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日本語がおかしい?なんのことかな!!!黒の時代より前で青の時代より後の話。ちょいギャグ相棒譚!
ヨコハマの裏路地、敵組織の残党を片付けた直後の静寂は、一秒と持たずに中原中也の怒声によって叩き割られた。
「手ェ抜いてんじゃねぇぞ、この青鯖が!! 援護が三秒遅ぇんだよ!」
「えぇー? 中也の動きが猪みたいに直線的で単調だから、合わせるのが退屈で欠伸が出ちゃったよ。あ、今の爆発で帽子、さらに縮んだんじゃない? 脳みそまで圧迫されてるんだね、かわいそうに」
「縮んでねぇし、脳みそも詰まってるわ!! つーかお前、さっきから俺を盾にして一歩も動いてねぇだろ。少しは働けよ包帯無駄遣い装置!」
中也が全力の拳を振り上げるが、太宰治はそれをダンスでも踊るような軽やかさで回避する。監禁だの依存だのといった湿っぽい空気は微塵もない。そこにあるのは、隙あらば相手の靴の中に画鋲を仕込もうとするような、純粋で苛烈な嫌悪感だけだ。
「働いてるよ。君が猪みたいに突っ込めるように、精神的支柱として背後に立ってあげてるじゃないか。感謝してほしいね。報酬として、今日の晩飯は君の奢りで最高級の蟹を用意したまえ」
「一発も撃ってねぇ野郎が報酬とか抜かすな! 死ね!」
「死ねって言われて死ねるなら、もう五億回は死んでるよ。中也が私のこと大好きすぎて、死ぬ間際にいつも助けに来ちゃうからいけないんだ」
「誰が大好きだぶっ殺すぞ!!」
中也の周囲に、どす黒い重力のオーラが渦巻く。本気の怒りだ。だが、太宰は怯えるどころか、ニヤリと口角を上げた。その瞬間、路地の奥から死に損ないの伏兵が銃口を向ける。
言葉を交わすまでもない。
中也が跳躍し、重力で弾丸を弾き飛ばすと同時に、太宰はその影に滑り込み、敵の退路を断つ最短の指示を飛ばす。
「中也、左。三秒後に床を抜け」 「言われなくても分かってんだよ!!」
中也が床を蹴り、瓦礫が舞う。太宰は敵の銃を取り上げ、安全装置をかけながら、中也の背中にぴたりと寄り添った。先ほどまで殺し合わんばかりの喧嘩をしていた二人とは、到底思えない。
「……ふぅ。片付いたね。中也の無駄に高い身体能力だけは、唯一評価してあげなくもないよ」 「『だけ』じゃねぇよ。お前のクソムカつく予測がなきゃ、もう数秒かかってた。……チッ」
中也はふいっと顔を背けた。お互い、世界で一番嫌いな相手。性格も趣味も合わない。けれど、命のやり取りをする瞬間に、自分の背中を預けてもいいと思える相手は、この世で一人しかいない。
「さて、仕事も終わったし、中也の奢りで飲みに行こうか」 「なんでそうなるんだよ。自分の給料で食え」 「私の給料は、君のバイクに仕掛けるクラッカー代に消えちゃったんだ」 「今すぐ死ね!!!」
結局、帰り道も怒鳴り合いだ。中也は太宰を殴るふりをし、太宰はそれを笑いながらかわす。
「……ねぇ、中也。私、君が先に死んだら、君の墓石で蟹を茹でるからね」 「ふん。お前が先に死んだら、俺はお前の葬式で最高級のワインを開けてやるよ。万々歳だ」
そう言って、二人は並んで夜の街へと消えていく。その距離は、恋人よりも近く、友人よりも険悪で、けれど「相棒」という言葉以外では説明できないほど、絶対的なものだった。
「中也、今、私のこと『やっぱり太宰がいないとダメだな』って思ったでしょ」 「思ってねぇよ死ね!!」 「顔が赤いよ!」 「夕焼けのせいだ!!」 「今、夜だよ!!」