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ゆっくりと夜が薄れ、バスの窓から灰色の光が差し込んできた。
眠れなかったはずなのに、不思議と体は軽い。
昨日までの絶望が、少しだけ遠ざかったような気がしていた。
🤍と🩷は外に出て、近くの小川で鍋を洗っている。
❤は毛布にくるまりながら、💜と小さな声で話していた。
その声に混じって、鳥の鳴き声もわずかに聞こえる。
――ああ、久しぶりだ。朝って、こんな音がするんだ。
その瞬間だった。
ウウウウウウ――――ッ!
低く唸るような音が、空気を震わせた。
耳の奥にまで響く、聞き慣れた、でも聞きたくない音。
空襲警報。
「……嘘だろ」
🩵が顔を上げた。
窓の向こう、遠くの空に黒い点がいくつも浮かんでいる。
それが少しずつ大きくなり、形を持ちはじめる――飛行機だ。
🤍と🩷が鍋を持ったまま駆け戻ってきた。
「来る!中に入って!」
❤の顔から、さっきまでの笑顔がすっと消える。
俺の胸も、ついさっきまでの温かさがすべて引きはがされるように冷えていった。
外の風が急に強くなり、窓ガラスの破片を転がす音がまた聞こえはじめる。
あの夜と同じ音。
そして、空の向こうから、遠くの爆発音が重なった。
💜は短く叫んだ。
「全員、伏せて!」