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看護師5年目になった。
責番をとったり
チームリーダーをしたり
後輩指導や学生指導もした。
病棟全体の動きがみれるようになり
ものすごく忙しいのに
楽しかった。
いつか大学の先生が言っていた言葉を思い出す。
“看護師の仕事は大変だけど
看護ができるようになって
看護とは何かが見えるようになったとき
看護はたのしくなる”
今まさにその言葉の意味が
手に取るようにわかる。
重症患者5名が入るリカバリ室というのがある。
全員くも膜下出血の患者が入っていたときがある。
2時間毎に
バイタルサイン測定
ランバーのドレナージ量測定
尿量測定
inout測定しマイナスバランスなら点滴負荷投与
オムツ交換、体位交換
全員が気管チューブか気管切開のため
適宜喀痰吸引しカフ圧確認
その合間に清拭や寝衣交換
点滴交換
経管栄養投与、薬剤投与
タイムリーに記録(ほぼ出来ないが)
さらに外部屋といわれる安定した患者が入る
一般病室に 変動がないか
状態悪化しそうな患者はいないか
各チームが業務を回れているか
残っている業務はないか
スタッフ全員が休憩を回せるか
さらに緊急入院の受け入れ準備
急なドクター指示変更に応じたり
ルンバール介助についたり
とにかくノンストップで
判断し行動しなければならない。
これをほぼ一人でこなしていた。
当然最初は補助の先輩がつくし
スタッフが多い日は補佐も入る。
だが徐々に独り立ちしなければならない。
こんなにも過酷で緊迫した空間で
業務を回せるようになると
やはり楽しいし自信がつく。
1年目のときは
とにかく業務内容を覚えるのに必死で
怖い先輩には怒られ
家に帰ってシャワー浴びながら泣いて
寝るまで復讐と予習をして
寝不足のまま出勤して
また新しいことを覚えての
繰り返しだ。
看護師は
向いてるか、向いてないかではない。
やるか、やらないかだ。
やってきてよかった。
泣いても泣いても
投げ出さないでよかった。
逃げ出さないでよかった。
見ててくれた先輩がいたから。
支えてくれた同期がいたから。
ここでの経験は
病院をでて外の世界にいけば
何の役にも立たないかもしれない。
黙って歩いていれば
わたしがどんな経験をしたかは
他人にはわからない。
それでもいい。
自分の自信になったことは
人生の財産になる。
いつか大切な人の命を
助けられるかもしれない。
この道を選んで
歩き続けてこれたこと
自分を誇りに思おう。
5年間突っ走ってきたら
当然気持ちが落ちる時もある。
そろそろ休みたいな。
辞めたくはないけど離れたいと
思う時期は誰にでもあるだろう。
5年目の冬、妊娠した。
すごく嬉しかったし幸せだった。
デキ婚だけど
先輩も後輩もお祝いしてくれた。
わたしは先輩に怒られて
育った代だから
後輩にはものすごく
優しくするようにしていた。
決して怒鳴らないし
感情に任せて怒ったりもしない。
“優しすぎると後輩に舐められるよ?”
と言われたこともある。
でも”怒る”と”叱る”は違うと思う。
言い方ひとつで
人は傷つくこともあるし
自信もつくのだ。
だからとは言わないが
妊娠してから
たくさん助けてもらった。
先輩はなるべく
わたしを座らせてくれたし
座ってできる業務をさせてくれた。
後輩も絶対わたしに重いものを
持たせようとせず
奪い取るように助けてくれた。
昔から 人には恵まれいる。
本当にありがたいことだ。
妊娠して3ヶ月。
体調はよかったが
初めての妊娠だから
不安もあった。
そんなときに同期と先輩たちと
仕事帰りにご飯を食べに行った。
わたしは妊娠前はかなり飲兵衛で
どんなに飲んでも
酔っ払うことはなかったし
そのキャラをみんな知っていた。
ただ妊婦になると
体調は不安定で
いつもより早く帰ろうと思った。
すると同期の1人がこう言った。
『うわぁ妊婦ぶってる〜!』
唖然とした。
先輩たちも驚いて黙ってしまった。
空気が悪くならないように
『まだつわりなんだよね〜』
と笑ってごまかした。
それで終わればよかった。
わたしは妊娠前はかなり痩せていて
お腹はぺたんこだったが
食べつわりのため妊娠3ヶ月で
ちょっと太り始めていて
下っ腹がでていた。
その同期はわたしのお腹を触りながら
『これで何も入ってなかったら
ただのデブだよね!』
と笑いながら言った。
『いやちゃんといるわ!』
と笑いながら返した。
駅のホームで
その同期だけ次の飲み会へ
消えて行った。
残った先輩に
『さっき大丈夫だった?
信じられないくらい酷いこと言うね。』
と一緒に怒ってくれた。
家に着いて
夫に話しながら号泣した。
この時に思った。
大切にしてくれる人だけを
大切にしよう。
妊娠してから
変わっていくひと
遠ざかるひと
酷いことを言ってくるひと
色んなひとがいることを知った。
ふるいにかけたと思おう。
わたしが変わっても
わたしのそばにいてくれる人だけを
信じて大事にしよう。