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#snjn
りちこ
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リアリストよしださんと ロマンチストさのさん。大人なふたりの穏やかな生活。
10代で出会い学生時代を経て身も心も大人になった俺たちが、30代を前にして人生の パートナーに互いを選んだのは、ごく 自然な流れだったように思う。
自らこの世界に飛び込んで必死に生きてきた俺たちは、今やしっかりと自覚がある程のワーカホリック。
一般の方だろうが同業だろうが、どんなに素敵な女性でも必要以上の接点が仕事のノイズに感じるようになってしまったのは、いつからだったか。
それでも誰かと一緒に生きていくことへの憧れも、生活の理想も、捨て切れるわけではなかった。
恋だのトキメキだのが必要な歳ではもうない。
この世が全て敵になろうとも、この人だけは自分の味方だと思える絶対的な信頼。
そして、ここが自分の居場所だと感じられる愛が欲しい。
それを全て満たすパートナーが、俺にとっては勇斗で、勇斗にとっては俺だったのだ。
盛大なプロポーズや特大の花束なんて必要ない。
揃いの指輪と誓いのキスの下で、 これからも互いに歩幅を揃えて歩んでいこうと約束を交わしてから、もうそろそろ2年が経とうとしている。
[今日終わり次第そっち行く。]
簡素なメッセージが画面を光らせる。
生活の拠点はいまもそれぞれのままで、互いが本心でそうしたいと思っていることが 心地良い。
[了解。飯いる?]
[お願い。ありがとう。]
テンポよくやり取りを終わらせて、何を作ってやったら一番喜ぶだろうと考えを巡らせる。
胃に優しくて温かいものか、意外と子供舌な彼が喜びそうなものか、どちらかにしよう。
きっと疲れたとは言わないだろう彼が、少しでも息を吐けるできるように。
仁人と付き合い始めてから何が変わったかと聞かれると、明確に答えるのは難しい。
常に連絡を取り合うになったわけでも、一緒に住み始めたわけでもない。
でも間違いなく”こいつしかいない”と互いが心から思っていて、それが全てだと思う。
俺にとってのあいつは、何にも代え難い宝物のような存在で、関係に明確な名前がついたあの日から、俺の世界には色彩が増えた。
仕事を頑張るのは、あいつのためじゃない。
2人で背中を合わせ、手を取り合うため。
そして俺たちが、公の場で、隣に立ち続けるスポットライトを失くさないため。
グループとしての名前が広まれば広まるほど、共に過ごす時間が、世に残る記録が、一緒に生きてきた証が、増えるのだ。
そのためには俺は苦労を厭わない。
「ご馳走さま。うますぎた。」
「片付けするから休んでな。」
「俺が洗う。」
「じゃ、お願い。風呂溜めちゃうわ。」
食べた後は必ず丁寧に手を揃えて挨拶をするところ。出来ることはないか、と探して、自ら買って出るところ。
そういうところが好きだなぁと思う。
風呂のボタンを押して、洗い物をする勇斗の横に並ぶ。
「明日何時入り?」
「俺は夕方から。仁人は13時だよな?」
「そ。少しゆっくり出来るな。飲み物とか、好きにしていいから。」
「一回帰るから、一緒に出るわ。」
「そ。」
はい、終わり。と濡れた手を拭う勇斗に生活感を感じて、世間に少し優越感。
こいつはいまこの家で生きてるんだぞ、羨ましいだろう。なんて誰に見せるでもなくドヤ顔をしてみる。
「おまえなに変な顔してんの。ほら、風呂行くぞ」
成人男性が2人で入る浴槽はやや窮屈だが、それが心地よい。
がっしりと骨ばった体に包まれながら、10代の頃の丸っこいフェイスラインも可愛かったけどねぇ、ずいぶん大人になっちゃって、なんて思う。
「っはー。きもちえー。てかこの入浴剤めっちゃ好きな匂い。」
「ぜったい好きだと思ったから入れてみた」
「さっすが仁ちゃん」
いつもはたくさんのリングが付いている手には、今は自分と揃いのシルバーが1つ。
なんだかくすぐったい気持ちになって、同じリングが付いている自分の手を重ねてみる。
「なぁに、じんちゃん。」
「いや、これが幸せって言うんだろうなと思って」
「だなぁ。ありがとな、仁人。俺といてくれて。」
「…こちらこそ。」
ゆらゆらと光る水面に映った勇斗の顔は、少し赤く見えた。
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