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さっきと同じ通り、キスをされる。
どうしたらいいのか分からなくて、でも息苦しいから口を開くと
その隙間に先生の舌が滑る。
「…ほら、怖いんだろ?」
触れる唇が、零す。
『怖くなんかないっ…』
「嘘つけ。〇〇の身体震えてんのよ」
『それは…緊張です』
嘘じゃなかった。
初めてキスをした時に感じたあの怖さは、もう無くて。
「またそーゆー顔すんだろ?」
『どんな顔かわからないです…』
「そんな顔されると、優しく導けない。」
『…』
「ごめんな。お前も悩んでんだよな」
『…』
「ちょー焦ったんだよ。お前が出てった時」
『え…』
「だから…見つけた時安心して、何かイラッときてさ、八つ当たり。悪い」
静かに笑った先生は、私の手首を優しく離した。
『…先生っ!』
離された手首で先生の服をガシッと掴む。
彼のお腹周りに添えられた私の手を、先生が見下ろした。
『…優しくなんて、求めてません』
掴んでる手に、力がどんどん入る。
『先生、私の人生先生しかないんですよ。先生が私の全部。だから…優しくなんて思ってないからっ…』
先生が、驚いた顔を見せた。
いつだって、ちょっとビックリしたかな?って時もすぐ元に戻って。
そんな先生が、私に驚いた顔を見せた。
「〇〇、自分が何言ったか分かってんの?」
『…わかってます。』
「…」
『覚悟なんて、とっくに決めてます。』
何も返さない先生の唇にキスをする。
『青春かけて戦った女の本気、舐めないでください』
先生がハッって笑った。
いつものように自信げに笑う。
「じゃあお前は、大人の怖さを身をもって知ればいいよ。」
怖いはずがある?
だって、先生の目はこんなに優しい。
『…全然怖くない』
キスの間にそう言うと
「まだまだ序の口ですけど?」
先生は意地悪そうに言って笑った。
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コメント
2件
こんな恋愛したかったわ😭