第2話「初手求婚には無理がある」
😊視点
突然面識のない男に求婚されてから数十分後。
あまりにも周りからの視線が痛々しかった為、逃げるように近くのカフェに入り、隣に座りたいという要望を何とか蹴って対面に座ったはいいが──
📕
「それでそれで?結婚式はいつがいい?」
とにかくうるさい。一人で話を進めてしまうタイプなのか、この男の中で俺は恋人の立ち位置にいるらしい。
付き合ったことはおろか、恋愛経験ゼロの俺には理解し難い思考回路に辟易としてきた。
😊
「あの、一応俺ら初対面ですよね?」
📕
「え?うん、そうだけど?」
😊
「なんで初対面の人と結婚しなきゃいけないんですか。恋人でもないし、俺はあなたを好いていない。」
📕
「そっか〜…じゃあ付き合お?確かにそっからだね〜」
😊
「そういう問題じゃないんですけど??」
多分この人の頭のネジ何本かぶっ飛んでる…そうとしか思えないくらい、俺にはこの人の話してることが理解できない。
そもそも恋愛って徐々に時間をかけてやっていくものじゃないの?
交際って相互間での愛があって成立するものじゃないの?
結婚ってカップルが長い時間を経て添い遂げるか決心してようやく成立するものじゃないの?
なんでそんなに軽々しくステップ飛ばして求婚に至るの??
あぁダメだ、頭が痛くなってきた…
📕
「で、考えてくれた?」
😊
「まだっすけど…その前にお名前をお聞きしても?」
📕
「名前..僕は赤羽瑠璃!!君は?」
😊
「お、れは…須磨川 笑です。」
📕
「そっか!赤羽しょう君か!!」
😊
「いや、須磨川ですけど? 」
📕
「しょうってどういう字なのー?」
😊
(あ、聞いてないなこの人…)
ちゃんと名前を教えても彼のお花畑に負けず劣らず咲いている頭は正しく理解できないらしい…もうそろそろ疲れた。
と思っていれば、疲弊した俺に急遽救世主が現れた。
🦈
「おいBroooock!いつまで油売ってんだ!!」
📕
「あ、シャークん!」
😊
「しゃー、くん…?」
🦈
「てかそっちの奴は…」
ぱちりと目が合う。新緑の瞳はいつだかの記憶を彷彿とさせ、口元で見え隠れするギザ歯にも見覚えがあった。
この人はもしかして──
😊
「涼くん!!」
🦈
「笑じゃん!なんでこんなところに?」
😊
「いや、それはちょっと色々あって…」
🦈
「ふーん、まぁ何はともあれ久々に会えて嬉しいよw」
😊
「俺も!また今度家に遊びに行ってもいい?」
🦈
「あぁいいぞ、笑が好きそうなゲーム用意しとくよ。」
😊
「やったw」
📕
「ちょっとちょっと!!何何!?2人はどんな関係なの!!?」
😊
「え、…あなたに関係あるんですか?」
📕
「あるに決まってるでしょ!僕は未来の旦那さんだよ?」
😊
「だから結婚しませんって…」
🦈
「??どういう状況だよ…」
📕
「僕しょう君と結婚するの!!」
俺と涼くんの会話に割って入ってきたかと思えば、突拍子もないことを言い出した赤羽さん。
俺は結婚を承諾した覚えないのだが、この人の中では確定事項にまで落ち着いたらしい。
涼くんも状況を把握できず頭に疑問符を浮かべている。かくいう俺もまだ疑問符だらけだけど。
すると突然涼くんは俺の隣に座り、肩を抱き寄せた。
🦈
「笑は俺の甥だから、勝手に手出すな。」
📕
「えっ!!シャークんって叔父さんなの!?」
そう、涼くんこと鮫川涼は俺の叔父に当たる人物だ。
俺の母親は涼くんと随分年の離れた姉弟で、俺が小さい頃はよく涼くんと一緒に遊んでいたし、今でも時々涼くんの家で遊んでいる。
😊
「俺からしたらお兄ちゃんだけど…」
🦈
「嬉しいこと言ってくれるじゃんw」
📕
「ま、まさかの身内だったとは…」
🦈
「Broooockが笑のこと知ってると思わなかったし…まぁ前々から甥っ子がいるとは言ってたけどな?」
「それより早く帰るぞ、Nakamuが待ってる。」
📕
「え〜」
🦈
「因みにきんときもお怒りだから。」
📕
「えっ、あ…ハイ」
🦈
「じゃあ笑、また今度な。お代は払っとくから。」
😊
「うん、またね。」
涼くんはそう言って手をひらひらと振り、レジの方へ向かって行った。
面倒くさい人に目をつけられたけど、久しく会ってなかった涼くんに会えたのは良しとしよう。
俺も俺でそろそろ帰るか、と思った矢先、帰ったはずの赤羽さんにクイッと袖を引っ張られ、体を引き寄せられる。
📕
「因みに僕本気だから。」
耳元小さくそう囁くと、赤羽さんはすぐに笑顔に戻って「ばいばーい」と手を振り、涼くんの後を追った。
😊
「な、なんなんだあの人…」
願わくばもう会いたくない。
嵐のようなあの人の背中を眺めながら、俺はそう思った。
To be continued.
コメント
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やっぱりみるちゃは天才を超えて神を超えた宇宙(?)だよ(;;)どれだけぼくを泣かせれば気が済むんだい本当に(尊すぎて涙出た)(߹-߹)いつも神作をありがとうございます…( ඉ₄ඉ)b無理せず頑張って。゚(゚´ω`゚)゚。
初コメ失礼します〜…!! 本当にまじでこのお話色々と刺さりすぎてて…(?) 神作ありがとうございます、、😭 お体に気をつけて投稿頑張ってください〜!!