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「ふぅ~~スッキリしたぁ」
そう言いながらトイレから出てきたマナの顔は、先程よりも青ざめていた。
「マナ、今日はこのまま帰った方がいいんじゃないか?」
「そっ、そうしようかな――」
マナの意外な反応に啞然としてしまい、それ以上何も言えなくなってしまった。余程体調が悪くなければ、食べ物を目の前に帰るなどと言うはずはない。それから俺は担任の大場に事情を説明してマナが早退できるように働きかけた。
その日は、マナの件で相談したいことがあったので、学校が終わるとゆずきと一緒に帰った。
「圭太はどう思うの?」
「ただの食べ過ぎだろ。毎日のように暴飲暴食してるから胃だって弱ってたんだろ」
「そうならいいんだけどさ――」
「何だよ? 気になることでもあるのか?」
「ちょっとね――」
「何だよ?」
「マナに確認したいことがあるから、それまで待ってて」
「わかった」
確認したいことが何なのかわからないまま、家路に着いた。
――翌日教室に行くと、ゆずきとマナの姿がなかった。2人の机には荷物が引っ掛けてあったので、学校のどこかにはいるようだ。もしかしたら、マナの具合が悪くて保健室に行っているのかもしれない。
朝のホームルームが始まる時間だというのに、結局2人は教室に戻っては来なかった。
《おはよう、何かあったのか?》
取り敢えず心配になったのでゆずきにメールを送った。
《おはよう。マナのことで、あとで話があるから時間つくってもらってもいい?》
《いいけど、ヤバイ話なのか?》
《ちょっとね》
《そっか、わかった》
2人が戻って来たのは、1時限目の授業が始まる5分前だった。マナは相変わらず顔色が悪く青ざめていた。そのあとも授業を抜け出しては何度も保健室に行っていた。そして午前中の授業を終えると、マナは昨日と同様に今日も早退した。あんなに大食いで、何を食べてもお腹を壊すことなどなかったマナがこんなに調子を崩すのを見るのは、これが初めてだった。ただ事ではないようだ。
「圭太、マナなんだけど――」
「こんなところじゃないと言えないくらいヤバイ話なのか?」
放課後、ゆずきに呼ばれて屋上にやって来ていた。
「誰かに聞かれたら大変なことになるから」
「そんなりか?」
ゆずきは、かなり念入りに辺りを見回していた。
「ホントにヤバイの。先生の耳にでも入ったら退学ということにもなりかねないから」
「何だよ? さっさと教えてくれよ」
「圭太――ショックを受ける覚悟で聞いてね」
「あぁ」
「マナなんだけど、妊娠してるみたいなの――」
「妊娠? 何だよそれ? そんなことある訳ないだろ」