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湯気の立つスープが、ひとりひとりの手に渡された。
木のスプーンを口に運ぶと、トマトの酸味と肉の旨みが舌いっぱいに広がる。
お腹がじんわり温まって、体の力が抜けていくのがわかった。
「……これ、うまっ」
思わず声が出ると、🩷が得意げに胸を張った。
「でしょ、俺の隠し味、わかる?」
「勿体ぶらなくても、、ちょっとだけ塩を多く入れたんだよ」
🤍がすかさず突っ込むと、みんなが笑った。
🩵も、すすで黒くなった頬を少し赤らめながら笑っている。
「でもほんと、こんなの久しぶり」
🩵がスプーンを置き、毛布にくるまったまま目を細めた。
「……お腹いっぱいになるのって、こんなに幸せなんやな」
「、明日も頑張る」
🤍が言うと、🩷が「明日は焦がさないで」と返し、
また笑いが広がる。
その笑い声に、俺もつられて笑った。
気がつけば、バスの中は寒さよりも人の声で満たされている。
あの夜の声や、外の冷たい闇は、今だけは遠くに感じられた。
そんな時だった。