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風邪を引いて寝込んでいるらん。おぼんに薬とお粥を持って部屋に向かう。
「らん〜入るね〜」
「、、、ゲホっ」
高い熱の上に咳まで出てしまって苦しそうならん。ベットサイドのローテーブルにおぼんを置いて、らんの横にそっと腰掛ける。らんが重たそうに体を起こそうとしたから、慌てて手伝う。
「りょ、、、ちゃ、、、ゲホっ、、、ダメ、、、ゲホっゲホっ」
「らん、、、無理して話さないで、ね?」
ちょっと話すたびにむせるらんを見かねて、背中を支えながら後ろに入る。熱でへとへとのらんが僕に体を預けられるようにした。のに、らんが「ダメ」って言って押し返してる、つもりだろうけど、僕にはなんの意味もない。だから、ギュ〜って抱きしめてあげた。
「しんどいでしょ?ほら僕にもたれかかっていいから」
「ダメ、、、ゲホっゲホっ、、、うつっ、、、ちゃ、、、ゲホっ」
はぁ〜らんは分かってないなぁ。何が「移っちゃう」なのよ。僕はねぇ、らんが楽になるんだったら、風邪でも病気でもなんでも移してくれて構わないんだよ?と言うかそんなのいくらでも貰ってやる。
だからさ、辛いときは甘えてよ。頼ってよ。普段はさ、ちょっと頼りないかもしれないけど、しんどい時まで無理しないで欲しいな。
「、、、いいから。はい、深呼吸して」
背中をゆっくりさすりながら、僕の肩にらんの頭を預けさせる。熱をもった吐息が首筋に当たって、らんの苦しさが直接伝わってくるみたいだ。しばらくそうしていると、ようやく咳が落ち着いて、らんの強張っていた体がふっと緩んだ。
「りょ、ちゃ、ごめんね、、、」
「謝るのも禁止。今は、良くなることだけ考えて?」
僕はローテーブルに置いたお粥の器を手に取った。ふたを開けると、優しい出汁の香りがふわっと広がる。
「少しだけ食べれそう? 薬、飲まなきゃいけないし」
「、、、ん」
小さく頷くらんの口元へ、スプーンですくったお粥をフーフーと冷ましてから運ぶ。
らんが「あー」と小さく口を開けて、ゆっくりと飲み込むのを見届ける。その一口が、なんだかとても愛おしく感じて、自然と口角が上がってしまう。
「おいしい?」
「、、、あったかい」
少しだけ顔色の戻ったらんに安心して、僕は空いた方の手で、汗で張り付いたらんの前髪を優しく払った。
「全部食べなくていいからね。食べられる分だけで大丈夫。そのあと、薬飲んでぐっすり眠ろう。僕、ずっとここにいるから」
僕の腕の中で、らんは安心したように目を閉じた。
普段はしっかり者のらんを、こうして独り占めして甘やかせるのは、不謹慎だけど看病する僕の特権だ。
この熱も痛みも、全部僕が肩代わりできたらいいのに。
そんなことを思いながら、僕はもう一度、らんの細い体を優しく、でも離さないように強く抱きしめた。