コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
《一華編》
私が教室に戻ると、友達からは驚いたような視線を送られた後それぞれに目を逸らされる。
確かに芽那の言う通り、気遣うような視線は感じこそすれ、誰も話しかけては来ないこの空間は私にとって居心地が悪い。それでも、私が動かなければ何も変わらないではないか。
だから私は教室に戻ってきたのだ。
自分の席に座り、友達を見据えた。
何を話しているのかは分からないが、1人が何かを言い、また笑っている。少し前までは私もあの中に居たのに、とまた落ち込みそうだ。
トントンと肩を叩かれ、私は振り返った。
「ねぇねぇ、大丈夫なの…?
蹴られてるの見ちゃった」
あまり個人的に喋ったことがない隣の席の子だ。私に声をかけてくるのは珍しい。
どうやらトイレでの出来事を目撃されていたいて、心配してくれていたようだ。
私を気にかけてくれていた人がいて、少し嬉しくなった私は少し笑う。
「痛いけど大丈夫。心配ありがとう」
「ヤバそうだったら先生に相談してもいいんだよ…?」
「ありがとう。でもこれは私の問題だから」
教師が割り込んでしまえば、それはもう私だけの問題ではなくなってしまう。それは嫌なのだ。
流石に刃物などを持ち出して来るのなら話は変わってくるが、それまでなら割り込んで来て欲しくはない。
私が笑って言うと隣の席の子はそれでも心配そうに引き下がった。
ふと視線を前に戻すと、彼女たちは前の方の席から私を睨んで来ていた。
本当に、私はどうしてあそこまで彼女たちを怒らせてしまったのだろうか。確かに彼女たちは気が強いが、プレゼンだけであそこまで怒りを露わにすることはないだろう。
原因が他にあるはずなのだ。
そこで私はハッと考え直す。
睨んでいるのだろうか。もしかしたら私が睨まれていると思い込んでいるだけで、実際彼女たちは私をただ見ているだけかもしれない。
「ね、私って今睨まれてるよね」
「え?そ、うだね」
何を言っているのだと逆に眉をひそめられた。
残念。普通に睨まれていたらしい。