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逃げ続けたツケがようやくやってきたのかもしれない。

今は崖っぷちに立たされている。落ちても死ぬことはない。ただ、大事なものは全て零しそうだ。


「准、成哉との生活はどうだった? こいつちょっと頭悪いけど、面白いとこに気が付くし暇はしなかったろ」


凍えそうな寒さの中、准と創は廊下に佇む。

「……」

涼も靴を履き、ドアを閉めて完全に家から出る。

この状況は一体何なのか。叶うのなら、今すぐにでも終わってほしい。

「で……何がしたいんだ。……お前ら」

お前ら、と言っても、殆ど涼に向けて質問していた。

涼もそれを感じ取っている。だが目を合わせようとしない。喋らない彼に代わって、創が口を開いた。

「何が……って言われると困るけど。俺が結婚したらお前が寂しい想いをすると思って、成哉を貸してやったんだよ。どこの誰かも分かんない奴と同居されるよりマシだからさ」

そこまで聴いて、また創の方に向き直る。彼は悪びれる様子もなく、こちらへ歩き出した。

「それもかなり急だったから、成哉には悪いことをしたと思ってる。お前に変な虫がつかないように見張ってもらってたんだ。期間までは決めてなかったけど。なぁ、ここまで言えばさすがに分かるだろ」

白い息が闇にとけこむ。鼻先が触れそうな距離で、彼は囁いた。


「俺はお前が好きだ。お前を誰にもとられたくない。手に入らないなら尚さら」


動揺するな、と言われても無理。

今さら冗談だと笑い飛ばされても、絶対に笑えないような告白をされた。


さっきまでは理解できない現状に腸煮えくり返ってたのに、今はどうしたらいいか分からず動けなかった。

「俺もお前と同じ同性愛者だってこと。そして、お前のことがずっと好きだったこと……どっちも、全然気付かなかっただろ。お前の鈍感さは昔から神がかってたからな」

創は苦しげに笑いながら、頬に触れてきた。


「だから本当に大変だったよ。お前に近付く奴みんな引き剥がして、俺しか見えないようにしてやろうとしてた……けど、お前はいつまで経っても変わらなかった」

「……何で……っ」


全てが衝撃的だし、予想外の展開過ぎてどもる事しかできない。……自分が情けない。

創が俺を好き? いやいや、そんな馬鹿な。


でも────隠されたら分からない。


隠されたから見抜けなかった? ずっと一緒にいた……のに。

それで気付かないなんて、彼の言うとおりどこまで鈍感なのか。どうしようもない歯痒さに支配される。



ファナティック・フレンド

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