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誰かが部屋の扉をノックする音がする。
「…どうぞ」
「おおおおお、お久しぶりです、セレナ様」
「お久しぶり、モニカ殿」
「モ、モニカで、結構です」
「あら、そう?」
セレナは手を広げモニカに笑みを向ける
「ようこそ、セレンディア学園へ」
「あの、第二王子はどこに、、?」
セレナは一つの疑問に気付き、モニカに疑いの目を向ける
「モニカ、もしかして、殿下の顔をご存知無い?」
「ひぇっ、、あ、あの、祭典でもフードを目深に被っていたので、、」
セレナは呆れたような顔をしティーカップに紅茶を注ぐ
「モニカ、貴方は護衛なのですから護衛対象くらいの顔は知っておかないと、」
「す、すみましぇん、」
「朝礼にはまだ少し時間があります、紅茶はいかが? 」
「あ、いただきます…」
セレナのカップにはかすみ草を入れ、モニカのカップには蜂蜜を入れモニカのテーブルに置く
「あ、あのセレナ様… 」
「何か?」
「今、何を入れなさったのですか?」
「かすみ草、入れると苦味が増し健康的な味になります。貴方も入りますか?」
「い、いえ、!!遠慮、しておきます」
「そう、」
気まづい時間と共にセレナのカップに入った紅茶が無くなっていく。そんな状況的にモニカも動揺を隠せないでいた。その気まづい状況を壊したのはセレナ・クリスタリアだった
「モニカ、恐らく殿下はお昼時に中庭に行くことが良くあります。行ってみては?」
「わ、わかりました、!」
「あら、そろそろ時間ですね。また、お茶会しましょう。ノア、行くよ」
「は〜い」
ノアはセレナの肩に乗り、セレナは自分の部屋を後にした。
-生徒会室にて-
生徒会広報の仕事を早急に片付けるセレナの背後に忍び寄る者がいた。
「止まりなさい。何者ですか?」
「〈白銀の魔女〉殿」
「…貴方ですか、リンさん」
リィンズベルフィード
〈結界の魔術師〉ルイス・ミラーと契約している風の上位精霊だ。
「何か御用ですか?」
「ルイス様より伝言を預かっております」
「伝言?」
西の村に赤竜の出没発生、早急に討伐せよ
竜という言葉にセレナの眉は一瞬細めていた
「竜?」
「今夜、大量の竜を討伐するので〈白銀の魔女〉殿に手助け願う、らしいです」
「ルイス君一人で討伐可能ですよね?」
「ルイス様一人で討伐は可能ですが、最近第二王子の為に魔力を消費し過ぎた為、少々手間が掛かります。」
セレナは再び、眉を細め一つの結論に辿り着いた。
「分かりました、ですがルイス君が言った大量の竜。ルイス君がいうならかなり多いのでしょうね。その為、精霊王を召喚しますのでルイス君には認識阻害の結界を頼みます。」
「なぜ認識阻害を?」
セレナはうっすらと笑みを浮かべ、一言こう言う。
全てを凍らせない為。
**
**
-西の村、上空にて-
「お忙しい中、来て下さりありがとうございます。」
「いえ、それより結界は?」
「既に、」
「では、始めます。」
セレナは目を閉じて、素早く魔術式を読み上げる。
その魔術式は国内でも僅か数人しか使い手がいない、超上級魔術。全ての魔法を短縮詠唱で三秒のうちに生成出来るセレナですら、
発動に十秒以上の時間を要するものだ。
そして、セレナはこの魔術を使う時、これから呼び出す者への畏怖と敬意を込めて、こう詠唱する。
「姿無き静寂の王よ──
我が呼びかけに応え、 凍てつく威光の片鱗を示さん」
詠唱が終わった瞬間、空気がひと息に冷え込む。
白い息がふわりと溶けて消え、世界から温度だけでなく“音”までも奪われていく。
足元の影が淡く震え、大気の水分が音もなく結晶化していく。
まるで時間が凍りついたような静けさ。
風さえ動かず、
ただ淡い蒼光だけがゆっくりと漂い、そこに“王”の気配が満ちていく。
〈結界の魔術師〉ルイス・ミラーはその現象には全く、興味を示さずただひたすら彼女の出す魔術を眺めている。
「七賢人が一人、セレナ・クリスタリアの名の下に。開け、門。永氷の深淵より、現れ出でよ。氷の精霊王フラウリシェル」
そう詠唱した瞬間、すぐ側まで来ていた赤竜達の全てが凍り付いた。竜だけではない、木や家など全てが凍り付く。ルイス・ミラーや風の上位精霊であるリンは結界で自分の身を守り、セレナの使い魔であるノアは氷の上位精霊である為、氷には強い。
「これで宜しいでしょうか?」
「えぇ、感謝いたします」
「では、ノア。転移魔法を」
「は〜い」
「では、またの機会に。」
ノアが触れた瞬間、転移魔法が発動される。
-セレナの部屋にて-
部屋の扉の間に一枚の紙が挟まれてあった。
「これは、…」
『明日の朝、生徒会室にて怪しい者の尋問を行う。──エリオット・ハワード』
「エリオット、」
「セレナ?」
「明日朝早いからもう寝るね」
「うん分かった。」
「おやすみ、」
𝙉𝙚𝙭𝙩 . モニカの同行