生きていて欲しい。
この二人には。笑っていて欲しい。この兄弟には。今以上の幸せが溢れていて欲しい。そう願う毎日でした。僕はお隣さんに過ぎなくて、ジニヒョンにもテヒョナにも何も関係は無くて。こんなこと願ってしまうことも許されないかも知れないけれど。あの日、珈琲を持った貴方が言った言葉は今でも僕の心を締め付ける。
移植_____
誰かのために身を捧げるなんて考えたことも無かった。でも、ジニヒョンがもし、色が見えなくなっちゃったら、声が聞こえなくなっちゃったら、生きていけなくなっちゃったら、考えた瞬間、体が震えたのを覚えた。拒否反応が出た。そのぐらい僕はジニヒョンの事が好きになっていた。それと同じぐらいジニヒョンはテヒョナの事を想っていて、泣くほどテヒョナの病気に苦しんでいた。だから、もう誰も苦しまないように、
僕が生け贄になる。
🐯「はっ!?何っ、それ…勝手に決めないでよ!!!」
言うと思った。お前は反対しそうな気がしてた。ジニヒョンだってそうだろう。でも、こうしたらジニヒョンは笑ってくれるから。僕は変わらないよ。
🐯「何でっ、俺、ジミナの耳とかいらないしっ!!それにっ、何でジミナが犠牲にならなきゃいけないの!?意味分かんない!!!」
🐥「…だから、仕方ないだろ。お前は、僕より価値がある、だから僕の耳もらって生きていてもらわなきゃいけないの!!」
僕は言える限りの事を全て言った。ジニヒョンはお前が生きることを願っている。お前が死んだらジニヒョンが悲しむだろ。僕はジニヒョンの笑顔が好きだから。だから、お前には生き抜いてもらわなきゃいけないの。
🐯「価値って何?!誰か決めたの!?ジミナだって充分価値あるし、必要とされてるし!!俺がジミナの耳貰うんだったら、俺の目をジミナにあげる!!!」
🐥「…はぁ…それだったら何も変わらないだろ…お前が不自由無く暮らせたらそれで良いの、目って以外と大切なんだぞ?」
🐯「俺はジミナの方が大切だよ!!ジミナがいなくなったら俺、不自由無く暮らせない!!それに耳と目は繊細なんでしょ!!あの夜、ジミナが言ったんじゃん!!」
聞かれていたとは。思わなかったが今はどうでも良い。何でこんなに聞き分けが悪いのだろうか。こんな奴、誰も必要としないのに。何でお前は、お前は、
🐥「なんっで、わかんねーんだよ!!お前がいなくなったらジニヒョンが悲しむのっ!!僕は、お前らの幸せ願ってるって言うのにっ、何で僕の事なんか庇うんだよっ!!」
🐯「じゃあ何でジミナは自分がやられて嫌なことすんの?!あの夜はジニヒョンが全く同じこと言ってキレてたくせにっ!!何で移植とかそういうこと言うのっ!!」
🐯「ジミナだってジニヒョンが移植って言ったとき、嫌だったんでしょ!?」
そうだ。確かに嫌だった。テヒョナもあの夜の僕たちの会話を聞いていたんだ。僕の気持ちなんてお見通しだったんだ。テヒョナはあの夜の僕と今、同じ感情なんだ。あの、ドロドロとした苦しい感情と。そう理解すると僕はヘナヘナっと力が抜けて地面に座り込んでしまった。
目の前にいるテヒョナは息を荒くしながら此方を見下ろしていた。僕はこれ以上口を動かすことが出来なかった。下を向くことしか出来なかった。頬に伝う涙がポタポタと床に落ちて、広がる。僕は何か発言しなきゃと思い口を開くも声はガラガラで。
🐥「ごめ゛っ、ゲホッゲホッ,ごめんっ、テヒョッ、ナッ、」
そんな僕に視線を合わせてテヒョナはにぃっと笑った。大丈夫だよっ、とあやすように。
🐯「……あのさ、急に話変わるけどさ…」
「えっ?」と僕は目を丸くした。え、今?そういう空気じゃなくない?と思いながらもテヒョナの四次元行動には慣れたので僕は「何?、」と呼吸を落ち着かせながら声を出した。
🐯「ジミナってさ、ジニヒョンのこと好きでしょ?」
🐥「はっ!?」
好きだなんて急にぶっこんできたテヒョナに僕が困惑しているとテヒョナは「あれ?違った?」なんて、楽しそうに聞いてくるもんだから僕は呆れて泣いていたことが馬鹿らしく思えた。
🐥「いやっ、違う訳じゃないけど……その…まぁ…すき、かも。」
🐯「何それ!!ちょーキョドってんじゃん!!でも、やっぱりかぁ~好きだと思ったんだよねぇ~」
呑気に喋るテヒョナに僕は嫌気がさした。自分だけ言うのは不平等だと思い僕は「お前はっ、どうなんだよ!」と聞くとそれは呆気ない言葉だった。
🐯「え?大好きだけど。は?今更?」
僕が目を丸くしているとテヒョナは「気づいてのかと思ってたぁ~」とビックリ~みたいな顔で此方を見てきた。いや、ビックリなんは此方なんだか。てか、兄弟なのに好きなの?いや、偏見とかじゃないけどさ。それは、うん。凄いね。
🐯「あ、今、兄弟だから勝ち目無いだろとか思ったでしょ!」
勝ち目無いだろとまでは言ってないけど、まぁ確かに思った。今更何を言い出すのかと僕はテヒョナの話の続きを待っていた。そしたら、ここで衝撃の事実が発覚する。
🐯「俺とジニヒョン、兄弟だけど義理だから。血、繋がってないし、だから、全然っ、俺にも勝ち目ありまーす!!!」
楽しそうにマウントを取ってきたテヒョナに僕は見つめることしか出来なかった。義理の兄弟。確かに顔の系統はちょっと似てないなぁとは思ってたけどまさかの義理だなんて。驚きよりも、義理の兄弟だからテヒョナにもチャンスがあると言うことに悔しさを覚えた。僕は恋敵の存在を知り、熱意を燃やした。
こいつにだけは渡さない___________________
そう心に誓い僕達はジニヒョンとのマウントを語り続けるのだった。
漆話 犠牲と友情
コメント
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やぁぁぁあ!! 私の目と耳やるって言ってんでしょぉぉぉぉ!!=͟͟͞͞👀 =͟͟͞͞👂🏻
ねぇ?聞いてますか?私の耳と目を交換しろぉぉぉ