うぇーーーーい
(夜、夏祭りの賑わい。金魚すくいの音と屋台の灯りが江戸の街を照らす)
神楽「おおおお!りんご飴!焼きそば!お好み焼き!全部食うアル!!」
新八「お前胃袋どうなってんの!?」
銀時「夏祭りってのはなァ、屋台で食って、花火見て、最後はムードでキメ――」
彩音「あーはいはい、どうせムードの“ム”の字も知らねぇくせに。」
銀時「おい誰が童貞感あふれるオッサンだコラ‼」
彩音「言ってねぇよそんなこと。」
(周囲、笑い声。にぎやかだが、どこか温かい空気)
(少し離れたところで)
新八「……あの二人、結構息合ってるよな。」
神楽「喧嘩しながら息合ってるアル。ケンカップルってやつネ。」
新八「いや、その言い方どうなんだよ。」
(場面:射的屋台)
銀時「おっ、あの景品ちょっと良くね?ちょっと銀魂の単行本じゃん。」
彩音「いらねぇだろ自分の漫画グッズ。」
銀時「いや、こういうのはコレクションなんだよ。オトナの趣味だ。」
彩音「……わかったよ、取ってやるよ。」
(彩音、構え――が、射的銃を使わず拳で狙いを定めて構える)
新八「ちょっ⁉︎撃つ気ないですよねそれ!?」
神楽「拳銃(フィストガン)アル‼」
銀時「やめろ壊すな‼︎祭りの平和壊すな‼」
(でもちゃんと命中してぬいぐるみが落ちる)
彩音「……ほら、取れたじゃん。」
銀時「お、おお……。つーか拳で狙い定めるなよ普通。」
(彩音が銀時にそのぬいぐるみを差し出す)
彩音「……ほら、あんたが欲しがってたんだろ。」
銀時「……あ?」
彩音「いらねぇなら捨てんぞ。」
銀時「……誰がいらねぇって言ったよ。ありがとよ。」
(不意に笑う銀時。少し照れる彩音)
(夜。花火が上がる音)
彩音「……綺麗だな。」
銀時「……ああ。」
(少しの沈黙)
銀時「なぁ、彩音。」
彩音「ん?」
銀時「お前……もう拳ボロボロじゃねぇか。」
彩音「……別に。これくらい、なんともねぇよ。」
銀時「無理してんだろ。」
(銀時、彩音の手を取る)
彩音「っ……⁉︎」
銀時「拳、刀の代わりにしてきたんだろ。でもな、もう一人で戦う必要はねぇよ。」
彩音(視線をそらしながら)「……やめろよ、そういうの。慣れてねぇんだよ。」
銀時「慣れてけよ。……オレがいるんだから。」
(花火が打ち上がり、彩音の頬を照らす。赤く染まるその表情)
彩音「……調子いいこと言ってんじゃねぇよ、バカ。」
銀時(微笑)「バカで悪ぃな。」
(遠くで花火が弾ける)
神楽「あー!二人ともいちゃついてるアルー!」
新八「声がでかい!」
彩音(赤面)「ちょ、お前ら!聞いてたな!?」
銀時(開き直り)「まぁ聞かせるために言ったようなもんだしな。」
彩音「調子乗んな‼︎」
どぅえきてるぅ