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「卵安かった〜!」
スーパー帰り。
マナが嬉しそうに袋を揺らす。
ライはその隣で、重い荷物を全部持っていた。
完全に同棲カップル。
しかも自然すぎる。
「ライ、今日何食べたい?」
「お前作るならなんでも」
「雑〜」
笑い合う。
家の近くだから、完全に気が抜けていた。
——その時。
「あれ?」
声。
二人が止まる。
振り返ると。
生徒。
しかも近所住みの男子生徒だった。
「えっ、先生!?」
終わった。
マナの顔が固まる。
ライは数秒止まったあと、静かに口を開いた。
「……偶然です」
「いやスーパー袋同じじゃないですか!」
「偶然なので」
「無理あるって!」
男子生徒が爆笑する。
マナはもう駄目だった。
◇
帰宅後。
「……終わった」
ベッドへ顔を埋めるライ。
珍しく完全に弱っている。
マナは隣で笑いを堪えていた。
「ライ落ち込みすぎ」
「普通に焦った」
「“偶然です”は無理だったね」
「……うるさい」
ライがマナの腕を引く。
そのまま抱き寄せる。
「もう近所で一緒に歩かない」
「え〜」
「お前すぐ寄ってくるし」
「だって恋人だもん」
するとライが顔を上げた。
数秒見つめてから。
「……そういうとこ好き」
ぽつり。
マナが止まる。
「っ、急に言う!?」
「本音」
ライはそのまままた肩へ顔を埋めた。
「……バレたくないけど」
「うん」
「お前といるのはやめたくない」
小さい声。
マナは優しく頭を撫でた。