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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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この後からは、本当に“訓練”って感じのメニューに切り替わっていったのだが。
「ちょっと踏み込みが甘いですよ。怖がらず、自らが有利な位置を覚えましょうね?」
「ぐっ!? ま、参りました……」
「移動を続ける時は、常に自分のバランスを意識してください? そうしないと……こんな簡単に態勢が崩されてしまう」
「ぶべらっ! そ、そんな馬鹿なっ!?」
「集中、集中ですよ。自信を持ちなさい、貴女なら出来ると自分に言い聞かせて、“過信”でも良いのですよ。この一戦だけ勝ち残れば、貴女の方が強かったという証明になります。ただし、自分の限界を把握してそれ以上は“無茶”をしないこと。引く時は引く、攻める時は攻める。この判断基準を、思考ではなく身体に叩き込みなさい」
「は、はいっ! もう一回! お願いします!」
「素晴らしい才能です。しかし貴方も小鳥遊さん……いえ、ナナさんと同様自信が無い様だ。もっと自分を知りなさい、もっともっと自分を信じてあげなさい。ホラホラ、私が見る限り、これくらい貴方なら防げますよ? 対処出来ますよ? 不安が脚を引っ張っている、“もしかしたら”が思考にこびり付いている。それでは一歩は踏み出せません、攻めなさい。それが出来る能力は、既に持ち合わせている様に見えますよ? 後は、“慣れ”です」
「ガッ!? く、くそ……もう一回、お願いします……」
まさに、戦闘訓練。
お手本の動きを一通り見せてもらったり、ある程度の説明を受けた後は。
道場にて、本当に“何でも有り”の状態で皆がtimelimit:10と試合をしている。
それぞれ動きはバラバラだし、相手の得意とする形とも言えるソレは見せてもらった。
だというのに、全然勝てない。
むしろ怪我しない様に気を使われた状態で、皆制圧されてしまう。
本当に凄い……こんなにも圧倒的なんだって思える存在、今まで見た事が無かった。
なんて、感想を残している間にも。
「お姉ちゃん、ほらここだよー。相手が武器とか持ってたらどうするの? お腹叩かれちゃうよ?」
「ご、ごめんね……滅茶苦茶弱くて……」
皆は普通に格闘戦の訓練を受けてるのに、私だけスポンジみたいな材質の武器を持たされ、子供達とポコポコやっていた。
ポコポコ殴られているのは、私だけなんだけど。
おかしいな、私だけ戦闘訓練では無く、子供達と遊んでいるみたいになっている。
とはいえ、この子達。
どうやらかなりココへ遊びに来て居る少年少女らしく。
結構動きが綺麗だし、何より強い。
いや、私が弱すぎるだけか。
そんな訳で、こっちだけ子供と一緒にペシペシやりながら戦闘訓練。
度々佐々木さんの息子さんが此方に来て、色々とアドバイスしてくれるけども。
なんかもうごめんなさい、雑魚過ぎて申し訳ないですって感じになって来る。
「白川さんは、一回コレを使ってみましょうか」
「え、と?」
何かもう妥協案みたいに、おもちゃの鉄砲を渡されてしまったんですけど。
モデルガンとかそういうのではなく、本当におもちゃ屋さんで安く売っていそうな、軽くて小っちゃいヤツ。
そんなモノを息子さんから渡され、はて? と首を傾げてしまったのだが。
「弾なんか出ませんから、ご安心を。貴女だけは、他の皆さんと教える項目が違うみたいなので」
「教える項目……ですか?」
「えぇ、父からはそう言われています。なので、他の皆様とは違ってずっと一対多をやって貰っている状態ですね」
あ、そう言えば確かに。
私の周り、子供達がみんなワチャワチャしてる。
他の皆は、基本的に一対一で教わっているのに。
てっきり基礎さえ出来そうにないから、こっちに回されたのかと思っていたけど。
「しばらく体験してもらったところで、ちょっとだけルールを変えましょうか。白川さんは、ソレを子供達に向けた瞬間、一本。皆は、手持ちの武器を白川さんに当てたら、一本。いいね? 怪我しない程度にねー」
「「「はーい」」」
物凄く普通に言う事を聞いている子供達ではあるのだが。
玩具の鉄砲とはいえ、子供にコレを向けるのか……なんて思っちゃったけど。
いやでも、ホントに玩具だし。
むしろ銃らしい形をしているのかと言われると、正直怪しいくらいに玩具だし。
ついでに言うと、子供はみんなやる気らしく。
ふっつうに私の周りに展開したんだけど。
え、まって。
もしかして私、また一対六で勝負する感じなんでしょうか?
しかもさっきより、皆やる気に満ちた目をしているんですが。
などと、困惑していると。
「始め!」
師範の息子さん、容赦なく試合開始を宣言。
すると一人の子供が、真っ先に此方に駆けこんで来たので。
「ふっ!」
相手に向けて、短く構えた銃を向けた。
うん、なんか罪悪感が凄いけど。
というのと……私でも思う程に、銃ちっちゃ!
「っ!」
色々考えていたら、後ろから足音が聞えて来た。
その為振り返りながら位置を変え、そっちもなるべく早く銃を構える。
今度は二人、横から。
次は反対、一人。
なんて具合に、銃を構えるだけの試合をやってみた結果。
「お見事。父に聞いた時は信じられませんでしたけど……初日の夜の訓練だけで、早くも学習してますね」
「え、えと?」
気が付いた時には、子供達全員からヒット判定を取っていたらしい。
今回は相手が子供だったから、足音も普通に聞こえたから。
そういった色々な条件があったのだろうけど……六人に囲まれた状態で、普通に勝った?
今までの私だったら、絶対出来なかった事な気がするんだけど。
「お姉ちゃん鉄砲の方が得意なんだ! んだよー最初から言えよー! ねぇねぇもう一回やろう!」
「う、うん……良いけど。が、頑張るね?」
その後も何度か子供達と試合してみた結果、私の中でも気が付いた事が一つ。
気づきさえすれば簡単な事が、ちゃんと出来る様になっている気がする。
自らが知覚した空間を、ちゃんと把握する事。
それは自分の家とか、部屋の中みたいな感覚。
例え目を閉じていても、ある程度は普通に歩ける。
何処に何があるのか、大体把握している。
これ等を根底において、それ以外の“違和感”を探す行為。
例え視線を向けなくとも、把握しきれているソレは“絶対”だから。
なので、異物を感覚で見つけ出す作業。
足音がしないとか、そんな特殊な事をやられない限りは、混乱する心配もない。
足音、気配、人が動く時の音や息遣い。
これ等を聞いて、肌で感じて。
そこに向かって銃を構えれば良い。
たったそれだけでも、案外勝ててしまうという不思議現象。
「姉ちゃんすげぇじゃん! どうして後ろで動いても分かるの!?」
「な、何となくというか……えっと。ごめん、私にもよく分かんない」
正確には把握しきれていない、理解も出来ていない。
けど実際、夜の間にtimelimit:10の位置を探るより……ずっと“楽”だと思えてしまった。
これもまた、一つ成長したと言う事なら嬉しいのだが。
「甘い! 遠慮なんてする必要はないのですよ! 限界かつ、制御出来る動きを常に意識しなさい!」
「っ!?」
視線を向けると、黒沢君が簡単に姿勢を崩されている光景が。
向こうと比べると、こっちは凄く平和です。
というか、あんなに厳しい訓練を皆が受けているのに。
私はこれで成長とか思ってるの、ちょっと恥ずかしいかも……。
その後は、子供達を連れて外へ遊びに出るのであったとさ。
今度はかくれんぼだそうです、これも一応訓練だそうです。
あ、はい。
ガンバリマス……。
◆
「ぶはぁぁ……疲れが、抜けない。全然駄目だなぁ……俺」
本格的に始まった“体験”に、身体が付いて行っていないのが良く分かった。
お風呂に入って、就寝時間前まで皆が集まっている部屋に戻る途中。
思い切り疲れた溜息を零してしまうという、我ながら情けない姿。
兄貴から言われて、ここ最近は身体も鍛えていたんだけど。
教えてくれている佐々木さんに対して、全く通用していないのが自分でも理解出来る。
けど合宿期間はほんの数日程度。
だからこそ、一日も無駄に出来ない事は分かっているのだが。
「本当にこれ以上は遊んでいられない。そうしないと、早くしないと……11番目の席が――」
悩み過ぎのせいなのか、思わずブツブツ呟いてしまいながらも、立派なお家の廊下を歩いていると。
ふと、窓の向こう。
庭先に小さな影が見えた気がして、足を止めた。
覗き込んでみれば、それは見間違うはずもない。
庭の真ん中で、一人ポツンと立っている白川さんの姿が。
いくら敷地内とはいえ、こんな時間に何を……。
そう思って、俺も外に出てみたのだが。
月明かりに照らされて、ジッと正面を見つめている彼女は。
此方を振り返る事無く。
「えと、あの……もしかして、なんですけど。黒沢君……ですか?」
こっちに背中を向けたまま、静かにそう言葉にしたのであった。
コメント
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いやこれ、めっちゃ良いな……!訓練描写が細かくて、しかも白川さんだけポコポコ子供と遊んでる流れから「気配の察知」に気づく成長、マジで好き。おもちゃの鉄砲持って六人に勝てちゃうの、ちゃんと理屈が通ってて痺れた。最後の黒沢くんのシーンで「もしかして黒沢君ですか?」って後ろ向いたまま声かける白川さん、もう出来上がってるやん…続き気になるわ🔥