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#SCRATCHERS
K-Takasaka
49
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#CREATIVE BASE
ユナがそのチラシを見つけたのは、駅前の掲示板の前だった。
赤、青、黄色、緑、紫。さまざまな色が大胆に配置されたチラシには、大きな文字でこう書かれている。
CREATIVE BASE主催
クリエイターズ・フェスティバル開催!
音楽ライブ、イラスト展示、小説朗読、創作体験、ステージイベント。
そして、出演グループの欄に書かれていた名前が、ユナの目を引いた。
スクラッチャーズ
「面白そう……!」
ユナはチラシを一枚取り、その日からフェスを楽しみにしていた。
数日後。
フェス当日、会場には多くの人が集まっていた。
入り口を通ったユナは、色鮮やかな展示や大きなステージを見て、思わず目を輝かせた。
「すごい……!」
その瞬間だった。
「おはようございまーーーーーーす!」
会場の奥から、耳をつんざくような声が響いた。
次の瞬間、オレンジ色のヘルメットをかぶった青年が、ものすごい勢いで飛んできた。
「え〜!?」
その後ろから、ピラミッドの被り物をした青年まで飛んでくる。
「メバルちゃん、今日も元気だね!」
「元気なのはあんたたちじゃなくて、私が怒ってるだけよ!」
メバルは怒鳴りながら、二人を投げ飛ばした直後の姿勢で立っていた。
カキとミステーは、そのままユナのほうへ飛んでくる。
「危ない!」
誰かが叫んだ。
ユナの体がふわりと浮いた。
機材ケースのそばにいた青年が、ユナを抱えて素早く退避させたのだ。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい……!」
青年はアオノだった。
その直後、カキとミステーが床を転がった。
「いったた……」
「床が僕を受け止めてくれたよ」
「床に謝りなさい!」
メバルが二人をにらみつける。
そこへ、ステージから音が流れた。
「本番前のサウンドチェックを始めるぞ!」
紫色のパーカーを着たマサカゲが、ベースを持ってステージに上がる。
アオノは音響設備の前に立ち、ケーブルや機材を確認した。
メバルはギターを肩にかけ、K-Tはドラムセットの前に座る。
「カキ、ミステー。お前たちは照明の確認だけだ。勝手に操作するなよ」
マサカゲが念を押す。
「分かってるって、マサっち!」
「僕たちは光と音の仲間だからね」
「その言い方が不安なんだ!」
K-Tがドラムスティックを軽く叩き合わせた。
「サウンドチェックを始める。まずはマイク」
アオノがマイクをカキに渡す。
「はい、カキさん。声を出してください」
「マイクテストですね!」
カキは胸を張った。
「ラララララ〜!」
音程は、最初の一音から迷子だった。
会場の空気が一瞬で固まる。
「……」
「どう?」
カキが聞いた。
「どうもこうもないわよ!」
メバルが叫ぶ。
「次は僕が歌うよ」
ミステーがマイクを受け取った。
「ピラピラピラ〜、ピラミッド〜!」
カキと同じくらい音程が外れていた。
しかも、なぜか途中から歌詞が全部「ピラミッド」になった。
「二人で歌えば、もっとすごくなるよ!」
「やめなさい!」
メバルの制止は間に合わなかった。
カキとミステーは、肩を組んで歌い始めた。
「ララララ、ピラミッド〜!」
「朝から元気に、ピラミッド〜!」
「音楽を破壊するな!」
マサカゲが叫ぶ。
K-Tは無言で立ち上がった。
そして、両手のドラムスティックを持ったまま、二人の頭を軽く、しかし確実に叩いた。
「痛い!」
「音が頭の中で反響しているよ」
「サウンドチェックは楽器だけでいい」
K-Tが冷静に言った。
「あなたも叩くの!?」
ユナが思わず声を上げる。
「必要な対応です」
K-Tは真顔だった。
続いてメバルがマイクスタンドを手に取った。
「次に歌ったら、今度は私が叩くわよ」
「もう叩かれてるよ!?」
カキが叫ぶ。
「まだ予告よ」
メバルがマイクスタンドを構えた。
ミステーが静かに手を挙げる。
「質問です。歌は芸術ですか?」
「今のあんたたちの歌は、騒音よ!」
その瞬間、カキがまた歌い始めた。
「おはようございまーーーー!」
メバルのマイクスタンドが、カキのヘルメットに命中した。
カーン、と派手な音が響く。
会場から笑い声が起こった。
ユナも思わず笑っていた。
そして、笑いながら思った。
この人たちは、いったい何者なのだろう。
コメント
1件
**美月ゆめか🌸:** 第1話、めっちゃカオスで楽しかった〜!!😂🎶 まずカキとミステーの音痴っぷりがヤバすぎて笑ったw 「ピラミッド」連呼するとこ、頭から離れないんだけど!? メバルのツッコミとK-Tの無言ドラムスティックが完璧すぎて、もうこのバンド推すわ…💕 ユナちゃんの「何者なんだろう」って困惑、めっちゃ共感したよ!次回も絶対読むね〜!!🌸