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翌朝、爆豪は普段より30分早く目を覚ました。昨夜は結局なかなか眠れず、明日の訓練のことばかり考えていた。ベッドから起き上がり、窓の外を見ると、予想通りの快晴だ。
…よし、天気は完璧だ。
いつもより念入りに準備をする。コスチュームの確認、籠手の動作チェック、そして軽い柔軟体操。鏡の前に立って、自分の顔を見る。何故か、いつもより気合が入っている自分に気づいて、少しだけ照れくさくなる。
…チッ。何張り切ってんだ、俺。いつも通りでいいだろうが。
そう思いながらも、朝食を食べる時も、いつもより早く食べ終わる。母親がその様子を見て、少しニヤニヤしながら言う。
「あら、今日は随分早いわね。もしかして、緑谷君と一緒に訓練するから?」
その言葉に、顔が真っ赤になる。
「…うるせえ! 関係ねえだろ! ただ早く学校行きたいだけだ!」
そう言って、慌てて家を出る。母親の笑い声が背中に聞こえたが、無視して雄英高校に向かう。いつもより早く学校に着くと、まだ生徒はまばらだ。教室に入ると、案の定まだ誰もいない。自分の席に座って、窓の外を見ながら、いずくが来るのを待つ。
…デクの奴、ちゃんと早く来るって言ってたよな。まさか寝坊してねえだろうな。
そう呟きながら、時計を見る。まだ約束の時間まで余裕がある。しかし、何故か落ち着かなくて、何度も教室の扉の方を見てしまう。そして、ふと昨日のいずくの言葉を思い出す。「楽しみにしてる」と笑顔で言ってくれたこと。それを思い出すと、また胸の奥が温かくなる。
…クソが。何でこんなにソワソワしてんだ、俺。デクが来るのを待つだけなのによ。
そう呟きながらも、教室の扉が開く音がする度に、反射的にそちらを見てしまう。そして、ついに緑谷が教室に入ってきた時、少しだけホッとした表情になるが、すぐにいつもの粗暴な態度に戻る。
「おはよう!お待たせ、かっちゃん!」
緑谷が教室に入ってきた瞬間、少しだけホッとした表情になるが、すぐにいつもの粗暴な態度に戻す。椅子に座ったまま、いずくの方を向いて、少しだけニヤリと笑う。
「…フン。ちゃんと早く来たじゃねえか、デク。まあ、テメェが寝坊したら、訓練前にぶっ飛ばすつもりだったけどな。」
そう言いながら、立ち上がっていずくに近づく。その目には、昨日からの期待と、そして少しだけの安心感が宿っている。いずくの顔を見て、ちゃんと体調が良さそうなことを確認すると、少しだけ満足そうに頷く。
「…で、ちゃんと準備はできてんだろうな? 今日は本気で行くって言ったからな。テメェの25%も30%も、全部出し切る覚悟はできてんだろうな?」
そう言いながら、緑谷の肩に軽く手を置く。その手には、いつもの粗暴さではなく、どこか信頼のようなものが込められている。そして、少しだけ真剣な表情になって、いずくの目を見つめる。
「大丈夫!ちゃんと、力を出せるように準備してきたよ!全力出して、倒れないだけの余力を出せる調整をしてきた。
あとは、かっちゃんと訓練を楽しむだけだよ♪」
「楽しむ、か。フン、テメェらしい言い方だな。でも、悪くねえ。俺も久しぶりに、心の底から楽しめそうだ。」
そう言って、いずくの頭を軽くポンと叩く。昔のように乱暴にではなく、どこか優しさを含んだ仕草だ。そして、窓際に歩いて行き、グラウンドの方を見下ろす。まだ誰も訓練場には来ていないが、もうすぐ始まる戦いのことを考えると、自然と拳に力が入る。
「…いいか、デク。今日は俺とテメェで、俺たちは雄英の歴史に残るような戦いを見せる。半分野郎も、飯田も、ポニーテールも、カエル女も、全員まとめてぶっ飛ばす。
そして、完璧な1位を取る。テメェと俺なら、絶対にできる。テメェが俺の後ろを守って、俺がテメェの前を守る。それが、俺たちのやり方だ。…だから、信じてついてこい。」
そこまで言って、振り返っていずくの方を見る。その赤い瞳には、強い決意と、そして仲間への信頼が宿っている。普段は絶対に見せない、本当の爆豪勝己の顔だ。
「…あとな、デク。テメェが言ってた「助けて、勝つ。勝って、助ける」って言葉、忘れてねえからな。今日は、その言葉を体現してやる。テメェを助けて、一緒に勝つ。それが、俺たちのヒーローだ。」
そう言った後、少しだけ照れくさそうに視線を逸らす。自分の言葉が妙に優しすぎたことに気づいて、慌てて咳払いをする。
「…っ、だから勘違いすんなよ! 別にテメェのことを特別扱いしてるわけじゃねえ! ただ、コンビだから、お互いに助け合うのは当然だってだけだ!」
そう言いながらも、教室の扉が開いて、他のクラスメイトたちが入ってくる。爆豪は自分の席に戻って座り、腕を組んで目を閉じる。しかし、その口元は少しだけ緩んでいて、明らかに今日の訓練を楽しみにしている様子だった。そして、訓練開始の時間が近づいてくると、目を開けて緑谷の方を見て、小さく呟く。
「…行くぞ、デク。俺たちの時間だ。」
「うん…行こう、かっちゃん…僕たちの時間だ。」