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あっという間に一試合目が終わり2試合目となった。
「1番ショート倉持
2番セカンド小湊
3番センター伊佐敷
4番ファースト結城
5番サード増子
6番キャッチャー滝川
7番ライト森川
8番レフト坂井
9番ピッチャー丹羽
スタンティングメンバーはこの9人で行く。」
監督がメンバーを発表して整列する。
成宮達は試合には出ないようだ。
「礼!」
『お願いします!』
試合が始まった。
俺はショートで屈伸したりする。
「プレイ!」
審判の声が響く。
一番バッターはセカンドの2年生だった。何となくだが覚えている。この人はインコースをひっぱってレフト線によく打ってくる人だったはず。
クリスさんが構えたのはインコース。初球から攻めきだなと思いながら、俺はバッターに気づかれないようにサード側によった。勿論セカンド側に打たれたことも考えての行動だ。
丹羽さんが振りかぶり注文通りインコースにストレートを投げ込む。
カキン!
「ファール!」
白球がサード側のファールゾーンに叩きつけられる。
2球目もインコース。さっきよりも厳しいところだ。
俺はまたサード側によった。
2球目。丹羽さんのストレートが投げられる。
カキン!
鋭いあたりが増子さんの守るサードへと打たれる。
「ウガァ!?」
バシン!
すごい勢いのボールが増子さんの腕にあたって後ろへ飛んでいく。
「ぬけるぞ!」
相手のランナーコーチャーの声が嫌に響く。
「はっ。こんな打球が一回の一打席目でくるかよ。」
誰にも聞こえないような声でそうつぶやくと、俺はとんだ。
パシッ!
ボールがグローブの中に入ったのがわかる。
直ぐに持ち替えてファーストの哲さんに送球する。
ショーバンで投げた球が哲さんのグローブに入るのとランナーの足がベースを踏むのはほぼ同時だった。
グランドにいる誰もが一塁審を見る。
「アウト!」
審判の声がグランドに響く。
「おぉ!すげー!」
「あいつ何もんだぁ!?」
観客たちがワァワァと騒いでる中、グランド内は静まりかえっていた。
「ワッワンアウト!」
クリスさんが声を上げる。
その回は残り二人も打ち取り三者凡退で終わった。