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家に戻りたいがその道がわからない。元々野良猫だったがそれは子猫のとき。おぼろげな記憶しか残っていない。
僕は少し探索することにした。商店街の方へ出るとそこはガラリと景色が変わっていた。僕はいつも買い物から帰ってきたご主人様の話を聞いている。そのときのご主人様はとても嬉しそうで聞いている僕まで嬉しくなる。特に話していたのは「ショウテンガイ」という言葉。それがここだというと、とてもそのような景色ではなかった。寂しそうに僕を見ているレストランや薬屋、洋服屋がいっぱい。見ているこっちまで寂しくなる。僕はその商店街を背に歩き出した。
しばらく歩くと大きな建物の前にやって来た。そこには大勢の人で混み合っていた。なぜか僕はその時はわからなかった。僕はそこにご主人様がいるのではないかと探そうとしたが怖かった。ご主人様は優しいが必ずしも他の人間が優しいとは限らない。僕は怯えてその場から走って離れた。
段々辺りがオレンジ色に染まり始める。僕はとぼとぼと黄昏れながらどこだか知らない所を歩いていた。近くには海があったため僕は渇いた喉を潤そうとそこへ近づいた。海の水をペロッと舐める。しょっぱい。これまで感じたことのない味で僕はすぐにその場を離れた。どうすればいいのか。僕は辺りが真っ暗になっても島を彷徨う。僕のお腹はペッコペコ。食料を探すため必死に歩き回った。するとドアが開いている一軒家があった。僕はその家に飛び込んだ。そしてその家の中を荒らし回る。食料を探すために。だが中々見つからない。僕が諦めかけたその時。ふと食べ物の匂いがした。鼻を頼りにその匂いのする方へ行くと2本のバナナが落ちていた。僕はそれを一本取りその場で食べた。一本はすぐに食べ終わってしまった。お腹はまあまあ溜まったため僕はもう一本のバナナを口に咥え家を出た。
僕は海の方に戻り近くにあるテトラポットに乗りそこで一晩を過ごした。