【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
小児科医青×天才外科医桃
のお話です
青視点
「ただいま」
その日の夜、家に帰り着くとないこの方が先に帰宅していた。
ちょうど夕飯を用意し終えたところだったのか、キッチンで皿に盛った野菜炒めを手に「おかえり」と返事を寄越す。
「今日ごめんな、昼。せっかく来てくれたのに」
先に食べようとしていたんだろう。
一人分しか出ていなかった皿に追加して、ないこは食器棚からもう一枚取り出している。
それにも同じように盛り付けながら、「…あー、うん全然」と妙に曖昧な言葉を返してきた。
「ないこ?」
言葉にならない程度のほんの小さな違和感を察知して、俺は改めて呼びかける。
「ん?」と返事をしながらも、ないこは決してこちらを見ようとしない。
それどころかぐっと眉間の辺りに力を入れているようにも見える。
「…なんかあった?」
まさか、昼間置き去りしたことで拗ねてる?
…そんなわけないか。
いくらないこでもそこまで子どもじゃない。
たとえほとけから彼女について何かを聞かされていたとしても、名前も知らないような女子一人に嫉妬するほど余裕がないわけがない。
「…ないよ、なんも」
じゃあその間はなんなん?
そう思って鞄をその辺りに投げ出すと、俺はないこに向けて手を伸ばした。
両手で頬を掴むようにして包み込み、その目を覗き込む。
嘘をついたり逃がしたりしないように捕えようとしたけれど、ないこはこの至近距離でも必死に眉を寄せている。
その表情を近くで見て、ようやく気付いた。
……違う、怒ってるわけでも拗ねてるわけでもない。
このないこの顔は…。
「何にやけとるん、ないこ」
「ちが…っにやけてんじゃねーよ、まだ笑ってねえもん。必死でこらえてんの!」
放っておくと緩みそうな表情を必死で引き締めようとしている顔。
それに気づいて尋ねた俺に、ないこは意味の分からない反論を寄越した。
だけどそれから、俺の方へ手を伸ばし返す。
目の横辺りに触れながら、「あのさぁ、まろも俺も明日休みじゃん?」といきなり話題をはぐらかすかのように告げた。
それがどうしたん、と目線で応えると、ついにこらえきれなくなったようにへらりと破顔したないこが言葉を継ぐ。
「眼鏡、買いに行く?」
「……!」
そのたった一言で、目の前が暗転したように暗闇に覆われた気がする。
一瞬でないこの言わんとしていることを理解した。
「悪趣味すぎるやろ、盗み聞きすんなよ」
「いや、だってたまたまあの階段下りてたら声が聞こえちゃったんだって。真剣な話してるのは分かったから顔出せる雰囲気ではなかったし」
「……最悪…」
「言った言った、確かに高校の時俺言ったよな、まろに。『眼鏡似合うじゃん、かっこいい』って」
「ああああああああ何も聞こえん!!!」
自分の耳を塞ぐふりをして、ないこの声を遮断する。
それが聞こえてるってことはその前に言った「好きな子に言われた」って言葉も聞こえてるってことだろう。
恥ずかしすぎる、最悪。
そんな言葉をひとりごちるように繰り返す俺を、ないこはもう遠慮のかけらもなく満面の笑みで嬉しそうに見てくる。
「明日は俺の好みでまろの眼鏡選ぼうっと」
鼻歌でも歌いだしそうな弾んだ声で言って、ないこはくるりと身を翻す。
置きっぱなしだった野菜炒めの皿を再び手に取って、テーブルの上へ乗せた。
随分と楽しそうなその後ろ姿に、もう一度手を伸ばす。
ぐいとそのまま引き寄せると、バランスを崩したないこが「うわっ」と声を上げた。
…悪いけど、やられっぱなしで黙っているのは非常に性に合わない。
「そんな楽しそうに買い物行ける元気が、明日のお前にあったらいいけどな」
耳元で囁いて、肩と腰をぐいと抱き寄せる。
「はぁ!?」と声を荒げかけたないこの頬に、後ろからそっと口づけた。
コメント
10件
初💬失礼いたします🙇🏻♀️⸒⸒ こんなに夢中になって作品を読んだのは初めというくらい大好きです! 2人の関係が見てて癒されます…💕💕 エピソードタイトルの意味が分かって良かったです😸😸
ご馳走様です。物凄く美味しかったです
はぁー!! ごっつぁんです!!! 続き待ってます!!!