テラーノベル
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私たちは同時に立ち上がった。
教室の後ろに並んだロッカーは、薄暗い中で黒く口を開けているみたいに見えた。
さっきの音は確かにそこからしたのに、今は何の気配もない。
あおいが小さく「やだ」とつぶやいた。
その声さえ、教室に吸いこまれていくみたいだった。
私はこわばる足で一歩ずつロッカーに近づいた。
手を伸ばして、いちばん端の扉を開ける。
中には何もない。
次を開ける。そこも空っぽだった。
でも三つ目のロッカーを開けた瞬間、私は息を止めた。
古いスマホが一台、ぽつんと入っていた。
画面は暗いままだったのに、私が触れた途端、ふっと明るくなった。
表示されたトーク画面の名前は、真白。
そして最後に送られていたメッセージは、たった一つだった。
助けて
送信時刻は、午後五時十二分。
その下には、小さくこう表示されていた。
既読 3
私は思わず後ずさった。
既読は三人。
あおい。
私。
じゃあ、もう一人は誰なの。
その瞬間、教室のドアが、ぎい、とゆっくり開いた。
入り口に立っていたのは、担任の先生だった。
けれど先生は、いつもみたいな顔をしていなかった。私たちの前にあるスマホを見た瞬間、その表情が固まったのだ。
「それを、どこで見つけた」
低い声だった。
私は答えられなかった。
先生は一歩、また一歩とこちらに近づいた。
その顔を見たとき、私は全部分かった気がした。
真白の最後のメッセージを読んだ三人目。
事故として終わらせたかった人。
見ていたのに、助けなかった人。
私のスマホが、最後に一度だけ震えた。
これで、みんな読んだね。
その瞬間、教室の電気がふっと消えた。
暗闇の中で、誰かの短い悲鳴が響いた。
次に明かりが戻ったとき、ドアの前には誰もいなかった。
先生も、古いスマホも消えていた。
ただ、私のスマホの画面にだけ、新しい表示が残っていた。
真白とのトーク画面。
その一番下に、初めて小さく浮かんでいた文字。
既読
コメント
1件
うわ、これめっちゃ怖い……! ロッカーに残された「助けて」のメッセージ、既読3の内訳がじわじわ迫ってくる感じがたまらん。担任の先生が3人目ってわかった瞬間のゾワッと感やばい。最後の「既読」だけの表示、誰が送ったのか分からんのが一番怖いわ……続き気になる🔥