NO視点街の隅にある人形屋
ここでは手先の器用な主人が手作りしたフランス人形がずらりと並んでいる
フランス人形専門の店だ
人形、と言うと怖くて不気味なイメージがあるが、フランス人形は違う
スラリとした体に引き締まった顔
主人が塗装したサラサラな肌
細い糸で縫われた縫い目の目立たない小さな服一目見れば誰もを惹きつける美しさだ
まぁ、それ作ってる主人もフランス人形並に美しいのだが…
その中でも、商品棚に並んでいるのとは別にとある5体だけ、主人のプレジデントデスクに並んでいるこれは主人のお気に入り
それぞれの5色の瞳はまるで1滴の水滴の様で…
弾け散ってしまいそうに弱々しいが、それぞれ立派に輝いている
そして何より、生き生きとしている……
まるで_____
命が宿っているかの様に_______
Nakamu視点
ー12月24日・夜ー
nk「スマイル寝たー?」
kn「もうぐっすりw」
nk「よし、じゃあ始めよ!」
全員「おー、!」
俺らはご主人様が作ったフランス人形、
彼の名前はスマイルと言い、名前の割にあまり微笑む事が無い
それもそのはず、彼は1人(独り←)でこの小店を営んでおり、普段は作業場で黙々と人形だけを作り続けている言わば変人。
そんな彼がこの世界のビッグイベント、クリスマスというものを充実出来ているかと言うと当然のごとくそんな訳無くて
去年までは俺らも「またボッチか…w」で済んでいたのだが、流石に可哀想過ぎね?wって事で今年はイブの前日に俺らでスマイルが寝てるうちにクリスマスの飾り付けをしてやろうって事で、今宵はとても忙しいのだ
kn「スペース空けてー、もみの木出すから」
br「おけーい」
俺ら人形は現実では命など贅沢な物は宿っていない
だが、実際今行動、思考する事が出来ている
まぁつまりは妖精族となるわけ
そうなれば欲しい物なんて魔法で簡単にばかばか出せるわけ
大きな机も動かせるし、大きなもみの木だって出せる
まぁ神様には随分と恵まれた身体を授かったよ
kn「そらっ!」
きんときが魔法でリビングの真ん中にもみの木を出す
そこからはもう楽しい楽しい飾り付け、
星のランプで部屋を灯し、街から飾りを拾ってくる松ぼっくり、赤い実、柊の葉、街のイルミネーションの一部をちぎって来た物、スマイルの仕事道具の小さなボタンやビーズ、
そして…
nk「星どうする?」
br「欲しねぇ……」
shk「折り紙…とかは……」
kn「いや流石に…w」
shk「だよなぁ……」
sm「ん…んん……?」
突然聞こえたその声は聞き慣れたご主人様の声
sm「騒がしいと思ったら…」
sm「夜な夜な何やってんの…」
nk「いやー、今年もスマイルクリぼっちwかと思って飾り付けを…w」
kn「インドア+陰キャ+コミュ障とかwクリスマス何も出来ねぇから俺らでなんとかしようとね、」
sm「ふーん……」
kr「何だよ、wお前のためにやってんのに」
sm「んで今ツリー作ってんのか」
kr「無視すんなおい」
shk「相変わらずだなw」
br「そうだけど〜」
nk「星どうしようね、って今考えてる」
sm「星…かぁ……」
顎に手を添え、いつもの長考モードに入る
sm「……あ、」
kn「何?」
sm「丁度いいのある…」
そう言って隅っこの棚をゴソゴソと漁ってスマイルが取り出したのは……星。
めっちゃ星。
これこそ星って感じの星。
kn「すげぇ…星だ」
kr「なんか…普通に星だ」
br「めっちゃ良いじゃん」
sm「ショーウィンドウ用だったんだけど、どうせ使わないからいいよ」
kr「え、いいのそれw」
sm「いい、いい、…めんどくさいからやんない」
kn「あぁ……なんでだらしない主人なのだろうか……」
nk「まぁスマイルだしwいいよありがと!」
nk「シャケこれ飾って!」
shk「ん、おけ」
シャークんがてっぺんまで登って星を差す
nk「よし!きりやんライトの導線に電気通して」
kr「おけーいくよ」
kr「3!」
kr「2!」
kr「1!」
kr「0ー!」
全「おぉ〜〜!!」
やんが通した電流でツリーは綺麗な山吹色の光に包まれる
nk「どうよ!スマイルこれ」
sm「うん……いいな、これ…」
br「でしょでしょ!!?」
sm「…wまた服こんなに傷付けて…w」
shk「あー…それはごめん」
sm「いいよ、明日また新しいの縫うから」
kn「ありがと」
sm「あ、あとお前らにこれ」
そう言って渡されたのはスマイルにとっては小さな、俺らからすれば割かし大きめなリボンの付いた箱
nk「え?何これ…?」
sm「クリスマス…プレゼント……」
全-sm「え”ッ!?w」
br「マジ…?スマイルが?」
sm「何だよ…」
nk「開けていい?開けていい!?」
sm「いいよ」
kn「お!これは」
nk「コート!」
br「と、マフラー!!」
shk「これ皆色違い?」
sm「うん、」
それぞれ水色、赤色、緑色、青色、黄色のコートに、全員統一で白のふわふわのマフラー
kr「あれ?このコートってさ…」
sm「気付いた?俺のコートと同じデザインになってる」
スマイルが指さしたハンガーには俺らと同じデザインの紫色のコート
br「スマイルともお揃い?」
nk「やった!」
そうはしゃいでいると、東の方から光の筋が…
nk「うわ〜朝だ」
kn「戻らなきゃだね」
そう、俺らは日の出ていない間しか動く事が出来ないのだ
sm「ずっと同じ体勢キープしててキツくないの?」
shk「人形だからキツくは無いけど…」
全-sm「暇…。」
sm「あぁ…暇そう…」
kr「じゃあ戻るわ」
shk「服ありがとな」
スマイルが作ってくれたステージに立ち、最初に命を授かる前にスマイルが”人形”として俺らを作った時のポーズをし、最後に笑ったり困ったりとそれぞれ表情をキメて固まる
そんな俺らを眺めながらスマイルは
sm「別に俺…毎年お前ら居るから…」
sm「…クリぼっちじゃねぇよ…」
sm「寧ろ…これが一番楽しいよ……」
ふっ、と鼻で笑いながらスマイルはまた今日も、作業場で一人ちまちまと人形作りをする
今日は昨日傷付けた服を繕ってくれるのだろうか
あぁ…くそ…さっき言ってたツンデレスマイルにしては珍しくデレではいたであろう発言…
今すぐイジってやりたかったけど…
今は動く事を禁じられている
夜いじり倒すから待っとけ
でも俺らも、そこら辺の妖精族と居るより…
スマイルと居る方が楽しいよ…
ね、俺らのご主人様……、
END
コメント
8件
pixivで見た後また読みに来ました! ほんっっっっと最高です...! 弄り倒してやって下さい((
うわぁ!てぇてぇ!さすがですねぇ!最高やったー!みんなが人形化してたりsmさんデレたり最高ですわ!