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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第130話 〚名前を呼ぶ前に、少し考える回〛
えまは、
最近。
自分の行動が、
ちょっと変だと気づいていた。
廊下で、
怜央の声がすると。
反射的に、
そっちを見てしまう。
別に、
用事があるわけでもないのに。
教室で、
怜央が笑うと。
「今の、
なんか楽しそうだな」
そんなことを、
考えてしまう。
前は、
なかった。
澪の隣に誰が座るかとか、
今日の宿題とか。
考えるのは、
そういうことだった。
なのに。
最近は。
怜央が
誰と話しているか。
誰の隣に立っているか。
それを、
無意識に追っている。
「……あれ?」
えまは、
ふと立ち止まる。
これって。
もしかして。
昼休み。
澪と話している時も、
少しだけ上の空になる。
「えま?」
声をかけられて、
はっとする。
「ごめん、
今の何?」
澪は、
不思議そうな顔。
えまは、
笑ってごまかす。
でも。
胸の奥で、
小さく認めてしまう。
——あ、
気になってる。
それも、
たぶん。
友達として、
じゃない。
自覚した瞬間。
少しだけ、
恥ずかしくて。
少しだけ、
嬉しかった。
えまは、
まだ何も言わない。
誰にも。
でも。
怜央の名前を呼ぶ前に、
一瞬だけ考えるようになった。
それがもう、
答えだった。