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土曜日。

いつもよりは長めに一緒にいられるなと思って、俺はひかに会いに行った。

待ち合わせの駅で、ひかを待つ。ベンチに座って音楽を聴いていた。大好きなJ-POP。明るい曲を選んで、意気地のない自分の背中を押してもらうことにした。今日、どうしても進展したい。もし無理なら佐久間の言うように、忘れて次に進もうと思っていた。


💛「待った?」

💙「あっ…///」


呼ばれて顔を上げると、ひかは珍しく前髪を下ろしていた。いつもは長めの髪を横に固めて流している。幼く見えて、可愛らしくてやっぱり好きだなと胸が高鳴った。


💛「じゃ、行こうか」

💙「待って」


俺は、ひかの服の裾を引いた。

いちかばちか……恥ずかしかったけど、俺はひかに初めての渾身の『お願い』をした…。




💙「おじゃまします…」


初めて上がる、彼氏の部屋はドラマで見るような、広くて綺麗なマンションじゃなくて、質素だけど清潔な一間のアパートだった。見渡す感じ、部屋の広さは実家住まいの俺の部屋と大して変わらない。ひからしいなと思ったのは、部屋の隅にトレーニング雑誌とダンベルが置いてあったこと。


💙「………あ」

💛「ん?」


ラックに、シルバニアファミリーの家と人形が置いてある。

え?え?そういう趣味???

…いや、でも俺もぬいぐるみ集めてるし、普通かな…。

俺の視線に気づいたひかが、恥ずかしそうに弁解してきた。


💛「妹が好きで集めてて…。見てるうちに俺も好きになったんだよ」

💙「ふぅん」

💛「嫌いになった?」


自信なさそうにそんなことを聞くので、あまりにも可愛くて笑ってしまった。否定はあえてしてやらない。俺にずっと冷たい理由を教えてくれるまでは。


💛「何か飲む?」


言い、開けた冷蔵庫の中身に大量のチョコを見つける。びっくりして後ろから見ていると、また照れている。


💛「俺、チョコ大好きなの」

💙「えー。ギャップすごくない?可愛いんだけど」


冷たくするはずが、ついつい、褒めてしまい、ひかは嬉しそうに笑っている。結構いい雰囲気だと思うんだけどな、俺たち。


何がいけないんだろう…。


何となくテレビをつけて、お互いに好きな番組を見ながら話をする。

ベッドとテレビくらいしかない狭い部屋だけど、あえてベッドには座らなかった。

床にクッションを敷いて、ベッドに背中を預けて並んで座る。平和だけど、物足りない時間が経っていく。何度か手を握ろうかなと伸ばしては、やっぱり恥ずかしくて手のひらに浮いた汗だけがじっとりとしていた。


💛「お。もうこんな時間か。帰る?」


夕方になり、昼に頼んだピザも食べ切って、テレビにも飽きて、まったりとした時間が過ぎていく中、ひかがわざとらしく思いついたように言った。本当はそのタイミングを計っているの、知ってたし。

俺は思い切って訊いてみた。


💙「ねぇ、なんで俺に何もしないの?」

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