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物好きな蝶々と、孤独だった狼のお話。
【注意事項】
こちらの作品は、実在する方々のお名前と、一部容姿をお借りした二次創作作品です。
公式様方と一切の関係はございません。
そして何から何まで捏造です。
誤字脱字などありましても、暖かい目で見守っていただけますと幸いです。
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あるところに蝶々がおりました。
蝶々は人気者で毎日たくさんの動物さん達と楽しそうにお話をしています。
あるひ、蝶々は草原の近くにある森が気になりました。
その森は深く、終わりが見えませんでした。
蝶々は好奇心が湧き出て、その森に入ることにしました。
いざ、森に入って見ると思っていたよりも周りは明るく、道も綺麗に整理されています。
そろそろ戻ろうか。
そう思ったとき、一つの明かりが視界の端に映りました。
光の方へと目をやると、小さな池が見つかります。
「あれ、は…」
蝶々は驚きました。
なんと、池のすぐそばに狼がいたのです。
緑がかった黒色の暖かそうな毛布。
見惚れてしまうほどのペリドットの宝石。
なんて綺麗なのでしょう。
蝶々は思わず羽ばたくのを忘れて、しばらくその狼を見つめていました。
狼は池の水面を静かに覗き込み、まるで宝石のような瞳に揺れる光を映しています。
そのとき、狼がふっと顔を上げました。
ペリドットの宝石が、まっすぐ蝶々の方へと向きます。
「…蝶々…?」
低くて、でも驚くほど穏やかな声でした。
「は、初めまして…蝶々と申します…」
蝶々の声は自身でも驚くほどに震えていました。
「…そこで何を?」
蝶々は正直に答えます。
「何を、というか…その見惚れてしまって…」
狼は驚いたように目を見開きました。
「狼さんが、綺麗で…」
「…俺が、?」
「は、はい」
狼は蝶々の言葉に戸惑ったような表情をしています。
「あ、あの!も、もしよければ、お友達になってくれませんか…?」
蝶々は気付いたら、そう口走っていました。
「…随分と物好きヤツもいるもんだ」
狼は小さく息を吐き、再び池へ視線を落としました。
「…俺は狼だ。…友達なんて、柄じゃない」
「そ、それでも…私は…!」
狼は静かに蝶々を見上げました。
ペリドットの瞳が、まっすぐに蝶々を映します。
「…お前は、怖くないのか」
「え?」
「俺なんて、お前らにとって恐ろしい存在だろう」
蝶々はゆっくり、狼に近付きます。
「でも、狼さん…とっても優しい瞳をしてます…。だから、怖くありません」
森に、やわらかな風が吹きました。
木々のささやく音が、二人の間を通り過ぎます。
狼はしばらく何も言わず、やがてぽつりと呟きました。
「変わってるな、お前…」
「よく言われます」
蝶々は何故かドヤッとした表情で言います。
狼はククッと、小さく、小さく、声を出して笑いました。
「友達、か…」
その言葉を口にするのは久しぶりなのか、どこかぎこちなさそうです。
「俺はあまり話し上手じゃない…それでもいいなら…」
蝶々の羽がぱっと大きく広がりました。
「はい!」
「…..もう帰るだろ…、森の入り口までなら送ってやる」
「え、送ってくれるんですか?」
「この森は見た目ほど単純じゃない。迷うやつも多い」
そう言って、狼はゆっくりと立ち上がりました。
靱やかな身体が月明かりに照らされ、黒と緑の毛並みがきらきらと輝きます。
蝶々はその横に並ぶように飛びました。
「じゃあ、お願いします…!」
「あ、そうだ。狼さんのお名前、聞いてもいいですか?」
「…ルーフだ」
「ルーフさん。いい名前ですねっ」
その名を呼ぶと、狼の耳がぴくりと動きました。
「…お前は?」
「私ですか?私はエールです。」
「…いい名だな」
「…!ありがとうございます」
蝶々はふふっ、と嬉しそうに笑いました。
森の道を、狼と蝶々が並んで歩みます。
大きな足音と、小さな羽音。
不思議と、その歩幅はぴったり合っていました。
やがて森の出口が見え始めたころ、ルーフがふと立ち止まります。
「また来るのか」
「もちろん。今度は、ルーフさんのお話を聞きに来ますね」
ペリドットの宝石が、やわらかく細められます。
「…待ってる」
その一言はとても小さくて、けれど確かでした。
蝶々は夜空へとふわりと舞い上がります。
その日。
森の奥、ひとりでいるはずだった狼の胸に、ほんのりとあたたかな光が灯りました。
それは、小さな偶然が運んできた、
◆
「『はじめての”ともだち”という名の光でした。』…って、寝てしまいましたか…」
小さくそう呟いて、エーミールは本を閉じた。
腕の中では、ゾムがすやすやと寝息を立てている。
さっきまで「続き」とかなんとか言っていたくせに、数分もしないうちにこれだ。
いつもは鋭く細められている目元も、今は完全に力が抜けている。
「無防備やなぁ…」
そう言いながらも、毛布をきちんとかけ直すエーミールの手つきは、驚くほどに慣れていた。
角にある一つの部屋。
ランプの灯りが、二人を照らしている。
エーミールはゾムの寝顔を見つめながらふと、こんなことを思った。
この物語は、まるで昔の自分のようだ、と。
エーミールは小さく深呼吸をした。
「…この軍に入って…貴方達と、貴方と出会えて、本当に良かった」
眠る彼の手の甲をそっとなで、瞼を閉じる。
その日の夢は
なんだかとても心地が良かった。
どんな夢かはわからない。
けれど、すぐ隣にはペリドットの宝石があった。
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