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海は好きだ
海を見てると落ち着く。
おしとやかで何も無いように見えるけど、実は沢山の生き物が住んでいて、すごく深い。
『まるで私みたい』なんて、我ながらイタイ事を思ったり
もともと一人が好きだったから、その時間はもの凄いスピードで進んでゆく
特に冬の海が好き。
ド田舎だし。ましてや夜なんて好んで海に来る人がどこにいるのか
私だけだな。
今、時が止まればいいのになってよく思う。
夜に家を抜け出して、とっても静かな海をただ眺める。
何も考えずにいられる、唯一の場所だった。
でもそれは…
「イルカー!ボーッとすんなー!」
その声で「はっ!」と意識が戻る。
うわ、ここ教室じゃん。
私の名前、入海梨花(イルミリンカ)
ある特定の奴には嫌がらせのごとくイルカと呼ばれる。
「ねぇイルカ聞いてんのー?」
そう。コイツ。
幼馴染みの森岡華(モリオカハナ)
「どうせ愚痴言ってんでしょ。モリオくん」
だから仕返しといってもなんだけど、私はコイツをモリオと呼んでやっている。
「ヤバい。くん付けはちょっと嫌かも」
「あ、そ。自習だからって喋ってないで勉強し たら?」
私の通っている高校はとても良い学校だ。
本当なら地元のボロ高に行く予定だったけど、小中高と同じ顔のヤツらばっかで正直ウンザリしていたもんで
両親に頼み込んで隣町の高校へ行かせてもらったのだ。
感謝しかない。
でも、モリオだけは着いてきやがった。まぁ、一人だけならいいかと思った。どうせ別々だろうし。
とか思った私が馬鹿だったよ。
同じクラスで席も前後とか終わってるでしょ
仕組んだな
くるりと後ろを見ると、モリオが真面目に自習していた。
さっきまでうるさかったけど、無視し続けた甲斐があった。
それに気づいたモリオは、指を三本立ておでこに当てるという謎のポーズをとり始めた。
あー、めんどくさいやつだ。コレに反応してはいけない。
…….
今日夕飯の当番私だったなぁ。
早く帰ろ
早く授業終われ
「はい終わりまーす。」
タイミング神かよ
「林田、今日もいいテカリだねぇ」
ボソッと私の耳元でモリオが囁いた時、丁度林田先生と目が会い、吹き出しそうになった。
覚えとけよモリオ。
(あれ?一昨日ジャガイモ買ってた気がすんだ けど…)
私の家庭は両親共働きなので、兄と弟と私で日々家事を分担して生活している。
今日は私が夕飯当番の日だったからカレーにしようと思ったけどジャガイモがない。
買い出しは遠いからこの時間じゃ無理だよなぁ
…..よし!
今日のカレーはジャガイモ抜きで!
アイツらならわかんないでしょ!
一通りやる事を終えたので寝ます。
って言っても寝られるわけないだろ!
そう!
海に行ってないじゃないか!
うん。やっぱ海に行って気休めしたい。
海いってきまーす。
ザザー
やっぱ海はいいなぁ
落ち着くー!
「♪〜」
鼻歌を歌いながら、いつも通り辺りを見回す。
いつもと同じ景色だと、安心し____
ん?
あれ?
……..