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レイカ「うわ~…かなり降ってきちゃったね~…」
祭りは急に中断されてしまい、私達も仕方無く旅館に戻った。時刻は八時頃を指す。かなり遅くまではしゃいでしまっていたようだ。だが残念なことに私の眠気はこんなときに限ってやってこない。
あいにく、遊ぶボードゲームはする相手もいないから持っていない。
レイカ「ふっふっふ…」
そのとき、レイカが不気味な笑いを向ける
「…さては貴様!?」
レイカ「フハハハハハ!」
レイカのバックから小さめなオセロや将棋を取り出してきた
レイカ「もしものために偉い私は持ってきたのだ!
わーっはっは!」
こいつ、レイカが寝るまで寝させない気だ。おそらくレイカのテンションは高いままで落ち着かせるにはかなり時間を要するだろう…。
レイカ「今夜は寝かせんぞ♪」
「くそっ…やられた…」
レイカは私の前にオセロを用意した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ところでさ」
レイカ「どったのるうちゃちゃ!」
「君はなんで私を誘ったの?」
聞かないようにしたものの、やはり気になってしまう。レイカみたいな陽キャなら友達を作るなんて簡単なはずなのになぜわざわざ通報の危険を冒してまで私に話しかけたのだろう。
レイカ「え~っとね、るうちゃちゃが疲れてる顔してたからだよ!」
「疲れてる顔?」
言われてみれば、私は最近、いやそもそも昔の頃からこんなことを、こんな友達を作ったことがなかった。
~~~~~~~~~過去のこと…~~~~
小さい頃のるう「お母さん見て!50問テストで96点取ったの!一番高い点数だよ!」
今日のお母さんはなんだか気分が良さそう。私は学年で一番高い点数の96点を出したのだから、きっとお母さんは褒めてくれるはずだ。
母「あら…」
私はわくわくしながらお母さんに報告した。
母「るうちゃん、」
るう「なに?」
母「なんで、二問も間違ったの?」
るう「…あ、えっと…」
母「見直しはしなかったの?」
るう「えっと…したんだけど…分からなくて…」
母「100点を取るのは当たり前でしょ?96点なんてもので満足をしちゃダメよ」
るう「………。」
母「返事は?」
るう「はい…ごめんなさい…」
母は昔からこうだった。100点を取らないとにっこり笑顔で私を説教してくる。100点を取ったら「それが当たり前、毎回出せるようにもっと頑張りなさい」と言われる。
るう「もっと…頑張んなきゃだよね…もっと勉強しなきゃ…」
るう「だって「アタリマエ」ぐらい出来ないと皆に迷惑をかけちゃう…全部全部「アタリマエ」なんだから…」
私はずっと100点を取り続ければいつかお母さんは褒めてくれると思ってただひたすら勉強をした。ゲームをしたり友達と遊ぶ時間はなくて、図書室に入り浸って少しでも多く勉強している私に話しかける物好きはいない。
だが、中学校に入って少し変わった。部活を言い訳に勉強量を減らしたのだ。弓道部の皆は私を上手いと褒めてくれる。嘘だろうと褒めてくれるのだ。それだけでなにかが満たされていった。テストでも少し成績は下がったが高得点を取り続けていた。文句はないだろうと、おもっていた。だが、そんな甘くはなかった
中学生のるう「お母さん、ごめんなさい…私また100点取れなかった…」
母「るう、最近、どんどん点数が下がってるわよ?勉強してないんじゃないの?」
るう「そんなことはないよ…ちゃんと勉強してる」
夜の三時まで勉強している。勿論正しい方法で。でも足りない。お母さんには足りない。
母「はぁ…、これ以上点数が下がるようだったら部活をやめさせます。」
るう「…えっ?」
母「中学の部活が始まってから点数が落ちてきてるでしょ?部活で勉強時間が減ってるせいよ。」
るう「でも!」
母「なにか問題があるの?」
母は昔のあの時と同じ笑顔で私を諭そうとする。
るう「…なにもない…。」
反論したかった。唯一の居場所を失いたくなかった。点数を落とさなければ良いだけ、そんな簡単なことだから、アタリマエが少し抜けててそれを戻すだけ。「皆出来てるんだから」
必死で勉強した。4時近くまで勉強をし、早く起きて勉強し、ただひたすら、ひたすら勉強をした。勿論友達と遊んだりゲームの時間は一切取れなかった。私の部屋にはどんどん参考書が積み重なっていった。
~~~~~~~テスト返却日~~~~~~~~~~
るう「…あっ」
点数が下がった。部活をやめなくちゃ…
「嫌だ」
頭からふとそんな言葉が聞こえた
「抵抗しろ、反抗しろ」
うるさく私の頭をうずかせる。そして私は決めた
この答案用紙を、結果を隠そう。
唯一の居場所なんだ。あそこだけは絶対に、絶対に手放したくないんだ。嘘をついても叱られてもぶたれても叩かれても、それでも失いたくない。
~~~~帰宅~~~~
母「テスト、どうだった?」
るう「…点数上がってたよ!だから部活続けて良いよね!?」
母「本当?ならよかったわ!ええ、続けて良いわよ!」
るう「やった!」
不思議と罪悪感はなかった。それほど大切な居場所なのだ。
るう「それじゃ、勉強してくるね!」
私は急いで自室に入った。…これがいけなかった。
しばらくして部屋をノックする音が聞こえた。
もしかしてばれたのかもしれない。音がかなり怒ってる音だ。怯えながら扉を開ける
るう「お母さん…どうしたの?」
母「テスト…嘘ついたのね?」
手には嘘をついた点数の低いテストが握られている
るう「……。ごめんなさい」
母「お母さん信じてたのに!部活はやっぱり無しね!」
るう「…めて…」
母「なに?」
るう「やめて!!!」
初めて大きな声を出した。多分今までで一番大きな声だろう。
るう「唯一の…唯一私を認めてくれた場所なの!私の居場所を取らないで!これ以上奪わないで!」
母「まるで私が取ったみたいに…全部るうのために、あなたのためにやってるのよ!?あなたのことを一番よく分かって」
るう「なにも分かってない!」
るう「私、もっと友達作って、ゲームしたり外で遊んで、時には喧嘩して、それでも仲直りして、そんな青春がしたかった!」
るう「こんな勉強で埋もれた人生、歩みたくなんてなかった!お母さんのせいで、それも全部取られた!」
母「なんですって!?」
私は泣きながら反抗した。初めて反抗した。初めて本当の意見をいった。本当に心の入った会話をした。
結局部活を続けることは出来ず、私は勉強で埋もれた人生を送っている。そして現れたのは
「私さ、死のうと思うんだ~!」
そんな呑気な君の声だった。
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るう「ありがとう」
レイカ「ん?どったの急に」
るう「分からないなら良いよ、それで」
レイカ「え~!?めっちゃ気なるんだけど~!」
そのまま私達は布団に入って寝た。
るう「ねぇレイカ」
レイカ「なに?るうちゃちゃ」
るう「私ってさ、私だよね。私が操ってるんだよね」
レイカ「う~ん…よく分からないけど、るうちゃちゃはるうちゃちゃだよ。自分のために生きていれば良いんじゃないかな?私も死ぬのにるうちゃちゃ巻き込んでるし」
るう「…そっか。」
部活にも行けず、居場所を作ってくれたレイカが居なくなったら私はどうしたら良いのだろう。
私はそのまま眠ってしまった。
目を覚ました景色は昨日と同じじめじめとした湿気と暑さの凶悪コンボだった。