律は視線を逸らしながら、ゆっくりと言葉を探すように口を開いた。
「……さっきは、ありがとうございます」
その一言に、華の目が丸くなる。
「えっ……」
「会長に、あんなふうに言ってくださって」
律の声は低く、けれどどこかぎこちなかった。
華は慌てて手を振る。
「い、いえっ! 私の勝手な気持ちで……でも、本当に思ったことなんです」
言葉が重なると同時に、二人の視線がまた重なった。
頬がじんわり熱くなる。
(……律さん、今ちょっと照れてる?)
胸の鼓動が早くなり、華は思わず視線を逸らした。
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