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どうも、クロネコです!
いきなりなんですけど、ずっと思ってたので伝えます!
もし良ければフォロワーさん、私のことをクロネコと呼んでくれませんか?
理由は、「クロネコさくら」が長いからです
元から7文字もあるのに、さらにさん付けすれば10文字近くなるんですよね…
打つのめんどくさいと思いますし…「クロネコ」と呼んでください
さん付け、ちゃん付け、呼び捨て、どれでも大歓迎です👍
いやー名前適当につけすぎましたね
もっと考えればよかった
180度話は話は変わりますが、本題に入ります
今回は台日です(リクエストじゃないよ)
恐らく世界一の親日国である台湾と日本、マイナーではあるものの、私の大好きなカプですね
今回は新しい試みとして変わった書き方をしてます
読みにくかったらごめんなさい
週末の夕暮れ、窓の向こうに滲む杏色が、背中をそっと押した。デスクの上を片づけ、いつもより静かに席を立つ。
外に出ると、街路は淡い光に包まれ、夏の名残を含んだ風が頬をやわらかく撫でていく。
アスファルトから立ち上る匂いに、蝉の声が遠くで溶けていた。
今日はなんだか自然と足取りが速くなる
多分、胸の奥で小さく灯る期待のせいだ。
ビルの影が長く伸び、通りの端を照らす夕陽が、ガラス窓に橙色の線を描く。
商店街を抜ける風が、昼間より少し涼しく、背中を押すようだった。
マンションの郵便受けを開けると、そこに淡いクリーム色の封筒が一通。角がわずかに擦れている。
送り主は、海の向こうに暮らす友人──僕よりも少し言葉に真っすぐなひと。
毎月一度、必ず届くこの手紙は、僕にとって季節を測る暦であり、忙しない日々の歯車を静かに緩めてくれる癒しでもあった。
封筒を胸ポケットにしまい、エレベーターの鏡越しに、少し緩んだ自分の表情を見つける。
部屋に入ると、鞄をソファに置き、すぐに湯を沸かす。
手紙はまだ開けない。
沸き上がる湯気とともに、心の準備もゆっくり温まっていく気がした。
彼は日本語を学んでいる。
理由を聞いたとき、「日本の好きな言葉をもっと知りたいんだ」と少し照れながら言っていた。
深海のような青が、ひとしずくの夕陽に染まったかのように、微かな紅が差す瞳。
その姿や声音が、妙に頭に残った。
それからというもの、彼の便りには、必ず短い詩や短歌が添えられるようになった。
最初はまだぎこちなかった文字や言葉のつながりも、月日を重ねるごとに、やさしいリズムと温もりが自然と漂うようになっていった。
便箋の隅に並ぶその五行は、彼が異国の言葉に触れ、迷いながらも大切に紡いでいる証だった。
少し甘く乾いた匂いのする封筒を手に取り、静かに机に向かう。
湯気がゆらめく湯呑みをそっと脇に置き、封を切った。
――日本へ
最近、夕方になると蝉が鳴かなくなったよ。
代わりに、風の音がよく聞こえる。
この前、好きな日本語をひとつ見つけたんだ。 「木漏れ日」って言葉。
光が葉っぱの間から零れるなんて、すごくきれいな言い方だと思う。
だから、練習でこんな短歌を作ってみた。
木漏れ日に
落とすまなざし
柔らかく
触れずに触れる
夏の残り香
日本の目にはどう映ってるのかな。
意味、ちゃんと伝わったらいいな。
最近は暑いから、気をつけてね。
忙しいと思うし、いつも通り返事はいらないから。
読んでくれるだけでも嬉しい。
台湾より
木漏れ日。
その言葉を口の中で転がすと、やわらかな陽の粒が、静かに心に落ちてきた。
彼の書く日本語はまだ拙いところもある。
けれど、それがどこかあたたかくて、言葉の輪郭を際立たせていた。
短歌の最後、「夏の残り香」という一節に、僕は胸の奥をそっと掠められた気がした。
手紙を閉じてもなお、外から流れ込む風の匂いを無意識に探している。
その週も、空はうっすらと曇っていた。
低い雲が夕陽を遮り、街全体が淡い銀色に包まれている。
郵便受けを開けると、白い封筒の端に淡い青のインクが滲んでいるのが見えた。
台湾さんからの手紙だ。
こうして月に一度、彼の言葉が海を越えて届く。
受け取る瞬間、距離というものがふと意味を失う気がした。
湯を沸かしながら封筒を開き、折りたたまれた便箋を広げる。
前回より、文字はすこし大きく、勢いを帯びていた。
――日本へ
この前、道端で白い花を見つけた。
名前はわからないけど、あまい匂いがして、思わず足を止めたよ。
花の名前は知らなくても、きれいだと感じる気持ちは同じなんだな、と思った。
だから、こんな短歌を書いてみた。
名も知らぬ
花の香りに
ふと止まり
呼吸の間に
君を思いぬ
どうかな、少し変かな。
短歌を作っていると、いつもより本音が伝えられる気がする。
やっぱり日本語って面白いね。 もっと知りたくなるよ。
もし会える機会があったら、日本の好きな言葉、教えてね。
台湾より
「呼吸の間に君を思いぬ」
その一行に、僕の心はじんわりと熱を帯びていった。
「本音」と彼は書いていたけれど、果たして何の本音なのだろう。
深く考えると、余計に距離が近づきそうで、僕は湯呑みの湯気に視線を落とす。
便箋の端に、小さなインクのしみ。
それが何なのか、考えるのはやめておくことにした。
小雨が降る夕方、仕事帰りにポストを開けた。
外気は湿り気を帯び、冷たさが指先を刺す。
中には薄く水を含んだ封筒が一通。
表面には、見慣れたあの筆跡。
封筒を持つ指先に、なぜか熱が集まる。
濡れないようにそっと懐に入れ、家路を急ぐ足が少し早くなった。
――日本へ
この前、夜市を歩いていたら、ふいに金魚すくいの屋台を見つけたよ。
ここにもあるなんて、ちょっと変だよね。
金魚が紅灯籠(赤いランタンのことだよ!)の光が広がる水の中を泳いでいて、すくおうとしてもするりと逃げていくんだ。
なんだか、日本との距離みたいだなと思った。
だから、こんな短歌を書いてみた。
指すくむ
水面のゆらぎ
逃げる影
追えば追うほど
光をまといぬ
日本は本当に眩しいよね。
見てるだけで、不思議と嬉しくなるんだ。
台湾より
その短歌を読んだ瞬間、胸の奥が不意に波打った。
けれど、その言葉の奥にある感情を探ろうとして、結局手を止めた。
便箋を通して伝わる彼の息遣いだけが残る。
封筒を机に置くと、一行一行が部屋の空気をほんのり温めていくようだった。
風が乾き始めた午後、郵便受けの中に新しい封筒を見つけた。
今までより宛名の文字が大きく、滲む筆圧の強さが何かを急かしているようにも感じられた。
封を切る前から胸の奥に小さな波紋が広がる。
――日本へ
この前、夕焼けを見たよ。
赤と金が混ざり合って、とってもきれいだったよ。
こういうのを空が燃えているって言うのかな。 でもすぐに暗くなって、街灯がぽつぽつと灯っていった。
日本と歩く夕焼けは、きっともっときれいなんだろうね。
短歌も書いたよ。
沈む陽に
染まる横顔
想うたび
夜の静けさ
胸をあたため
この気持ちはまだうまく言葉にできないけど、
それでも短歌にすると、少しだけ君に近づける気がする。
僕は君の近くにはいられないけど、こんなちっぽけな手紙でも日本の役に立ったらいいな。
大変な毎日だと思うけど、無理せず、日本のペースで頑張ってね。
台湾より
夕焼けの短歌を読みながら、僕は静かに息を止めていた。
なぜか彼の見た夕焼けの中に、自分の姿が重なって見える。
その想像が心の奥にじんわりと広がっていった。
けれど、手紙を閉じるその瞬間、深く考えることは避けた。
今はただ、この便箋が運んできた温度を静かに感じていたかった。
月日は静かに流れていく。
離れているはずの僕らの間に、 毎月彼の手紙が届くたび、距離は確かに縮まったはずなのに、 まだ届かない遠さも感じていた。
手紙を受け取るたび、僕は思う。
この便箋の上に、彼の息遣いが確かに乗っているのだと。
その文字の向こう側には、確かに彼がいて、同じ空の下にいるのだと。
いつか二人で見上げるあの太陽が、 今は違う場所で輝いているけれど、 その光は僕らを繋ぐ見えない糸のように、確かに存在している。
僕が暮らす街の風が、彼の街にも届いてほしいと願いながら、 便箋を手に取っては、いつもそっと微笑んでしまう。
ゆっくりとした時間の中で、彼の言葉を一つ一つ追いかけた。
彼の短歌には言葉以上の感情が溢れていて、 遠回しに、でも確かに僕に向けられている想いが感じられた。 僕はまだ、すべてを理解しているわけではない。
だけど、心のどこかが疼いて、 彼の思いを大切に抱きしめたいと願っているのだ。
夕暮れ時、窓の外の空を見上げる。
彼の街では、今、夕陽が沈みかけているだろうか。
だけど、僕は同じ空の太陽を見つめている。
それは遠く離れていても、同じ時間と光を共有している。
それだけで、なぜか少しだけ満たされる気がした。
手紙と太陽が紡ぐ静かな繋がり。
それは、言葉にできない想いの架け橋だった。
コメント
11件
うわー!!なんか切ない感じがつたわってくる!最高です!
台湾×日本ええわ👍️最高👍️いい子×いい子だもん。台湾可愛すぎんだろ✨️わざわざ外国では難しいと言われている日本語を学んでくれてるなんて、ないちゃうわ (´;ω;`)というか台湾が書いてる短歌凄い✨️私中2なのに短歌ってなんだっけ〜?五七五だっけ〜って思ってたのに(✽ ゚д゚ ✽)勉強にもなるとか最高かよ。クロネコちゃん天才だ。よくこんな上手い短歌思いつきましたね!もうほんと尊敬します