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「…平和だ」


広大な草原の上に一つの人影がある。

草原の上には草、草、草…それと少しばかりの低木。上には澄んだ青い空と小さな白い雲がぽつぽつと浮かんでいる。晴天というやつだ。

彼はそんな気持ちの良い天気の中、 一人忌々しそうに顔を顰めた。


「平和…って事はする事が無い。暇だ…」


周りには彼以外の生命体は見当たらない。まるで彼だけの世界のようだ。

彼は一度寝返りを打ち、そして再び仰向けになり上を見ようとする。だが、空が見えなかった。


「そんなに退屈かい?」


満面の笑みで、男が一人。彼を覗き込むようにして見下ろしていたからだ。


「…クリエティ」


クリエティ。創造の名を冠する彼は現時点での最も優れた神とされている。そんな彼が、自分に何の用だとでも言うように、あからさまに嫌な顔をしてみせた。


「やだなぁ、兄さんと呼んでくれよ。家族だろう?」


そんな風に軽口を叩く彼に溜息をつき、重い体を無理矢理起こした。見下ろされるのが癪だったからだ。


「あんたを家族だなんて思ったこと、一度も無い」


羽虫でも追い払うかのように、しっ、しっ、と手でジェスチャーをしてみせる。

そんな事をされても尚クリエティは終始笑顔のままだった。そんな様子がとても気味悪かったのか、彼は足を一歩、二歩と後ろへずらす。

だが、クリエティはそんな彼の肩を掴み、自分の方へ引き寄せた。

そして肩を組んだかと思うと、周りに誰も居ないはずなのに、誰にも聞こえない程の声量で


「それ以上言うと…わかるね?」


と、感情の無い無機質な声で囁かれた。

普通のヒトであれば、それはそこまで恐怖を引き出す言葉では無い。

だが、彼の背筋を凍らせるには、それで十分過ぎる程だった。

そう、目の前の男…クリエティは“家族”に異常なまでに執着しており、そしてその家族に異常な愛情を注ぎ続けているのだ。

そしてその“家族”を否定するなら、たとえ家族でもロクな目に遭わない、というのも彼の様子を見れば想像に難くなかった。

…もっとも、実際に血が繋がっているわけでもないのだが。


「…チッ、…わーったよ。」


クリエティの腕を振り払い、俯き奥歯を噛み締めながら小さく舌打ちをした後、男に従う事にした。

強がってはいるが、彼の手は依然として小刻みに震えたままだった。


「それならよろしい。」


ぱっ、と先程の明るいトーンに戻り、満足そうな笑顔を浮かべる。

その様子を見て、彼は更に苛立ちを覚えた。


「………、で?」


「?」


彼は何かをクリエティに問う。

その質問の意図をクリエティは理解出来ていないようだった。


「…あーもう、俺んとこに来た理由だよ!なんかあンだろ!?」


先程のクリエティの行動による苛立ちから、つい声を荒らげてしまう。

だが彼のそんな様子を微塵も気に止めずクリエティは何かを思い出したようだ。


「あー、そうそう。頼みたいことがあったんだ。」


ぽん、と掌に握り拳を乗せ、彼は要件を話し出す。


「また“バグ”が出たから、その対処に向かって欲しいなと。」


_バグ。それは虫を意味する単語であるが、この場ではそのような意味は持たず、どちらかといえば故障、異常といった意味を持つ。

いつしか世界に蔓延るようになった異常たち。どこからともなく湧き出る様子を虫に見立て、“バグ”という名がつけられた。

このバグ達が世界各地であらゆる“不都合”を引き起こす。そのため、駆除対象となっているのだ。

ここまで聞くとバグの厄介さはどこからともなく湧いて出てくること、問題を起こす事以外には無さそうであるが、奴らの厄介さはそれだけではない。

奴らは個人差こそあれど、一個体一個体が中々に強力であり、攻撃力は低いものの、防御力が高く、非常に硬いのである。

また、この神々の住まう世界では勿論神と呼ばれ崇拝される存在しか居ないのであるが、その神々の使う神聖なる“奇跡”はバグたちに効きにくく、威力が半減されてしまうことも厄介さに拍車をかけている原因である。

では、なぜわざわざクリエティは彼にバグ退治の依頼をしたのか?

それは、彼が扱う力が神の扱うそれとは違うからであった。


「…また俺かよ。」


頭をガシガシと掻き、面倒そうに息を吐く。

彼は特異であるが故、バグ退治に東奔西走する日々を送っていたのだ。

だがそのバグ退治が一息つき、やっと一日休める、という日が今日だったのだ。


「いいじゃない。だって暇だったんだろう?」


「あっ、あれはだな!…何もしてないと、落ち着かねえっつーか…」


彼は少し恥ずかしそうにゴニョゴニョと何かを喋った後、ついには黙ってしまった。


「んー、まあ、取り敢えず位置情報は送るから。そこに向かってねー。」


ぽん、と彼の肩に手を置き、彼と顔の距離を近付ける。急に顔を近付けられた事への驚きからか、彼はキョトンとした顔をしている。

そんな彼を愛しく思いながらも、クリエティは真剣な顔をして、こう言った。


「…頼んだよ。僕の可愛い弟、アリエノス。」


「…お前に言われずとも。」


間髪をいれず、彼…もといアリエノスはクリエティにそう答えた。


to be continued… ?



記念すべき第一話。

如何でしたか?自分は小説初心者だったため、読みにくかったり、理解出来ない部分も多くあると思いますが、暖かい目で見守って頂けると幸いでございます。

これからもこの稚拙で未熟な私と、未完成のこの物語をどうぞよろしくお願い致します。

以上、草wでした。


New character introduction】

名前:アリエノス

性別:詳細不明

容姿:周りにグリッヂのような物が飛び交っている。鎖を多く身につけている。

説明:他とは少し違う異端児。クリエティを兄と認めていない。言葉遣いが悪い。人付き合いが苦手。


名前:クリエティ

性別:男

容姿:スラリとした長い手足を持っている高身長の男。常に貼り付けたような笑顔を浮かべている。左手の薬指が無い。

説明:創造を司る神。自称アリエノスの兄。外面は良いが腹の中は真っ黒。歪んだ愛情を持っている。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

25

ユーザー

初コメ失礼します!!えっうますぎませんか!?初心者とは思えない… キャラ設定もめちゃくちま壁に刺さりました!!これからも応援させていただきます!✨ あと、失礼さもなんですが、よければお友達になっていただけませんか…?

ユーザー

初コメ&フォロー失礼します! これから何が始まるのか楽しみです! 上手いですね!頑張ってください!✨ 応援しています😊

ユーザー

初コメ&フォロー失礼します すごいですね!初心者が書いたものとは思えません✨️

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