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#願いを叶える
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『妖様へ願事』〜人を呪わば穴二つ〜
第二章『欲まみれの願い』
第二話 ノゾンデタモノ
『ログラン様!私とデートしてください!』
『私が先よ!』
(容姿が変わっただけなのに、今まで見向きをしなかった女達が俺に群がる…最高だな。)
『順番に相手してやるから俺をめぐって争うな。』
『きゃー!』
ヨリ家 お屋敷
『ログラン。最近何かあったの?』
『…なんだよ、母さん。俺の事なんか気にかけなくていい。』
『気にかけているんじゃないわ。ヨリ家の人間として恥じる行為はしないでね。』
『そうだぞ。ヨウリンに迷惑をかけるなよ。』
『ログラン。お前が何をしようと興味はない。だが、僕の顔に泥を塗ることだけはするなよ。』
『……。』
(好きに言っていろ。すぐに俺の方が上だと認めさせてやる。兄貴だってもうすぐ居なくなるんだからな。)
ギリッとフォークを握り締める。
その日の夜――
ごくんっ。
俺は薬を飲み、鏡の前に立つ。
『ヨリ・ヨウリン。ヨリ・ヨウリン。ヨリ・ヨウリン。』
俺は名前を唱える。
翌朝――。
『…もう朝か。特に身体に変化はない…。』
コンコンッ。
『おはよう!ログラン!』
『!か、母さん…?』
『どうしたの?顔色悪いわよ?』
『っ、俺の心配なんてしてないくせに。やめろよ…』
『?何言ってるのよ。たった一人の息子なんだから心配するわよ。』
『は…?たった一人?何言ってるんだよ。』
『貴方は一人っ子でしょ?』
『……!』
(そうか、薬の効果か…っ。凄い、あの狐の言うことは本当だったんだな。)
『変な夢でも見たの?』
(兄貴がいないだけで…こんなにも優しくされるんだな。それなら…もう少し両親を消すのは後にしよう。)
『母さん。さっきは冷たい態度をとってしまって済まない。』
『ふふ、気にしてないわよ。ほら、一緒に朝ごはん食べましょう?』
『そうだね、母さん。』
『つかの間の幸せに…気付かない愚かな者。
綺麗な容姿を手に入れ、お兄さんを消して貴方は本来の幸せを手に入れられるのかしら。』
そこにあるのは偽りの幸せだと言うのに――。
ジャキンッ!
私はかれている彼岸花を鋏で切る。
『一度失ったものは、もう元には戻らないのにね――。』
『ログラン。お前は俺の跡取りだ。いつものように勉学に励めよ。』
『はい、父さん。』
(結果を出せば、父さんも優しい。期待をしてくれてる。俺だけに。俺だけを見てくれる。)
『今夜のパーティでお前を正式に跡取りだと発表しよう。その方がお前も今よりもっと頑張れるだろう。』
『そうね、そうしましょうあなた。』
『母さん、父さん…はい、ありがとうございます。』
(何もかも思い通りだ、兄貴がいないだけで俺はこんなにも優遇される…!)
夜のパーティ
『私の跡取り息子のログランです。まだまだ未熟ですが、これから私の跡取りとして勉学に励ませます。皆様、どうか我が息子を応援してあげてください。』
パチパチパチ…。
この世に兄貴が居なくなった。それだけで俺に――。
『ログラン様かっこいいわね…』
『えぇ。ヨリ家の長男として素晴らしいお方だわ。』
女も地位も同時に手に入る。
『ログラン様、お隣失礼します。』
(この容姿のお陰で女も寄ってくる。そうだ、もう兄貴はいないんだ。
俺が好きにしていい、そんな世界なんだ。)
『あぁ。座ってくれ。』
ヨリ家お屋敷
『ログラン。追加の本だ。』
ドサドサッ。
『はい、父さん。』
『ログラン、ところでお前…マーサ家のお嬢さんと親しくしているのか?』
『え?この間パーティで話しただけだけど…』
『……そうか。いいか?あの娘とだけは婚約などするなよ。』
『え……?』
『お前に相応しい相手は私が選んでやる。あんな地味な女で底辺の貴族の娘など私は認めん。』
『っ、待ってくれよ、父さん。俺は父さんの跡取りだけど、婚約相手は自分で――』
ドゴッ!
『!?』
頬を拳で殴られる。
『は…?とう、さん?』
『お前は…私の言うことだけ聞いていればいいんだよ。口答えなんかするな。さぁ、座れ。勉強しろ。そして、私の役に立て。お前は私の跡取りなんだ。お前に口出しする権利はない。』
『父さん…?』
俺は知らなかった。兄貴が居なくなったことで、跡取りとしての重圧がどれだけ重いものかを。
次回
第三話 コンナノノゾンデナイ
コメント
3件
ぷちさん、第二章の第二話、すごく重くて苦しくて、でも目が離せなかったです……。 ログランが薬で兄を消して、一瞬だけ「思い通り」の幸せを手に入れたのに、跡取りとしての重圧がどんどんのしかかってくる展開、心臓がギュッと締め付けられました。父親に殴られたシーン、あの瞬間のログランの混乱と絶望が痛いほど伝わってきて……。 「偽りの幸せ」って、本当に残酷だなって思います。彼岸花を切るあなたの描写も、すごく印象に残ってます。 次回、どうなってしまうんだろう……。怖いけど、読みたいです。