
「、、武装探偵社の芥川だ、」
“幹部”という言葉に警戒しながらも、自己紹介をする芥川。
太宰は「あ、そうそう」と手をたたき、中也をさして云う。
「こっちのおチビちゃんは会ったことなかったよね!この人はポートマフィア準幹部の中原中也くんでーす!」
太宰は敦と芥川にニコッと笑ってみせる。
「誰がおチビちゃんだ、この青鯖!!」
「うるさいなぁ、なら蛞蝓に変えてあげるよ、仕方ないなぁ」
「あ゙ぁん!?」
太宰と中也が喧嘩している中、芥川と敦はそれぞれ固まっていた。
汗をかき、心拍数を上げながら。
芥川はこのコンビを知っていた。
太宰治と中原中也の二人組。”双黒”と呼ばれる、黒社会で知らない人はいない、最強・最悪のコンビだ。
その双黒が目の前にいる。
何なら先程、人一人殺しかけた。
芥川は警戒を続ける。
敦もだ。
芥川と同じく、指先などが震えている。
敦が震えているのは、眼の前に太宰治という男がいるからだ。
今、自分の後ろで怯えているQを、敦の大切な人を、また奪おうとしてきたのだ。
それに、敦の震えは、恐怖によるものではなかった。怒りだ。
とてつもない怒りが、敦の心の中で、業火となって燃え上がっている。
「っと、お話はここまでにしてっと、本題に入ろうか」
太宰は、視線を中也から敦と芥川へ向けた。
「私たちが今日この場所に来たのは、もちろん、お話をするためじゃない。その子を貰いに来た。」
太宰は、敦の後ろにいたQを指さした。
「ぼく、?」
Qが不安そうな目で太宰を見つめる。
「そうだ、悪いようにはしない。しっかりと面倒は見るよ。ただ、少しだけ。君の異能力を使わせてもらうだけだ」
その言葉を聞いて、Qの表情が暗くなり、俯いた。
Qの異能力――ドグラ・マグラは、Q自身、自分でも制御不可能な異能。
発動条件は、Qを傷つけること。Qを傷つけることで、呪いの受信者となり、Qの持っている人形を破壊することで呪いが発動される。
周囲の人間を、無差別に襲ってしまう、とても強力で恐ろしい異能力だ。
そんな能力を、ポートマフィアのものにしてしまえば、とんでもなく大変なことになるに違いない。
敦は、太宰に向かって重い口調で云う。
「そんなの許されるわけ無いだろう。駄目に決まっている」
「人虎の云う通りだ、Qは僕が世話係、故に仕事を取られては困る」
太宰はニヤリと笑って云った。不気味な笑みだった。
「もちろんタダでとは云わない。交換条件でどうだろう?」
「交換条件、、?」
敦と芥川が尋ねる。
「あぁ、武装探偵社に、”鏡花ちゃん”をわたす と云ったらどうする?」
「え、、、、、、」
敦が絶句した。
「今、、、なんて、、、、」
すると、太宰の後ろから一人の少女が現れた。
「鏡花ちゃんだ。君もご存知の、ね」
「鏡花、?」
芥川が問う。
芥川の、そんな言葉も敦の耳には届かなかった。
目の前の、視界に入っている景色に夢中になっているからだ。
そして、敦が下す、決断は一つ。
「その取引、応じます」
全員が沈黙する。
そして誰よりも先に口を開いたのは芥川だった。
「しょっ、、正気か人虎!!Qが奴らの手に渡れば、探偵社もヨコハマも、僕や人虎、その鏡花という奴も、みんな死ぬかもしれないのだぞ!」
「でも、、やっと会えたんだ!鏡花ちゃんに、、ずっと待ってたんだ!!」
中也は二人のやり取りを見て云った。
「まじか、、手前は最初からこうなると予測して、、」
「まぁ一応ね。取引に応じられなかったらどうしようかと思ったけど、、彼は鏡花ちゃんのことになると命に変えてでも守ろうとするからね」
中也は太宰を見上げて云う。
「なんで分かる」
「わかるさ、君も知っているだろう」
中也はハッと何かに気づき、少し目を細めた。
「なるほど、な、、」
その間にも、芥川は敦の胸ぐらを掴み、叫んだ。
「とにかく、取引に応じては駄目だ!敵の思い通りに動かされるぞ!鏡花は諦めろ!今はQが優先だ!!」
「鏡花ちゃんを、諦める、、?」
敦の目が暗くなる。
「そんなの無理に決まっているだろ!!芥川、お前にとっての銀さんぐらい大事な人なんだぞ!?」
芥川は「そっ、、」と何か云いかけたが、すぐに黙り込んでしまった。
すると、隙を見た敦が太宰に云った。
「取引を、!」
Qが暗然とする。
敦はQを見る。辛い表情で。目を細めて。
そして、Qの肩を掴む。
「ごめ、、ごめんな、、、」
敦はいつの間にか泣いていた。
Qは唖然とする。
「あつ、し、さん、」
「絶対、助け、に、行く、からっ、、」
「、!」
Qは小さく「信じてるから」と云い残し、太宰の元へと云った。
そんなとき、鏡花が敦の元へ駆けてきた。
抱きつく。
「鏡花ちゃん、!!」
敦の目から涙が溢れる。
「よかった、、よかった、無事で、っ!」
その間に、双黒とQは姿を消していた。
芥川は途方に暮れた表情で、「なにも、できなかった、、」と呟いた。
その後、芥川と敦と鏡花の三人は、探偵社へと向かったのであった。
#文スト太宰治
#ホラー
コメント
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うわっ、遂に来たか双黒…!前半の遊園地で三人が楽しんでるシーンが微笑ましかっただけに、太宰さんと中也さんの登場で一気に空気変わって鳥肌立ったわ。敦が鏡花ちゃんのためにQを手放す決断、あの葛藤と涙が胸に刺さる…「絶対助けに行く」って約束、守ってほしい。芥川の無力感も伝わって辛い。続きが気になりすぎる🔥