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雨霧という名を与えてくれたのは、久世朔哉だった。
代々、久世家に仕える家に生まれ育った雨霧だったが、遠縁ということもあり、久世家に入ることはないと思っていた。しかし、久世家の集まりに参加した際に見た久世朔哉に惹かれ、その圧倒的な支配者然とした佇まいに雨霧は心酔し、傍に仕えることを強く志願し、久世朔哉の命で動く忠実な影となった。
明確に阿部亮平をターゲットとして捕捉したのは、事務所襲撃の時。
配達員に扮した高木の影を奪って操ったのは、爆破が起こった後のこと。影で操って、渡辺と宮舘を分断することに成功した。他のメンバーも事務所から出て行き、中に残ったのは目黒と阿部の二人だけ。阿部は事務所の中央で動かず、窓から遮るものもない。そこへ、影で作り出した矢を放つ。
案の定、目黒がすぐに阿部を抱えて事務所を飛び出し、追い立てるように矢を放ち続けた。
そして狙い通りに橋に差し掛かった段階で、わざと外し続けていた矢を、目黒の足に当てて転倒させたが、雨霧は驚いた。直撃した痛みがあったにもかかわらず、目黒は阿部を離さなかったから。
「それだけ、大事だということか」
それは雨霧と久世の関係によく似ていると、雨霧は思った。なにものにも代えがたい存在なのだろうと。
だからといって加減をすることはなく、近づいて目黒を蹴り飛ばすと、阿部の襟元を掴んで持ち上げる。軽い。数種の緑色が混ざった目は何ものをも映さず、焦点が合っていなかった。何が起こっているのかは雨霧には分からなかったが、今、やるべきことは一つ。
目黒の悲鳴にも似た制止の声を聴きながら、阿部の体を川へ投げ込んだ。川に向かって落ちていく阿部。一切の躊躇もなく、その後を追って飛び込んだ目黒。
「なかなかの忠誠心。その心意気は認めよう」
そう呟き、雨霧はその場を離れ、高木の操作へ意識を集中させた。
水族館での事件後。その頃から雨霧は一人、別の任務に出ていた。
久世から命じられたのは、ルミナシアパークという遊園地の構想段階からオーナーに助言をしろというものだった。
何故、遊園地なのか。その理由を雨霧は知らない。けれど、それで良かった。雨霧はただ、久世の命令に従うだけなのだから。
オーナーの許へと、雨霧が派遣される。
「よくぞ、来てくださいました」
「久世様から伝言を預かっています」
スーツの内ポケットから取り出した封書をオーナーに渡すと、オーナーはすぐに読み始めた。目だけが動いていき、やがて、「ほほう」と顎を触りながら声を漏らした。
「出資する代わりに、私の異能《抽出》と《採取》を使って特定の異能の収集がしたい、と。その為の設備に関するギミックもそちらから提供するということでよろしいか?」
「ええ。久世様からはそのように仰せつかっています」
「私の夢であるルミナシアパークの実現のためには、あのお方からの出資は不可欠ですからね。いいでしょう。プレオープンに仕込む分には構いませんよ」
「それで構わないとのことです。プレオープンが終われば、普通に遊園地のアトラクションの一部として機能するようなものでしかありませんから」
「ぜひ、伺いたいですね。あのお方がどこまで想定しているのかを」
オーナーの異能である抽出と採取は、その場限りのもので、ギミックに反応した特定の異能だけを抽出し、少量を採取することができる。採取した異能も、封じた瓶を壊せば元に戻るという仕組みになっているので、隠された異能を見つける為だけだという説明に、オーナーは納得していた。
そうして出来上がったルミナシアパークへ、特務調査局を招待することになり、様々なギミックから抽出して採取することには成功した。
唯一つを除いて。
結果を確認した雨霧は、想定内だとオーナーに告げた。
「あれらのギミックで抽出できなかったというデータがあれば十分と仰っていた。映像データのコピーを用意して渡してほしいとのこと」
「承知いたしました」
「この後、特務調査局はここまで辿り着くと予想されるので、オーナーは別の場所から監視を続けてください。それと、例の時計の文字盤について」
「そちらも準備はできています。プレオープンが終わった段階で、文字盤の意匠の位置をずらすのですよね?」
「ええ。久世様から、どの順番にするかはまた連絡があるので、お願いします」
了承の意を伝えるように、オーナーは恭しく頭を下げた。
ルミナシアパークの建設が始まると雨霧が次に行ったのは、星喰みへ阿部亮平が特別な異能を持っているという情報を流して捕獲を依頼すること。そして依頼に失敗した星喰みと、星詠みを持つフェネックの捕獲に携わっていた星晶保護機構の職員を速やかに抹消すること。
影を使って窒息させることは雨霧にとって造作もないことだった。雨霧が星喰みを殺害したのと同じ頃、ルイの麻痺の粉が星晶保護機構の職員の体内に入り込んで呼吸困難にしていた。
どちらも突然死として扱われ、久世に手が伸びることはない。
LOTで渡辺の姿を見かけたのは本当に偶然で、これまで、命の霊薬を作る為に誘拐した少年と特務調査局の渡辺が一致していなかった雨霧にとっては衝撃だった。
久世が全てを知っていたことには感服するしかない。
その後も雨霧は久世の代わりに動いており、CLOSEの調査を終えてからは久世の傍に控え、阿部を捕らえてからはSnowManが来るのを待つことだけに従事した。
この生き方はずっと変わらない。
その命が尽きるまで、久世の忠実な影として生きていくのだから。
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yuka @1週間猫メイド
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ポテチ
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#snowmanで妄想