テラーノベル
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「クロノアさん何見てるんすか」
「んー?人間界に面白そうな子いるなーって」
「どれどれー?…あ、ホントだ。人間に混じって天使がいますね」
じっと翡翠色の目を猫のように細めてそいつのことを見つめている。
我が魔王に目を付けられるとは可哀想な天使だ。
「(こりゃあ、堕天させられるなぁ。強制的に)」
物欲という物欲のようなもののないクロノアさんがその天使のことを我が物にしたいと言わんばかりに見ている。
「あの子のこと欲しいな」
クロノアさんの目の色に似た緑色の瞳に、天使としては珍しい漆黒の髪。
見た目で言えばクロノアさんの方が天使っぽいけど。
まあこの人は天使なんかに程遠いくらい堕ちた存在だ。
「確かに、…俺もあいつのこと気に入っちゃいました」
妙に惹かれる存在。
俺ら悪魔の中には天使を”いろんな手”を使って”堕天”ささて愉しむ奴らもいる。
俺もクロノアさんもそういうの興味なかったから、ここまで欲しいと思ったのは初めてだ。
「かなり純粋で純潔な魂持ってるね。穢れを知らない身体みたいだ」
くっ、と喉を鳴らして笑うクロノアさんは愉しそうだ。
久々にこんな笑顔見たかもしれない。
「あ、笑った」
その天使がへにゃりと無邪気に笑っていた。
人間界で修行を積む天使もいるみたいだけど、こいつはただ遊び?に降りてるような感じだ。
それが許されるということは階級的にも上の方か。
「可愛い…♡」
それを堕とすとなれば…と、自分たちの本来もつ気性で肌が粟立った。
「めちゃくちゃにしてやりたいな。彼、どんな声で啼くかな」
「クロノアさん気ぃ早すぎですよ。まずは捕まえないと」
「仲良くなって絶望させて堕とすのも愉しそうだね」
「知らぬ間に堕とされて絶望させてもいいんじゃないんですか?なんか超真面目そうな性格してそうですし」
「縋るものも逃げる場所もなくなったところを、俺らが優しくしてあげればあっという間に心も身体も俺らのモノにできるかな?」
「するんですよ。あなたはそれが誰よりも簡単にできちゃうんですから」
「そうだね。…まぁでも手っ取り早く攫ってこようかな」
無邪気に笑うそいつが、不意にキョロキョロと周りを見渡し首を傾げた。
「おっと、視すぎたね。気付かれたら痕跡残ってやりづらくなちゃう」
この何も知らないという身体も心も、堕として自分たちだけのモノにできるなら…そう思うとゾクゾクと背筋が震えた。
「ぺいんと悪い顔になってるよ」
「悪魔ですからね。そういうクロノアさんもいっつもその顔してたら魔王らしいのに」
「性に合わないんだよ、俺元々勇者だったし」
「あー、そう言えばそうでしたねぇ」
「でも楽しいよ、魔王も」
「あなたが言うからぽいんですよねー」
その天使は気のせいだったかと肩を竦めて、人間と再び仲良く話し始めた。
「そうと決まれば、俺たちも人間界に行こうか」
「しにがみにも声かけときます。多分、あいつもあの天使のこと気に入ると思いますよ」
「うん。俺は先に行ってるね」
「はーい」
──────────────
人間に擬態して、彼のいる場所に降り立つ。
「うーん?どこにいるかな……!…いた」
形跡を辿っていくと彼は公園でベンチに1人でいた。
少し詰めが甘いのか、隠せてない人間じゃない匂いがしている。
清廉で、俺たちの嫌いな匂い。
彼のは匂いを塗り替えてやりたいけど。
勿論、俺たちみたいな存在じゃないと分からない。
稀に人間でもそういうのを見分けることのできる人種がいるから気を付けないといけないけど。
「俺は大丈夫かな」
探知はされないと思う。
そっと彼に近付き声をかける。
「すいません、隣座ってもいいですか?」
「わっ、びっくりした。…あ、えっとどうぞ」
ふにゃっと人当たりの良い笑顔を俺に向ける。
「(あぁ…この笑顔を歪ませてやりたいな。俺のことしか考えないようにしてやりたい)」
そう考えてることは悟られないように。
「暑いですね」
「え?あぁそうだね」
人間は大変だな、こんな暑さでも弱るのだから。
俺のことを人間だと思ってるから話を合わせようとしてるのかな?
半袖から伸びる素肌は、何一つ傷付くことのない天界にいるから綺麗だ。
「?、俺の腕に何かついてますか?」
「いいや?綺麗な肌してるなって、日焼けとかしないタイプ?」
「ぁ、えっと…そ、そうですね」
単純に焼けない。
天使にそんな概念ないからね。
それは俺たちも同じで。
どうやら彼は嘘をついたり誤魔化したりするのは苦手なようだ。
「あなたも日焼けとかしないんですね」
「俺?あーまぁ、引きこもってるからね」
魔界に。
「引きこもり…?……ここで知り合ったのも何かの縁でしょう。俺でよかったら何か力になりますよ?」
手を握られて、じっと緑に見つめられる。
あたたかい手。
俺の冷たい手とは大違いだ。
かなりお人好しと見た。
「俺の上司によく言われるんですけどね。しなくていい手助けはするなって。でも、ほっとけなくて…」
上司とは天使長か神のことを言ってるのだろう。
「知り合って素性も知れない俺のことを心配してくれてるんだ。優しいね」
「困ってる人を助けるのが俺の役目…じゃなかった、生き甲斐ですから」
睨んだ通り詰めの甘い、少し抜けてる天使だ。
余程、周りの天使に過保護に大事にされてるのだろう。
「えっと、それで、お名前は?」
「あぁ…クロノア。好きなように呼んで?」
「じゃあクロノアさんで。俺はトラゾーって言います」
にこっと笑う可愛い顔に口元が歪みそうになる。
壊したい崩したい歪ませたいと、トラゾーには理解できない感情が溢れそうになる。
「じゃあ早速で悪いんだけど、俺と一緒に来て欲しいとこがあって…」
わざと声を潜ませて言う。
「勿論!どこでも行きますよ!」
「……言ったね?」
握られたままの手を引っ張って緑の目をじっと見返す。
「⁇、あの…⁇」
「俺の目、見て?」
「へ…⁇」
人間界では魔王の目は邪眼だ魔眼だなんて言われてるけど、そんな大層なものじゃない。
「?、…あ、ぇ⁇」
緑がぐるぐると混乱していき、ふっと光を失った。
俺は元々人間だったわけだし。
悪魔や魔王なんかよりも欲深いのは人間だ。
それに勝る生き物はいない。
だから俺は欲しいものは絶対に手に入れるし、諦めるなんてことはしない。
瞼を閉じて俺の方に倒れ込むトラゾーを抱き止める。
そのタイミングでぺいんととしにがみくんも現れた。
「わぁ、クロノアさんが好きそうな感じの天使ですね。…いや、初めてだからそうな感じってのも変ですけど」
「魔王になってからトラゾー以外に思ったことないしね。勇者時代もそういうの興味なかったし」
抱き上げると思った以上に軽かった。
「へぇ、やっぱり天使って軽いんだ」
「あぁ、人間が好きな人に対して比喩で使うやつ」
「天使の羽根が生えてるみたいだーってやつ?」
「あながち間違いじゃないね。俺たちのこと好きにさせる、ではあるけど」
「言えてる」
抱き上げた時、微かに痛みが走ったのはトラゾーに施されてるお守りみたいなものだろう。
「天使側にも相当気に入られてるみたいだ。バレる前に戻ろう」
「「はーい」」
その場にいた者たちの記憶を消して魔界へと戻った。
─────────────
「ん、…ん…?」
公園で知り合ったクロノアさんの目を見た途端眠気に襲われてそのまま寝てしまった。
どこかの部屋にいるみたいだけど、どこだろうか。
立ちあがろうとして足に力を入れようとしたのに、何故か全く力が入らない。
「え…?」
自分の足元を見れば右足首が足枷がはめられていて鎖は壁に繋がっていた。
「え…⁈」
嫌な空気。
潰されてしまいそうなくらいに寒い。
「クロノアさん…?」
そうだ。
クロノアさんのことを助けなきゃと思って、来て欲しいとこがあると言われて…。
「あ起きた?」
気付くとクロノアさんがにっこり笑って立っていた。
「っっ!!その姿、まさか…!」
「トラゾーってば探知苦手なんだね。いや、俺のが完璧に隠してたせいもあるけど」
歩み寄るクロノアさんが怖くて下がろうとした。
けど、足枷に邪魔をされて動けない。
「トラゾーは今日からここにいてもらうよ」
「は⁈な、…嫌です!帰して!俺のことを天界に帰して……あっ…」
「きみが天使なのは知ってるよ。知ってて近付いたんだから」
座り込む俺に合わせてクロノアさんが膝をつく。
耳元に口が寄せられて囁かれた。
「トラゾーのこと堕天させる為にね♡」
「ひっ!や、いゃっ!やです!!」
擬態が解かれている為、俺の纏う服なんて簡単に脱がされる。
「やっぱり傷ひとつない綺麗な肌だ。…でも大丈夫だよ?俺がいっぱい痕付けてあげるから。天界になんて戻れないように、たくさん穢してあげる♡」
「ゃ!ぃやッ!!」
抵抗しようとしたら両腕を掴まれた。
「⁈」
「俺らの魔王に怪我させるわけにいかないからな」
「そうですね。大丈夫ですよ、うちの魔王様は優しいんで」
いつの間にか両脇に悪魔が2人立っていた。
「やっぱり探知苦手っぽいね」
するりとお腹を撫でられる。
「ひぅ…っ!」
「あなたのことやさしーく堕としてくれますからね♡」
「そうそう。他の悪魔みたいに輪姦したりしないから大丈夫だぜ。うちのクロノアさんは手に入れたモンは誰にも触らせねぇからな」
「ゃだ、たすけて…帰してぇ…っ」
止まらない涙をクロノアさんが舐め取ってきた。
「ヒッ…」
「ここがトラゾーの帰る場所だよ」
両脚を持ち上げられて、なにかがお尻に当てられる。
「なに…?ぇ、いや…まさ、か…?」
不浄とされるその行為。
ゆっくりと中に入ってこようとするもの。
「や!いやっ!!やめてくださいっ!俺、帰れなくなるっ、お願いですからっ、やめ…ッ」
「ダメ♡」
杭で穿たれたような痛み。
貫かれた感覚。
「ぃやぁあぁ────────っ!!」
穢れてしまった。
もう戻れない、天界に帰ることができない。
「はは♡処女卒業おめでとう♡♡」
「血出てますもんね。やっぱり天使ってそうなんだ」
「天使ってそもそも孕むの?」
「さぁ?」
「ぃた、い…ゃ、あ、ぁッッ!」
痛みの引かないそこに、クロノアさんのものが突き入れられ動かされる。
「わぁエロー」
「身近で見たのは初めてですしね」
「かぇして…てんかい、かえるぅ…っ」
「帰れないよ。トラゾーがいくらあいつらのお気に入りでも、魔王に穢された天使は追放だろ?」
「やぁあ…っ!」
聞きたくない音がする。
「いやいや言ってる割に、もう俺のこと受け入れて咥えてるじゃん」
「違っ…!!」
「ココこんなに柔らかくなってるもん」
繋がった場所をクロノアさんが撫でる。
「ひゃんっ!」
「ほら、気持ちよくなってる」
「なってな、…ひあんんッ⁈」
「ほら、もっと奥に欲しいって飲み込んでる。名器ってやつ?」
「うわ、クロノアさんからそんな言葉出るとは思いませんでしたよ」
「だ、めぇ…それいじょ、おくッ、は…いっちゃ、だめです…っ!」
「トラゾーのいっちばん奥に俺の熱いの注いであげるね♡」
「いらな、ぃ…ゃ、ひんッ!ふぁああっっ!!」
こつりと内部で当たる音がした。
「ひ、ふ…ぁ、う…ッ」
「動くよ。何も知らない身体に教えてあげなきゃいけないからね」
激しく腰を穿たれ首が仰け反る。
「やぁあッ!こ、んなの、しらなぃい…ひゃん!ぉかしくなっちゃぅう…ッ!」
「あ、羽根黒くなってきましたよクロノアさん」
「あとちょっとですかね。中出しでもすればすぐ真っ黒になるでしょ」
「⁈、だ、だめな、やつ…中はだめぇ…っ」
「黒い羽根のトラゾーも可愛いだろうな♡」
「んぁあ゛あっ!」
「一回出すけど、まだまだたっくさん出してあげるからね♡」
「そ、そと!そとに、だしてぇ…」
ぐりっと奥を抉られたかと思ったらじわりとあたたかいものが中で広がっていくのを感じた。
「ぁ…ぅ…あ…?」
自分が塗り替えられていく感覚がした。
寒気にも似たそれ。
「ほらまだまだだよ♡」
我に返されるように痛いくらい奥を突かれる。
「ひんッ!ゃ、ぁあんっ、も、ぃらないぃ…っ」
「よいしょ」
クロノアさんの上に座らされて自分の重さで更に深く繋がることになった。
「ひゃぁあん…っ♡⁈」
気持ちいいわけないのに、自分から上がる声が変わっていることに気付いてしまった。
「トラゾー、気持ちいい?」
羽根の付け根を触られる。
「ひぁあっ♡」
「っ、締め付けてる。ココ気持ちいいんだ♡」
「違うぅ♡!きもちよくなぃい…っ♡」
「俺の搾り取ろうとしてるよ♡?」
「ゃぁあん…ッ♡♡!!」
はらりと自分の横を落ちていく黒い羽根。
その瞬間、きゅっと瞳孔が細くなる感覚がした。
何かが変わったような。
「ようこそ魔界へ♡」
黒く塗り潰されていく。
思考も何もかも全て。
あんなに嫌だと、穢らわしい行為だと思っていたのに。
もっとと求めようとクロノアさんの首に、いつの間にか楽になっている手を回す。
「くろのあしゃ、っ♡もっと、おくッ、に、くらさい♡♡」
「気持ちいいこと知っちゃったからね♡責任もってトラゾーのお腹いっぱいになるまで注いであげる♡」
「うれしいです♡♡!」
「で?トラゾーは誰のモノになったのかな?」
ぐりぐりと奥をいっぱい突かれる。
痛いくらい気持ちいい。
「おれは、くろのあさん……あ、まおーさまのモノですッ♡♡」
「っつ♡♡♡!!よくできました♡♡!!!」
「んぁああぁ〜〜ッッ♡♡!!」
俺はどこに帰ろうとしてたんだっけか?
いや、元からここが俺の帰る場所だ。
「もっとッ♡」
「人間が1番欲深いって思ってたけど、違うみたいだ」
クロノアさんが俺を抱きしめながら囁いた。
「トラゾーがいっちばん欲深くてえっちな子だったね♡♡」
「おれ、えっち?な、子♡?」
「俺たちがその辺教えてあげるから、大丈夫だよ♡」
「はひ♡ごきょーじゅねがいます♡」
目の前にいる俺を堕とした魔王様に、俺は密着するようにぎゅっと抱きついた。
コメント
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えぇぇぇマジ可愛い!!(๑♡∀♡๑) 天使なtrさんも可愛いし堕天したtrさんも可愛い♡ 魔王様直々に奪いに来るなんて相当気に入ったんでしょうね最高です 日常組のRPGを思い出しました!
Lyrix_リリックス様、リクエストありがとうございました😭 ひとまず悪魔×天使or魔王×天使パロを書かせていただきました、お時間かかってしまいすみません💦 センシティブな内容になってしまったのですが大丈夫だったのでしょうか…?