テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
286
#誰でも大歓迎
こむぎ@多忙/たまに書いてる
1,272
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
白鳥の初日は、大成功だった。イーサンの華のある存在感はもちろん、正人の高度なダンステクニックも、観客を魅了した。秋はイーサンを遠くに感じた。もう昔の初恋の少年ではなく、世界のスターなのだと思った。
「明日は俺たち、この二人に負けないようにしような。」
文也が舞台袖で秋に言った。
「ああ、俺たちらしい踊りをしよう。」
秋も覚悟の表情だった。
舞台の幕が上がった。白鳥の秋が登場すると、客席から拍手が起こった。秋は哀しみに暮れている。魔法で白鳥に変えられて、夜の間だけ人間に戻れるのだ。そこへ、王子の文也がやって来た。文也と秋はお互い一目で好きになってしまった。逃げる秋を文也が追い掛ける。二人は愛のダンスを踊る。
(文也ってこんなに背が高かったんだな。なんて切ない表情をするんだろう。)
秋は初めて気付いた。
(秋、どうして俺だけを見てくれないんだ。俺はこんなにお前が好きなのに。)
文也は気持ちの高ぶりを踊りに込めた。
観客は息を飲んで二人の踊りを見つめている。