テラーノベル
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激しい嵐が去った後のような、静まり返ったリビング。
俺の腕の中で、仁人はびくびくと小さく肢体を震わせ、焦点の定まらない瞳で天井を見つめていた。
床に固定していた俺の脚をどけると、仁人の脚は自力で閉じることもできないのか、力なく投げ出されたままだ。
俺が仁人の耳元に顔を寄せると、短く喉を鳴らして肩をすくめた。
『仁人〜? 終わったよ。頑張ったな』
「…おまえ゛……っ、もう、むり……うごけない……」
『だよね笑』
かすれた声は、甘く蕩けていて、俺の征服欲をこれ以上ないほど満たしてくれる。
俺はゆっくりと仁人の体から離れると、床に散らばったタオルを一枚手に取り、白濁した愛液で汚れた仁人の内腿を優しく拭った。
『ごめん、ちょっとやりすぎたわ。…仁人が可愛すぎて』
「……それ、ぜんぜん……反省してねーだろ…っ」
恨めしそうな目で見上げてくるが、その目尻は赤く、涙の跡が光っている。
俺はそんな仁人をひょいと横抱きにした。いわゆるお姫様抱っこだ。
「わっ、ちょ、勇斗、いいよ、自分で行けるから……っ」
『嘘つき。さっき「動けない」って言ったのどこの誰? 腰、ガクガクじゃん』
「…うぅ,,///」
言い返せずに、仁人は俺の首に細い腕を回し、胸元に顔を埋めた。
その耳まで真っ赤になっているのを見て、俺は思わず口角が上がるのを抑えられなかった。
浴室に入り、あらかじめ溜めておいた湯船に二人で浸かる。
仁人を俺の前に座らせ、背中から抱きしめるような形で湯船に沈むと、仁人は「はぁ……」と長い吐息をついて、俺の胸に完全に体重を預けてきた。
『痛いところない?』
「……腰が、抜けてる。……あと、中が、まだ熱い感じがして…変,,」
『あはは笑それだけ俺のを感じてたってことよ笑もっかいする?』
「二度とやんねぇ」
『俺死んじゃう…』
「俺も学んだんで。そのまま前に倒れると危険だということを」
『そーだねぇ笑前に倒れたら地獄だねぇ笑動けないから止まらないもんねぇ笑』
「…チッ」
『もうしないからぁ笑許して?じーんちゃん♡』
「…チッ」
『ねぇ笑』
俺は仁人の細い肩を抱き寄せ、首筋に鼻先を寄せて石鹸の香りを吸い込んだ。
さっきまでの獰猛な獣のような自分はどこかへ消え、今はただ、この愛しい存在を甘やかしたくてたまらない。
俺はスポンジにボディーソープを泡立てると、仁人の体を丁寧になぞるように洗ってやる。
指先、腕、そして何度も俺が歯を立てた鎖骨。
「…明日のリハ…死にそぅ..」
『んー?大丈夫だよ。もし歩けなかったら、俺がおぶって現場まで連れてってやるから。リーダー、特別サービスね』
「特別サービスって…そんなの、メンバーになんて説明すんだよ…,」
『「仁人が可愛すぎて、腰抜かすまで可愛がっちゃいましたー」って言えばいい?笑』
「…ばか。最低…っ,,///笑」
仁人が肘で俺の脇腹を小突く。
けれど、その力は驚くほど弱くて、ちっとも痛くない。
むしろ、その甘えたような仕草が、俺の胸を熱くさせる。
風呂から上がり、髪を乾かしてやった後、俺は仁人を寝室のベッドに運び込んだ。
清潔なシーツの上に横たわった仁人は、すでに眠気に襲われているのか、瞼が重そうだ。
俺はサイドテーブルから保湿クリームを取り出すと、仁人の指先に塗り込んだ。
ダンスや事務作業で酷使しているこの手も、俺にとっては守るべき大切なものだ。
『仁人、おやすみ。明日はもっと優しくしてあげるから』
「…もう、信じない。……勇斗、いつもうそつき…てか、しねーよ明日。」
『笑えー』
そう言いながらも、仁人は俺が布団に入ると、自然と俺の腕の中に潜り込んできた。
規則正しい寝息が聞こえ始めるまで、俺は仁人の背中をゆっくりと叩き続けた。
明日になれば、またいつもの俺たちに戻るけれど。
今夜、俺の腕の中で壊れそうになりながら俺の名前を呼んでいた仁人の姿は、俺だけの秘密だ。
『大好きだよ、仁人』
暗闇の中で、眠りについた仁人の額に最後にもう一度、深いキスを落とした。
end.
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