翌日、私は陽翔とダイキ、どちらに決めるべきか迷いながら登校した。リリカからも「焦らず、自分の気持ちを大切にしなよ」と言われたけれど、それでも心の中では答えが出せずにいた。
ううーん。
陽翔は爽やかイケメン男子。ファンクラブもあるから、人気は間違いなし。
ダイキは爽やか…ではないけど、可愛い系?隠れファンもいるから、やっぱ人気だよねー。
教室に入ると、いつも通り陽翔が笑顔で私に手を振った。ダイキは、いつも通り少し照れたように「おはよう」と言ってきた。私はどちらにも特別な気持ちを抱いている。でも、今日こそ、心の中で決めないといけない。
でも、そんな矢先、事態は一変した。
放課後、陽翔と二人きりで話すことになった。いつもと違う雰囲気で、何か言いたそうに黙っている陽翔が、突然こう言った。
「ヒメ、ちょっと話があるんだ。」
「なに?」
私は少し不安になりながらも、彼を見つめた。
「俺…彼女ができたんだ。」
その言葉に、私は一瞬、頭が真っ白になった。陽翔が誰かと付き合うなんて、全然考えていなかった。心臓がドキドキと鳴り響く。
「え…?それ、どういうこと?」
私はうわずった声で聞いた。
陽翔は少し目をそらしながら、言葉を続けた。
「ヒメが悩んでいる間に、俺も自分の気持ちを整理してたんだ。そして、気づいたんだ。別にヒメを待っているわけじゃないって。」
その言葉に、私は何も言えずにただ黙っていた。陽翔が彼女を作った理由もわかる。私が何度も迷っているうちに、彼は自分の気持ちを決めて前に進んだんだ。それは仕方ないことだと思った。
「ごめん、ヒメ。」
陽翔は少し苦笑いをしながら、私に言った。
その瞬間、何かがパキっと音を立てて壊れた気がした。私の心が、一度、バラバラになってしまった気がした。
「ううん、別に…。おめでとう。」
私は小さく答え、陽翔を見送った。心の中では、陽翔が幸せならそれでいいと思いながらも、心の奥が痛んでいた。なら、あのシチュはなんだったの?悩む、悩む…。
その後、私は校庭を歩いていた。陽翔のことを考えれば考えるほど、胸の中で何かがざわざわしてきた。でも、ふと見上げると、そこにはダイキがいた。彼は、いつも通りの少し遠くから私を見ていた。
ダイキと目が合った瞬間、私は無意識に彼の元へ向かって歩き出していた。
…カッコいいなぁ。
「ダイキ。」
私は彼に声をかけると、ダイキは驚いたように一歩踏み出してきた。
「どうした?」
「陽翔が、彼女ができたって…」
私は言葉を詰まらせながら、続けた。
「だから、私…自分の気持ち、整理できたよ。」
その瞬間、ダイキの表情が少しだけ柔らかくなり、私をじっと見つめた。
「ヒメ、じゃあ…俺のこと、どう思ってる?」
ダイキの問いかけに、私はもう迷うことなく答えることができた。
「ダイキ…私、ダイキが好き。」
その言葉を口にした瞬間、胸の中で何かがすっと楽になった。
ダイキは微笑んで、少し照れたように笑った。
「俺も、ヒメのこと好きだよ。」
そして、彼は私の手を取って、優しく握った。
その瞬間、私はすべてが決まったような気がした。陽翔が新しいスタートを切ったように、私も自分の気持ちに素直になれた。それが、私にとって一番大切なことだと感じた。
これからは、ダイキと一緒に歩んでいきたい。二人の未来を、一緒に作っていきたいと思った。
そして、私は心からの笑顔を浮かべて、ダイキと手をつないで歩き出した。別に、どちらかを私が選ばないといけない状況に戻りたいわけじゃない。ほっとしている自分もいる。
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