俺が襲われた事件は、男が謎の死もあって、しばらく学校や近所で噂になっていた。
その噂もあまり聞かなくなった頃、俺は図書室で勉強をしていた。
「…あれ、さもくんじゃん。」
そう言われ顔を上げると、俺と同じ勉強しに来たのか教科書とノートを持ったべるさんがいた。
「べるさんも勉強?」
「うん、次のテストがあるからね。」
そう言いながらべるさんは俺の隣に座る。
30分ぐらい経った頃、べるさんが急に立ち上がった。
「…ついでに本も借りちゃおうかな。」
「じゃあ俺も借りようかな。」
本棚を見ていると、とある本に目がいった。
「あ、これ…」
「何かいいのあった?」
俺が手にとった本は、『吸血鬼の少女と人間の少年』という本だった。
「…俺が助けてもらった子、なんだか吸血鬼みたいだなって。」
「吸血鬼…?」
「うん、白髪って吸血鬼のイメージあるなって。」
俺がそう言うとべるさんは少し黙ったあと、手にしていた本を持って歩き出した。
「…良い本だね。」
「?」
俺は雰囲気が変わったべるさんに疑問を持ちながら、べるさんの後を追った。
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