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#水赤
コメント
1件
みぅです🖤 第3話、読ませていただきました…。 「全部解約して一文無し」って状況、めっちゃ重いのに、それを「俺が全部買い戻す」って言い切る独占欲、すごく刺さりました。自分の歪んだ感情に気づきながらも、彼を手放せない葛藤がリアルで…最後の「風呂上がるまでの時間が愛おしくて怖い」って台詞、心臓ぎゅってなりました。 だいすさんの描く「闇」、ちゃんと受け取らせていただきました。続きが気になります…🌙
第3話
⚠️注意⚠️
ないふ
曲パロ重めnmmn
すごくキャラがちがうかもしれません
エセ関西弁
「お金あるの?…俺、全部解約したりして、1文無しだよ」
「一文無し? 最高やん」
繋いだ手に少しだけ力を込めながら、俺はわざとらしく笑ってみせた。
「なに心配してんねん。俺、これでも地味に金だけはあるんよ。ないこを贅沢させて不自由なく暮らさせられるくらいには稼いでるから、何の問題もないで」
言葉とは裏腹に、胸の奥では惨めな優越感と罪悪感がぐちゃぐちゃに混ざり合っていた。
全部解約して、一文無し。
この人は本当に、この世界との繋がりをすべて断ち切って消えようとしていたんだ。その完璧な「死の準備」を、俺が全部ぶち壊した。
頼るあてもない。金もない。生きる意味もない。
今のないこには、何も残っていない。俺が奪ってしまったから。
(——あぁ、なんて最低やなぁ、俺)
俺しか身寄りのない状態にしてしまったという事実に、ゾクッとするような歪んだ安堵を覚えてしまう自分が心底気持ち悪い。
「スマホもクレカも口座も、全部なくしたんなら好都合や。…もう、この世の面倒くさい手続きも、生きるための努力も何もしなくてええ。全部俺が払う。衣食住も、あんたが欲しがるもんも、全部俺のカードで決済したらええねん」
マンションのエントランスが見えてくる。
自動ドアが開き、明るい照明が二人を照らした。
光の下で見るないこの顔は相変わらず青白く、感情の読めない透明な瞳をしていた。
エレベーターに乗り込み、行先ボタンを押す。
「一文無しになろうが、身包み剥がされようが関係ない。俺が全部買い戻して、あんたを一生養うから」
閉まるドアの鏡に映る自分を見る。
なさけない、必死な顔。死にきれない俺が、すべてを失った彼を金とエゴで縛り付けようとしている。
「……だからさ、もうお金の心配も、生きる心配もしなくてええよ、ないこ」
「ふーん…」
その一言だけ。
驚きも、感謝も、あきれすらも希薄な、どこまでも他人事みたいな返答。
エレベーターが静かに上昇し、電子音が鳴ってドアが開く。
俺は繋いだ手首を引っ張るでもなく、優しく促すように前へと歩き出した。
「ここやで」
廊下の突き当たりにある扉の鍵を開け、ドアを押し広げる。
静まり返った部屋。一人で暮らすには無駄に広くて、寂しいだけの空間に、俺はないこを招き入れた。
玄関の明かりをつけると、薄暗がりの中に二人の影が伸びる。
「……靴、脱いで上がって。スリッパは……あー、これ使ってくれ」
言われるがままに靴を脱ぐないこの姿を、俺は息をのむように見つめていた。
俺の服を着て、俺の靴箱の横に立ち、俺の家に足を踏み入れるないこ。
本当に、連れて帰ってきてしまった。
世界を捨てようとしていたこの綺麗な存在を、俺の惨めな欲望だけで、この狭い部屋に閉じ込めてしまった。
「……腹、減ってない? 何か温かいもんでも作るか、コンビニで適当に買ってくるけど」
俺はコートを脱ぎながら、ないこの顔を覗き込んだ。
俺の問いかけにどう答えるのか、あるいは無視するのか。そんなことすらどうでもいいみたいに佇む彼を見て、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
「……何でもええよ。嫌なら嫌って言ってもええし。……俺に言いたいことあったら、何でも言ってな」
嫌われる覚悟なんて、最初からできている。
だから頼むから、その冷たい瞳で、もう少しだけ俺を見ていてほしい。
「お風呂入りたい。今、食欲あんまない」
「風呂……おん、分かった。すぐ準備するわ」
食欲がないのも当然だ。あんな冷たい夜風の中で死の淵に立っていたんだから、体も心も冷え切っているに決まっている。
俺は焦る気持ちを抑えながら洗面所へ向かい、浴槽の自動湯張りのボタンを押した。勢いよくお湯が注がれる音が、静まり返った部屋に響き始める。
バスタオルと、なるべく着心地のよさそうな俺の部屋着——少し大きすぎるだろうけど——を棚から引っ張り出してきた。
「脱衣所にタオルと着替え置いとくから。シャンプーとかは備え付けのやつ勝手に使ってええから」
脱衣所の扉を開けてセットし、戻ってくると、ないこは相変わらずどこか浮世離れした雰囲気を纏って玄関近くに立っていた。
「熱すぎたら温度下げてな。ゆっくり入って、体 温めてきて」
そう声をかけながら、俺は彼と視線を合わせる。
俺の家で風呂に入る。そんな日常的な行為すら、今のないこにとってはただの「時間潰し」でしかないのかもしれない。それでも、彼が俺の目の届く場所で、俺の用意したお湯に浸かるという事実だけで、俺の歪んだ独占欲は満たされていく。
「……あ、風呂上がったら、水分補給だけはしてな。水でもお茶でも置いておくから」
手持ち無沙汰に自分の髪を掻き揚げながら、俺は苦笑いを浮かべた。
「なんか……ほんまにおカンみたいでウザいな、俺。嫌なら聞き流してくれてええよ。……じゃあ、ごゆっくり」
脱衣所のドアを開けて彼を案内し、姿が中に消えるのを見届ける。
バタン、とドアが閉まる音がした瞬間、俺は大きく息を吐き出し、その場に崩れ落ちるように壁に背を預けた。
湯船の音が小さく聞こえる。
彼が風呂から上がってくるまでの短い時間が、たまらなく愛おしく、そして恐ろしかった。