テラーノベル
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とある山奥に、存在しないはずの研究施設がある
地図にもネットにも載っていない
でも、都市伝説としては有名だ。
「シロニナル、って言葉を聞いたら絶対に行っちゃダメ」
「戻ってきても“自分”じゃなくなってるから」
友人の失踪を追っていた大学生の絵奈は、その施設にたどり着いた。
廃墟のような外観
でも、中は電気が通っている
機材も新しい
奥へ進むと、無人の観察室
そのガラスの向こうには、真っ白な個室が並んでいた。
“002号観察セル”と書かれた部屋に
自分とそっくりの人間が座っていた。
「……誰?」
声をかけると、そいつはニヤリと笑った
「やっと来た」
「入れ替わるの、ずっと待ってたよ」
突然背後の扉が閉まり、警報が鳴り響いた
スピーカーから機械音声が流れる
「観察対象003番、同化フェーズに移行します」
「自己同一性の上書きを開始します」
絵奈の頭に、激しいノイズが走る。
視界がブレる。思考が混濁する。
そして、気づく。
“002号観察セル”の中にいるのは本当に自分だった。
じゃあ今ここにいる「絵奈」は、誰だ?
半年後絵奈は戻ってきた
でも、妹だけが気づいていた
「……お姉ちゃん、箸の持ち方、逆だよ」
「あと……その指の傷、前は左手じゃなかった?」
絵奈は笑った
「なに言ってんの?ワタシはずっとこうでしょ?」
その目は真っ白で、感情がない
まるで「人間のふりをしているだけの何か」だった。
“シロニナル”
それは、人間の個性を削り、完全な無個性の個体を生み出す実験計画だった
感情、記憶、癖、声の抑揚
すべて“平均化”されたヒトは、白紙のように扱いやすくなる。
だからそれは、「洗脳」ではない。「上書き」だ。
あなたの隣の“あの人”、本当に前と同じ性格だった?
コメント
3件
友達が急に、私にだけ、冷たくなった!😱