若くしてこの世を去った神官――その死因は謎に包まれている。他殺か、それとも自殺か。誰も真実を知らない。神聖な職務に殉じたのか、それとも隠された闇が彼を蝕んだのか。彼の遺志を継いだ者、そして彼の死に関わった者たちの証言が、徐々に明らかにしていく、予想だにしない結末。あなたは、真実を解き明かすことができるか――?
「神官が亡くなったらしいぞ」人々は歓声をどっとあげた。それは何故か、神官は酷く嫌われていた。神官を恐れる人も多い、神官が降りてきたと知ったら町に近寄れなくて困る程だった。そんな時、神官が亡くなったと噂が飛び回った。そんな生活を送ってきた人々にとって神官の死と言うのはとても喜ばしい物だった。神官が町に何かしたのではなく、人々を痛め付けたのではなく、ただ冷酷な人という理由で嫌われていた。
※冷酷な人…(思いやりの気持ちがなく、むごいさまの人、無感情や距離感の遠さ、他人に無関心といった人柄 等)
それな彼を何時迄も何時迄も師範と呼び続け、師範の期待に応えようとした者がいた。人々は彼を何度も止めたが師範の側に居続け辞める事はなかった。師範はその想いを否定する事はなく、突き放す事もなかった
時は古代中国。男性は皆、先生を付け剣術を習わないと行けなかった。本当は本格的の所へ入れられるが御曹司だった若君は甘えられ育てられた。
※御曹司…(歴史のある家系、権力のある一族や非常に富裕な一家など当主の息子を広く指す言葉)
剣術を習わなくても大丈夫だと分かっていても、強くなりたいと感じた若君は申し出に言ったが「御曹司だからもし傷付けたら趙家から何されるか分からない」と言って拒否られる日々を送っていた。どうしても強くなりたいと感じていた若君はダメ元で、最も強いと言われていた者へと足を運んだらまさかの承諾された。
其処での生活は何とも苦しい物で、色んな人が辞めていったが若君だけは最後まで粘り続けた。
強くなりたいという気持ちが大きかったが、何としても師範に「弟子」と認めて貰いたいが為に日々努力を積み重ねた。
「お初にお目にかかります、趙家総領 趙宇軒と申します! 」
※総領…(家の名跡をつぐ者。あと取り。転じて、最初に生まれた子供 等 )
「お前の名前を呼ぶ程私は落ちこぼれか?名乗らなくて良い。お前の名前を呼ぶ事は一切ないと肝に銘じろ」
手に持っていた瓶がパリンッと音を立てた。師範が冷酷な人だと分かっていた。だからこそ僕は強くなれる。師範みたいな人に認めて貰えることがどれだけの幸福か、師範を否定する人達には分からない。
「ご忠告を肝に銘じて忘れません」
心に決めた10の時から僕は師範に一途だ。
師範以上に素敵な人はいない。現れても僕は師範から目を離さない。どれだけ酷いことをされても僕なら受け止める
(決めたんだ。これは僕が選んだ未来だ、師範を困らせる事は絶対にしない)
「御曹司だと言ったか?」
「はい!」
「特別扱いを求める?」
答えが思い付かなかった。でも特別扱いをして欲しいとは願わない。 特別扱い、それはとても嬉しいけれど求める物はそれとは違ったからだ。
「特別扱いを求めるならば他を当たりなさい。御曹司だからと言って扱うのではなく。私は趙宇軒、お前として扱う。」
その言葉を言われたのは初めてだった。今まで感じた事のない感覚に襲われた。この人の元へ、この人の側に居続けたいと酷く肝に銘じた
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