テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「服、汚しちゃったね……着替えようか?」𓏸𓏸はそっと涼ちゃんの顔を覗き込んだ。
涼ちゃんは少しだけためらったあと、弱々しくうなずく。
指先が震えている中で、ボタンをひとつずつ外していく。
うまく指が動かず途中で詰まると、𓏸𓏸がそっと手を添えて助けてあげる。
上着を脱いで𓏸𓏸に静かに渡す。
その瞬間――
布地が肌から離れていき、上着をそっと𓏸𓏸に渡す。
その動きはあまりにも弱々しく、どこか頼りなささすら感じさせた。
ふとシーツの白さと、涼ちゃんの肌の透けるような白さが重なる。
病的な儚さの中に、どこか美しさも浮かんで見えた。肌は熱でうっすら赤みが差して透き通るよう。
細い鎖骨から肩、二の腕にかけて、
𓏸𓏸は思わず視線をそらしそうになるのを必死に堪えた。
(……涼ちゃん、きれいだな)
そんな気持ちを自分で驚きながら、
「ちょっとタオルで汗拭くね」とそっと声をかける。
柔らかいタオルで首元や肩、腕をゆっくりとぬぐう。
自分の指先が涼ちゃんの肌をかすめていくたびに、
心臓の鼓動がほんの一瞬だけ速くなる。
新しいパジャマをおろして、
𓏸𓏸はなるべく平坦な声で「はい、これ着て」と差し出す。
この弱った涼ちゃんの全部を守れる人でありたい――
けれど同時に、熱に浮かされたように心の中でひっそりと
「好きかも」と思う気持ちが芽生えていた。